《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百七十二話『プシューケーのお話』

し長いです。

プシューケーと言うギリシャ神話の登場人を知っているだろうか?

ある國の王さまと王妃さまには、3人のしい娘がおりました。なかでも末娘のプシュケーのしさは、言葉では表せないほどにしかった。そのしさを一目見ようと、たくさんの人々がこの國にやってきました。そのため、神アフロディーテの神殿を訪れる人もなくなり、プシュケーは神の嫉妬を買ってしまうのです。

「”パリスの審判”の勝利者である妾の名譽をあの人間の小娘は奪わんとするか!愚かな人間めが。不細工な男をするようにしむけよ、エロース!」

アフロディーテは激昂し、息子エロースへとそう命じた。

『2つの泉から湧きでる甘い水と苦い水神アフロディーテの庭には、2つの泉があります。1つの泉からは甘い水が、もう1つの泉からは苦い水が湧きでてきます。』

エロースはそれぞれの水をカメにくんで、プシュケーのところに向かいました。エロースはプシュケーの寢室にると、寢ている彼の口に苦い水を數滴たらし、その脇腹を矢の先端でつつきます。

「うぅ.......なんでしょうかぁ?」

目をさましたプシュケーはエロースの方を見つめるが、人間の目には彼の姿は見えません。

(うっ、何というしさ........母上........)

しかし彼の容姿を直視したエロースはしさにドギマギして、自分の矢じりで自分を傷つけてしまいました。そして誤って、かぐわしい甘い水も彼にふりかけてしまったのです。しかし、これが二人のの始まりとなるのです。

「_______プシュケーは人間の誰とも結婚できぬ。」

プシュケーの姉たちは、すでに結婚していました。

「姫君はしいが、アフロディーテ様の怒りを買うのだけは避けたいものだ。」

「あぁ、命には変えられんしな。」

しかし、彼だけは神アフロディーテの不興をかって、誰もが譽めたたえるしさを持ちながらも、誰もが彼にプロポーズするのをさけていました。

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“偉大なるオリュンポス十二神が一柱よ、我が娘が不憫でなりませぬ。どうか、信託をお授け下さいませ。”

プシュケーの両親は心配のあまり、アポローンの神託をこいました。

「プシュケーは人間の誰とも結婚できません。山の頂きに連れて行き、そこにおいてきなさい。山の怪が彼と結婚するであろう。」

神託は絶対。悲しみながらも両親はプシュケーに婚禮裝を著させ、山に連れていくと、一人殘して帰りました。

「うぅ......お父様.........お母様...........」

涙を流し、目を腫らしながらも山道を奧へ奧へと進んでいく。プシュケーは悲嘆にくれましたが、暫くすると山のしさに癒やされ、落ちついてきました。

「私が君の夫です。しかし、絶対に私を見てはいけません。」

エロースはそう言葉にする。しかしプシューケーがいくら見渡そうとも聲の主が見當たらない。

「ゼフィロス、彼を運んでくれないかい?」

西風の神 しばらく崖の上から回りを眺めていると、ゼフィロスがプシュケーを持ち上げ、しい森に連れて行きました。

「綺麗なお屋敷..........」

その森には立派な宮殿とすんだ泉がありました。プシュケーがその家にっていくと、聲だけの召使いが給仕をはじめました。

王さま、ここにあるものは全て貴方のものです。そして我々はあなたの召使いです。何なりとお申し付けください。お好きな時に、お食事と湯浴みをなさってください。」

言われた通り、プシュケーは湯浴みのあと、おいしい夕食を食べ、その日は床につきました。

「ふふ、不思議な場所。」

すると、誰かが寢室にってきた気配がし、優しい聲がプシュケーにかかります。

「こんばんわ、麗しの姫君。」

「その聲は、先程の」

絶対に姿を見ては行けないと言う盟約の元、その聲の主とともプシューケーは幸せに暮らしはじめました。しばらくし時が経つと、プシューケーは両親や姉たちのことを思い出します。

「私がこうして、幸せに暮らしせていることを知ってしい......」

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私は不幸ではないのだと心配をしてくれた族に伝えたかった。

