《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百六十二話『何処まで』
勇者の目には強き闘志が渦巻いていた。
( 苦境に立たされるほど『勇者』はその力を増す。)
どの漫畫やゲームでもこの法則は変わらない。短剣を無意識のに出現させる。が目の前の敵を警戒してか自然に構えるのだ。
「ディアーナ!」
橫目でディアーナへと指示を仰ごうとする。彼の表はいつも通りの笑みをり付けているが、何処か寂しそうな目をしていた。
「僕の願いは葉う事はないのかもしれない。」
ユーノは猛者だが、『人間』だ。傷を追えばは流れる。聖剣の回復は完璧ではないのだから。
「お前だけは絶対に連れて逝くッ!!」
ユーノは聖剣を振り払い周囲の建を吹き飛ばす。
(ごめん、ラディアンス............最後まで付き合って貰うよ。)
聖剣を強く握りしめるとディアーナと青年の元へと人外的な速度で近づき剣を縦へと振り下ろす。
「ッ!」
(速すぎるッ!!)
姿が消えた瞬間、青年は橫へと飛び出し斬撃を避ける。ディアーナは極限までに剣を引きつけ其れを紙一重で避けた。
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「ユーノ、貴方は...」
そしてディアーナは回転して勢を戻すと鎌を用いて頭部を狙う。
「はぁあああ!!!」ブン!!
ユーノは即座に剣で其れを防ぎ、拳でディアーナの右頬を毆りつけた。
「ぐっ!!」
頰を毆られた衝撃で近隣の服屋へと窓ガラスをぶち破り店へと吹き飛ばされるディアーナ。
(俺に対しては警戒も何もしてない................舐められてるな。)
青年は隙を狙い、ディアーナの元へと向かい歩き出すユーノへと奇襲を仕掛けようとする。
「寢ていて下さい。」
だが、背後からの奇襲を軽く避け剣の柄で後頭部を強く強打する。
「がはッ」
青年は地面へと叩きつけられ、を流す。
(當たり前か..........力の差があり過ぎる。)
辛うじて意識はまだあった。
「ふッ!!」
青年は歩き去ろうとするユーノのアキレス腱を狙い一閃をれようとする。
「無駄ですよ、副団長。」
しかし、りはしたがギリギリのところで避けられ短剣を地面へと踏みつけられた。聖剣を振り上げ、倒れる青年へと聖剣を振り下ろそうとするが。
「うふふ、いけませんよぉ♩」
聖剣を握る腕そのものが黒炎に包まれた。
「ッ!?」
腕を抑えながらも背後を振り向く勇者。
「ジョンは私のものですよ?」
その臺詞とともに自己召喚で青年の元へと転移し回収するとディアーナは無數の魔獣を生し、ユーノへと襲わせた。
「雑魚に用はないんだよ!!」
焼け爛れた腕に無理を掛け聖剣を振るう。
「ジョン、大丈夫ですか?」
「あぁ、うん。ディアーナは大丈夫か?」
自分以上にダメージを食らっているディアーナ。聖剣の攻撃を何度もけ、側はボロボロの筈だ。瘴気が無限とも言える膨大な量を持ち合わせていたとしてもユーノの使う聖剣は特別だ。直に核に傷をつける事が出來る神の産。故に聖剣。
「ふふ、貴方がお側にいる限りは無事ですよぉ♩」
頰へと手を添え微笑を浮かべるディアーナ。
「そうか、なら俺は殺さないでくれよ。」
先程の臺詞の意趣返しだ。
「ご安心ください♩もしぃ貴方を殺害することになってもぉ私はその後に自害をしますのでぇ二人は永遠ですよ♡」
病んでる人みたいな発言はやめて貰いたい。怖いから。
「聖ぉーーッ!!!」
魔達は瞬く間に斬り伏せられユーノが此方へと襲いかかってきた。青年は即座に短剣を構え二人で応戦する。
「お前を倒すまで僕はぁ!!」
剣撃が何度も繰り出される。ディアーナと歩調を合わせ攻撃をけ流し守りの勢を貫くが、ユーノは其れを軽々と打ち破り中に傷口が出來ていく。
(攻撃を捌き、きれない!!)
集中力を極限にまで上げ、ディアーナのサポートをする事で限界だ。
「貴方もしつこいお方だ。私の世界でも、この世界での勝利も________」
しかし、並行して戦うディアーナは違った。見ている景が違ったのだ。
(ユーノ、貴方は既に限界を迎えている。その勇猛溢れる剣が止まった時には貴方は.......)
ユーノは次の一撃に渾の力を込め聖剣を振るう。
「僕はッ!!」
ユーノの剣がディアーナの頭部へと辿りつこうとする。
(『勇者』の旅は此処までです。)
ディアーナはユーノの一撃を黒鎌で弾き飛ばした。聖剣はユーノの手から離れ、建の壁へと突き刺さる。
「___________私”達”の勝ちです。」
歪な形をした黒鎌がユーノの部へと深く突き刺さり、それを即座に抜き取る。
「ぐはっ、」
からは大量のが流れ出ると、膝をつき自のをり現狀を理解する勇者。
「あぁ僕はまた.......」
瞳から徐々に生気が失われていく。
「これで最後だな。」
「はい、やっと僕たちの未來が摑めるんですね!」
四ある瘴気の渦を浄化した後に出現した最後の渦『骸の魔』が住まうと呼ばれる敵城。それの侵攻直前の記憶が鮮明に蘇る。
「行くか。俺たちの最後の戦いに。」
帝國騎士団長マールス。現在の帝國に置いて最も剣の実力がある一騎當千の騎士。
「安寧の世界を我らが力で取り戻す最後の試練。勇気ある者、ユーノ。ジョン副団長の補佐は任せましたよ。」
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「聖様.................任せて下さい!!」
この人達と旅が出來たことを本當に謝している。出來ることならば平和な世で共にいたい思う程に僕は彼らの事を.......
「.........あぁ、ジョンさん」
意識が徐々に暗転して行く。命の恩人であったジョン副団長を救いたかった。
(ジョンさん........................)
聖の洗脳から、救い出したかった。
(................ごめんさい)
そしてまた昔の様に褒めて貰いたかった。
(僕は本當の....................)
平和な世界で、一緒に、絵描きの旅に..................
(ジョンさんの...............勇者に)
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