「おねがいです、お姉さま方に會わせて頂けませぬか!」

聲の主、エロースへと懇願する。すると彼はしぶしぶながらプシューケーの願いを聞きれました。

「お姉さま、ようこそお出で下さいましたぁ!」

ゼフィロスが二人の姉を、宮殿に連れてきました。

「す、凄いわね......」

「立派なお屋敷ですこと.......」

姉たちはその立派な宮殿にびっくりし、中にるとその立派な家や調度品にも嘆しました。

「お困りの點がございましたら、何なりと我ら給仕にお申し付けください。」

また、目に見えない召使いのもてなしにも溜め息をついてしまう姉たち。

(あぁ、なんで愚妹の方が良い暮らしをしているのよ。)

もちろん、聲には出しませんが、嫉妬心が増幅されていきます。

「お前のだんな様は何をしているのかい?」

「晝間は狩りに出ています、夕方には帰りますわ。」

姉たちは口元を歪め意地の悪い顔をする。

「ふふ、そんなはずはなかろう。」

「プシューケー、貴方、何も知らないのねぇ。」

プシュケーは疑問の表を浮かべる。

「お姉様方は、一何を.....」

プシューケーを囲み二人は耳打ちをした。

「神託では怪がお前の夫になる、と言ったではないか。」

「貴方の旦那様は大蛇に違いないわ。貴方を太らせてから、食べてしまうのよ。」

「今夜、ナイフと明かりを用意して、確かめてみた方がいいわ。」

「私たちは貴方が心配なの。大蛇だったら、その首を切っておしまい。」

優しくプシューケーを抱擁する姉妹。しかし、プシューケーはその時、姉らの悪意には気づいていなかった。

「それでは私達は帰るけれども、貴方も気をつけるのよ。」

「はい、お姉様!」

姉たちが帰った後、プシュケーは、姉たちの言葉にだんだん不安になってきました。

(あの人は私をよくしてくれているわ......)

「だけど......」

姉達から忠告を拭いきれず、その夜は、こっそりランプとナイフを持って寢室にりました。

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「ごめんなさい......」

エロースが寢るのを確かめると、プシュケーは手にナイフをもち、ランプを掲げて、とうとうエロースを見てしまったのです。

「う......そ........なんというしさでしょう」

プシュケーはその神々しさに揺し、ランプの熱い油をエロースの肩に落としてしまいました。

「!?」

エロースはビックリして飛びおきます。

「................は、疑いと一緒にはいられない。」

その言葉を殘し、しい翼を広げると夜空に飛んでいってしまいました。

「うそ....そんな.....私の所為で....エロース様.......」

その後、プシュケーはエロースを探しまわりましたが、見つかるはずもありません。

「お姉様.....ぐす.....」

姉たちのところにも、相談にいきました。

「それは......災難な事をしてしまいましたね。」

姉たちは表面上は心配しました。しかし心ではこれを好機と捉え、今度は自らが奧さんになれるかもしれないというに駆られます。

「私が妻になるのよ!」

「いえ、私でしてよ!」

次の日二人とも山にいくと、ゼフィロスに私をエロース様のところに連れてってくれと、崖からを投げ出しました。

しかし、ゼフィロスが現れることはありません。二人とも、崖から落ちて死んでしまいます。

「どんな、おとがめも覚悟しましょう。」

プシュケーは意を決して、エロースの母アフロディーテの神殿に伺うことにしました。

「何でもいたします、どうかお許しを。」

プシュケーは、必死にお願いしました。

「この恥知らずな人間よ、エロースはまだ傷が直らず、寢室にこもりっきりだ。しかし、意を決っして妾の元へと赴いた事は褒めよう。夫を取り戻したのであらば、三の試練をけ、それを乗り越えてみせよ。」

神アフロディテーはそう言い放ちました。語はウェヌスの試練へと繋がる事になる。

『第1の試練』_____神殿の穀

小麥、大麥、えんどう豆などが、まじったまま大量にありました。

「それぞれを選り分けて、夕方までにそれぞれの山にしておくのだ。」

ひめであるプシューケーはどうして良いか分からず、ただぼう然と座っているしかありません。

(可哀想だ......あぁ、プシューケー....)

そこで、遠目でその姿を見るエロースはアリの王とその家來にその仕事をさせました。

「これは、エロースがやったことだな。あの子にまでお前の仕事をさせるのか!」

しかし帰ってきた神アフロディテーは言いました。

『第2の試練』____羊がり

「あの森の水辺にいるヒツジのを取っこい。そして妾に羊の見本として持ってくることだ。」

プシュケーは川岸に向かいました。すると、河の神が言いました。

の登っている午前中は、ヒツジたちはとても殘忍だ。群れに近づいてはいけない。真晝時になると、ヒツジたちも木かげにり、また河のがヒツジたちの心をなだめてくれるので、その時この川を渡りなさい。そして、ヤブや木立についた羊を集めるといい。」

プシュケーが羊を持っていくと、神アフロディテーは言いました。

「これも一人でやったことではないではないか!貴様を認めるわけにはいかぬ!」

『第3の試練』____冥界

「冥界の王ペルセポネーから、のツヤが出ると言われる化粧品をもらってくるのだ.....不正はするな、いいな。」

「は、はい......」

ここにきて、プシュケーはついに自分の死を覚悟しました。生きたままでは、冥界にはいけないからです。

「私が命を斷てば......」

プシュケーは高い塔からを投げ、冥界へ行こうと決心しました。そして塔を登っていくと、聲が聞こえてきます。

「哀れな不幸な娘よ、なにゆえ、そのような生涯の閉じ方をするのか?今までだって、奇跡的に助けてもらったではないか。」

その聲は冥界へいく道、冥界の番犬ケルベロスの脇を通り抜ける方法、冥界の河の渡し守カローンの説きふせ方も教えてくれました。

「だが、神のの化粧品の箱はけっして開けてならぬぞ。」

こうして、プシュケーは無事冥界ヘ行き、冥界の王から化粧品をもらって帰ってくることができました。

「お、終わりましわぁ......」

危険な試練が終わったと思うと、彼はホッとします。しかし、その心にスキが生まれた瞬間でもあるのです。

「.........どうして、試練を終えた私が、ほんのしだけ化粧品をもらってはいけないのだろう?」

人のと言うが出る。

する夫に化粧をした私を見てもらいたい。」

プシュケーは開けてはならぬと言われた化粧品の箱を開けてしまいました。

「ん.......」

すると、〈地獄の眠り〉がプシューケーをつつみ、彼は死んだように倒れてしまいました。

「くくく、馬関な娘よ。」

これこそ、神アフロディーテがしくんだワナだったのです。それを察知したエロースはプシュケーの元に飛んで行き、〈地獄の眠り〉をあつめて箱に戻しました。

「プシューケー、君は好奇心からまたしてもを滅ぼすところだったんだよ。だけど、あとは私に任せてしい。」

エロースは、雷帝ゼウスに二人の結婚をお願いに行きました。

「お願いです、母上を説得してください!」

「う、うむ。」

ゼウスは、神アフロディーテを説き伏せると、とうとう「3試練」に対するプシューケーのひたむきさに、許しを與えることにしました。

「此方に參れ。」

ヘルメースがエロースとプシューケーをゼウスの前に導いていくと、ゼウスはプシュケーにアンブロシアーを飲ませ、彼を不死にし、神々の仲間にしました。

「君も神の仲間りだよ、プシューケー。おめでとう。」

「はい!エロース様!」

ここにめでたく、2人の結婚式が行われることになりました。

_________________

____________

______

「此処は.......何処?」

世界が暗転したかと思えば私は海沿いに倒れていた。

「なんで私は......」

先程まで結婚の式を上げて居たはずなのだが。

「うぅ......」

アンブロンシアのおかげで神になった。だけども得られた権能は不老のみ。民からの信仰心がなれければ特定の権能は生み出されない。

「どうしよう....」

暫く海沿いを歩いていると、整った道がし登った場所にある事を確認出來た。

「寒い.....」

棒のようなが道の端な立ててあり、看板が不自然に置かれている。

「鎌..............倉?」

私の國の字では無いことは確かだ。だけども読めた。此れは神になったゆえの効力なのだろうか。

「う、うわぁ!?」

綺麗な道の中心に立っていると、鉄の塊が凄い速度で私に向かって來ていた。私は腰を抜かしその場へとうずくまる。

「大丈夫ですか?」

鉄の塊から人が二人出てくる。男と。夫妻なのかもしれない。

「うわ、凄い人な外人さんだな。」

「ほ、本當ね.....CGみたい....」

二人は自分に手を貸してくれる。

「あ〜ジャパニーズ、OK?」

何とかコミュニケーションを図ろうと話を掛けてくれた。

「私は貴方方の言葉を理解出來るので安心してください。」

言葉は違えど、神の力でそれを自的に翻訳し相手に伝わるようになっている。

「え、今、日本語を話したの?」

「はい。」

笑顔で返事を返すと二人は何故か赤面した。

「な、なぁ、これって何かの撮影とかドッキリなのか?」

男が照れた様子で私へとそう言う。

「撮影?......どっきり....ごめんなさい、私、あまりこの國に関して詳しくないの。」

白い裝束を纏った人が道路の真ん中で座り込んでいたのだ。それらの事を疑う他にない。

「あの、この國は何処なのかしら?」

プシューケーは二人へと聞いた。

「日本、ですけど......」

「日本.....聞いた事がないわね。」

「ギリシアは何処かしら?」

「ギリシア?」

二人は顔を見合わせ、ギリシャではないのかと言う。

「此処ですよね。」

は小さい鉄をポケッ卜から取り出すとガラスの様な場所からギリシアの一部を映し出し

(私の常識とはかなり逸している......)

「...........貴方方はオリュンポス神を知っているわよね?」

「えっと、確かギリシャ神話とかだったよね。」

の方が答えた。

「ゼウスとかポセイドンとかが有名だよね。」

私の知る名前。

「軽々とその名を口にすれば罰が當たるわよ。今回は私がおじさま方に説明をするので大丈夫でしょうけど次回からは気をつけなさい。」

プシューケーの発言に二人は顔を引きつらせる。

「ねぇ、この子、ちょっとヤバイじの.....」

「う、うん、オレもちょっとじた....」

車へと後退を図ろうとするとプシューケーは二人へと問いかけた。

「一つだけよろしくて。」

「え、えぇ。」

「船場は何処かしら?ギリシアへと帰りたいの。」

に手を當て懇願する。その姿はしく、二人は、特に男の方が見惚れてしまう。

「こ、困ってるんだし、乗せて行こうよ?な?」

男の方がへと食いる様にそう言う。

「貴方.....でも、そうね。此処で置いていったら流石に酷いと思うしね。」

プシューケーを後部席へと案し、車を発進させた。

「紹介が遅れました。私の名前はプシューケー。よろしくお願いするわ。」

「ぷ、何だって?」

「プシューケーよ。一國の姫だったのだけれど、先程、私は神の一端に連なったわ。」

男の方が苦笑をする。

「もしかして、プシューケーさんはア二メなどがお好きなんですか?」

「ア二メ........ごめんなさい。異國の言葉を完全に理解しているわけではないの。」

の方はこそりと攜帯で名前を打ち込んで検索をしていた。

「プシューケーさんって、ギリシャ神話の登場人になりきってるんじゃなのかしら。」

ウィ○ペディアに乗るプシューケーと言う名をクリックし朗読を始める

「なっ!?何故貴が私の歩んできた過去を知っているのですか!!」

プシューケーは神ではない唯の民に己の過去を知られている事に驚愕と怒りをじた。

「プシューケーさん!?どうしたの、いきなり。」

は驚いた様にプシューケーをなだめる。そして攜帯をプシューケーへと渡し、容を確認させた。

「わ、私はまだ、アプロディーテー様の試練の最中だとでも言うの.....」

走行する車から飛び降り海外沿いに著地する。二人は人外じみたその跳躍力に驚きはしたが、すぐに車を急停車し、二人はプシューケーの名をんだ。

「此処でけっこうです.....ありがとう、名も知らぬ民よ。」

その言葉を最後に二人はプシューケーの姿を見失った。車から抜け出し再び一人となったプシューケーは海の家と書かれた民家にて休息をとっていた。

「幸い、この辺りに人の気配はありませんね。」

冬と言う事もあり、人一人としていないのだ。

「先ほどのには申し訳ありませんが、私は何よりも報が必要なのです。ありがたく使わせていただくわ。」

から手渡されていた攜帯をそのまま持ってきたのだ。

「確か、この場所に文字を打ち込めば、必要な報が得られる筈。」

この世はどのような世界であり、自分の世界はどうなっているのかを検索した。そして記事へと目を通して行くと驚愕の事実に驚いた。

「..........私の世界が虛偽であり、古代のギリシア人が書いたただの語だと言うの?いえ、信仰があると言う事は存在

していた証拠にもなりますわ。だけど、誰一人として神の気配をじる事が出來ない。」

頭が痛い。いくら神の気配を探ろうとも誰一人としてじられない。アンブロンシアを食したあとからはどんなに距離が離れていようとも神の存在を認識する事が出來たというのに。

「エロース様......私はどうすれば。」

疲れからか目を閉じ意識を閉ざす。深く。深く。深海に潛るような覚だった。

「_________君のことが好きだ。」

エロース様から頂いた最高の言葉。

「はい、私もお慕いしております。」

幸せの絶頂。先程まで行われていたであろう景を目にする。

「はっ.......私は」

眠りから目を覚ますと日は既に沈んでいた。攜帯を確認しようとするが、何も畫面には移し出されない。電池切れの様だ。

「私は此れからどうしましょう......」

しかない。自分の知識が通用しない世界。かつてけたであろう試練よりも難易度が高いとじた。

「うっ!?....何、此れは......」

頭の中に鮮明な記憶が植え付けられる

「王冠.....戦爭.....?」

いくさごと 王冠戦爭という戦事の知識が脳へと伝わる。そして、それと同時に地図にいくつもマッピングがされたような映像が脳へと移し出された。

「敵......位置?....意味が分からないわ.....」

店に置いてある時刻には十二と言う位置に針が指されていた。それから瞬くすると脳への報が抑制されていった。

「勝利者には......全てが手にる。」

そして、その通知を最後に報は完全に途絶えたのである。

「そんな、私は爭い事をする為にこの世界に呼び出されたのですか!」

ふざけるなとんだ。幸せな日々が此れから始まろうとした矢先に起きたのだ。たまったものではない。

「はぁ.......はぁ......一度、私と同じ立場の者に合間見えるしかない.....」

話し合いを行えば爭わなくも良いと勝手に決めつけ、先程、送られたであろうもっもと近い敵の所在地を目指し、歩を開始するのであった。

「あぁああん、オレの近くにいる奴がいたなぁ?」

スロッ卜を打ちながらそんな事を一人口走る巨漢の男。彼の名前はロバートJr。“拳のゲン”と呼ばれる昭和漫畫を原作としたライバル格の男だが、主人公への敗北からか逆恨みし、主人公の家族を殺害。もちろん最後は主人公により対峙され警察に連行されるのだが、余りの唐突な展開に當時の読者は驚いたと言う。

「王冠戦爭なんてクソ見たいな事にうつつを抜かせるかよぉ。せっかくのシャバなんだ。楽しませて貰うぜ。」

タバコをふかし、スロッ卜へと現金を投する。

「そこの方、しよろしいでしょうか?」

するとそんな元ボクサーの元に大層人な白人がやってきた。

(べっぴんなてもんじゃないぞ.........此れは)

ロバートJr.は立ち上がり、警戒の念を持ってそのへと視線を下げた。

(以前の俺はイキって俺見たいな創作をぶっ殺そしてやろうと思った......だが、)

の奴が自分見たいな格をしたやつを塊にした姿を目にしたのだ。

(漫畫なんて読まねぇーが、流石の俺でもスーパー○ンくらいは知ってる。そんな奴らの殺し合いになんて參加出來るか。)

毎夜、送られる敵の報から逃げる毎日。ギャンブルなどでストレスを紛らわせているが、恐怖が常に隣り合わせだ。

「あんたも俺と同じ、創作なんだろう?」

冷や汗を浮かべる。このが何かしらの者なら命はない。

「創作.....ですか。」

は顎に手を當て何かを考えるような素振りを見せる。

「_____王冠戦爭」

その言葉がの口から出る。その冷めた口調にロバートの張は張り裂け、神速と呼ばれた右ストレートをへと向けて放った。

「そう、ですか。」

しかしは渾の一撃を軽々と避け。ロバー卜の腹へと手をれた。

「跪きなさい。」

衝撃波の様なが全へと伝う。そして、ロバー卜はその場へと倒れる。

「お、お客様?」

店員が異変に気づいたのか此方へと近づいて來た。しかし、プシューケーは何も問題ないと言う。

「すいません。私の友人が興の余り倒れてしまいした。後は私が何とかするのでご安心下さいな。」

ロバートを軽々と持ち上げ店を後にする。

「_______痛いっ!?」

バチンと頬を叩きロバートを叩き起こす。

「起きなさい。」

「こ、此処は.......あんた!?.....頼む.....殺さないでくれ!」

意識を取り戻すとそこはホテルの一室だった。ロバートは興したように謝罪の言葉を述べる。

「申し訳ありませんが、貴方の財布から々とお金の方を拝借いたしましのであしからず。」

ピンクの裝から此処がラブホテルである事は明確だ。

「........オレをどうするつもりだ。」

ロバートは距離をとりつつ、視線をプシューケーから離さない。

「どうするつもりもありません。いくらか質問をするだけです。」

ロバートはその言葉を聞き彼がこの世界に召喚されたばかりの創作である事を理解する。

「いつ、この世界にやってきた。」

「今から10時間程前でしょうか。」

「そうか。」

利用出來るかもしれないと邪ながざわめくがロバートはすぐにその思考を捨てた。

(このは危険だ.....)

がそう言うのだ。力量が違い過ぎる相手との喧嘩に置いてじるあの。人間ではじられない神気を選手の研ぎ澄まされた覚から自然とじとったのである。

「貴方はこの戦いに參戦するのですか?」

「....くく、參戦を拒否出來るとでも思ってるのか?」

思わず笑ってしまうロバート。

「何が可笑しいのですか。」

「そうか、アンタは啓示をけて一日目と言う事になるのか。二日目に伝わるだろから覚悟して聞くんだな。」

しかし、プシューケーはニコニコと笑いながらロバートの首を締め

持ち上げる。

「私は雑談をする為に來たのではないわ。答えていただけなければ貴方の首をへし折り次の相手を探すまで。」

冷徹な眼差しが突き刺さる。ロバートは泡を吐きながら、プシューケーの摑み上げる腕をタップする。そしてプシューケーは手を離し、ロバートを見下げた。

「愚民が。」

「はぁ....はぁ.....」

苦しそうに息を吐き出し、プシューケーを恐れた目で見上げる。

「答えなさい。」

ロバートは悔しそうな表を浮かべると説明を始めた。

「.....區分事に各100名の創造が召喚される。俺たちはアシア州に該當される100人のの一人だ。そして、一年と言う期間を使い、五名までに減らさなければならない。これは何処の區分に置いてもそうだ。」

「それが終えたら?」

「各區分での頂上決戦だ。」

プシューケーは啓示と呼ばれる報の最後に呟かれた臺詞を思い出す。

「勝利者には......全てが手にる。」

「あぁ、願いがなんでも葉うらしい。だけど俺が知る限りの奴らじゃあみんな元の世界に戻るという願いだ。」

プシューケーも同じだった。

「そうですか。報の提供、謝しますわ。そしてさようなら。」

ロバートの頭部がから離れる。首元からは大量のが吹き出し、プシューケーの顔や服に付著する。そしてペロリと頬に付いたを舐め口元を歪ませる。

「不味い.......」

を落とすためにシャワーを浴びるプシューケー。

「......エロース様....」

目的は確定した。あの程度の相手ならば私の手で殺害する事が可能だ。このは神と同義。唯の人間程度などに遅れを取るはずもなしと慢心をする。

「服は......これしかありませんか。」

ロバートの死骸の前にて一階で貸出をしている裝へと著替える。

「致し方ありませんか。」

使用人の格好、もといメイド服なるものへと著替える終えると、ロバートのポケッ卜などを詮索し攜帯と財布を取り上げた。

「知識も多方、手にれましたし.....行きましょうか。」

元の世界へと戻る為に行を開始する。その結果、世間では大量殺人者として取り上げられ捜査が行われる事になるが見つかる筈もなく、プシューケーは日本全國を淡々と移していた。それから暫くするとプシューケーは積極を失い行に移さなくなる。何故ならば、殺戮者と化し、同胞者や民間人を殺していたところ、『蚩尤』と言う人から協力の申し出があったからである。

「デュフフ.......あぁ、このアニメはまだ...み、見ていませんでしたねぇ。」

漫畫喫茶の様に漫畫に埋め盡くされた部屋にてパソコンに打ち込むプシューケー。

「えへへ....わ、私の配信.....み、見てる〜....みんん、コメントして.....デュフ」

ネッ卜にてカリスマ的人気を誇る様になったプシューケー。そんな彼が巷を騒がせた殺人者であることも知らずリスナーと呼ばれる人間らが崇拝に近い形で彼を応援していた。

ガチャ

家の扉が開く。

「プシューケー、いい加減にしてくれ。君に部屋を與えているのは娯楽に投じさせる為ではないと.....君と言う人は。」

慌てた様に上著を羽織るプシューケー。薄著で配信を行っていた彼に対しため息が出る蚩尤。

「ちょ、蚩尤さん!わ、わたくし、、ち、違うんです、こ、此れは、そう、そう!この世界のけ、研究です、はい。」

『イケメンキター┃( ́∀`(⊃*⊂)┃!!』『(^o^)/オワタ』『プシュちゃん(,, ゚Д ゚) ガンガレ!!』『兄キタ┃( ゚∀ ゚)┃!!』

などと弾幕がプシューケーのパソコンの畫面から流れて來る。

「はぁ、君の目的はエロースの元へと帰る事だっただろう?」

「...........」

無言になり冷や汗を流すプシューケー。

「おい。」

目を逸らしパソコンへと顔を戻そうとするが蚩尤により元の勢に戻される。

「もぉぉおおおお分かりましたぁ!私は戻りたくありませんよぉーだ!だってこの世界、楽しすぎるんですもん!不幸がないんですもん!ア二メにイケメンキャラが多いんですもん!オリュンポスの神どものネチネチとした姑のようないびりがないんですもん!エロース様はかっこいいんですけどぉ....今となってはどうでもいいです!」きっぱり

開き直りそうぶ。そして、私の楽園は此処にありますとパソコンとア二メグッズなどを大切そうに抱きしめた。

『流石オタク(∴◎∀◎∴)』『兄ドンマイww』『一生ついていきます( ́Д` )』『可そ過ぎるだろww』

コメント欄が荒れ狂う様に流れる。

「YOUTU○Eにも投稿をしているらしな、君は。頼むから目立つような行は控えてくれと言ったじゃないか。」

「あ、それは無理です。」

蚩尤はぶちりと切れ、無理矢理とプシューケーを外へと連れ出した。

「ちょ、ぱ、パソコンの電源消してない、ま、蚩尤、さん!」

蚩尤は外に待機させていた部下に命じ、部屋の後始末を預ける。

「此れで満足か?」

「あ、あの、ぜったいにぃ、ファイルだけは見ないで下さぁい!!み、見たら、ころ、殺しましゅっ!」

部屋へとる部下に遠巻きから忠告する。そしてフロン卜にて待たせていた車へとプシューケーを押し込め、空港へと向かう。

「.......あ、あのぉ、何処にい、行くん、です、かぁ?」

プシューケーは若干冷えた目で見てくる蚩尤に対し問いかける。

「_________インド、ヴァーラーナシー」

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