《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百七十六話『脅威と驚異』
プシューケーは両手を左右にばし口元を歪める。ルキフェルは速度を生かしプシューケーの後部へと現れると槍で突きを放つ。あまりに速すぎる突きは本來ならば避けられない。しかしその槍は虛空を突いた。
「なっ!?」
驚きの表を見せる天使を押し退け瘴気を全方位に出現させ、プシューケーを取り込む。
「お邪魔しますねぇ♩」
ルキフェルは即座に空へと飛び、手を翳した。
「その一撃は直ぐに破られる。」
ルキフェルの言う通り瘴気を何事も無いように弾き飛ばすプシューケー。ケラケラと笑い舞を見せる様にくるくると回る。
「”天のよ”」
瘴気を弾き飛ばした瞬間を狙い攻撃を仕掛ける。雲を貫きレーザーが如く日のが幾重にも重なりプシューケーを襲う。しかし放たれたは軌道がずれる様に全てプシューケーから外れた。
「やはり世界があの娘を安全な道へと導いているのですね。」
ルキフェルが鋭い目つきで本質を捉える。
「因果を捻じ曲げる、ですか。確かに彼には攻撃が當たらない。世界が其れを許さないから。」
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ディアーナは魔獣を數十と出現させ同時に襲わせる。
「ふふふ、今の私をその様な雑兵で倒せると?笑止!私の加護は私を清き道へとう。決して失敗などはしません。」
持ち前のパンクラチオで魔獣を破壊し、加護で攻撃を弾く。完全なる攻防一。
「脆弱な英雄と一緒にしてくれるなよ。私の修羅場はヘラクレースにも劣らぬ。」
最後の魔獣の頭部を踵ですり潰す。圧倒的な自信に、実力を見せるプシューケーに冷や汗を流す。目に見えて強いとはこう言う者の事を言うのだろう。鋭く彼のを観察すると凄い筋だ。鍛え抜かれた歴戦の勇者そのものだった。
「評価が覆るとはこの事を言うのですね。」
先程までのとは思えぬ程の実力にルキフェルは小さく笑った。
「安全な道へとうと言うのならば」
ディアーナが魔獣達の死を踏みつけ地を足でコンコンと鳴らす。ルキフェルトは上空で待機しディアーナの臺詞と合わせる。
「「安全な道を完全に潰えて仕舞えば良いだけではありませんか。」」
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瘴気が一帯全てを包み、のがその周囲を覆い完全に逃げ道を斷たれるプシューケー。
「この程度の事で私が負ける、と?」
完全にが閉じる前にその言葉を殘すプシューケー。そしてには亀裂がり側から破壊された。
「ふふ、あぁ、痛みがへと駆け巡る。」
プシューケーが姿を現わすが予想打に反して無傷では無かった。
「この程度の闇で私は制する事は葉いませんわ。ただ、を用いる貴方、常識破りでは無くて.......その常識やぶりな容姿も含めてですが、でゅふ。」
どうやらルキフェルの攻撃だけは通った様だ。
「ふふ、ディアーナはもうし頑張らないといけない様ですね。」
プシューケーのは全が火傷を負った様な姿だった。
「.............ルキフェルさん、もう宜しいでしょうか?」
ディアーナが肩を小さく上げ小馬鹿にする様な表でそう問う。
「そうですね。あの”人間”の全力は概ね把握しましたし、もう十分でしょう。」
プシューケーは二人のいきなりの會話に思考が間に合わない。
「お二方は何を言って.......」
ルキフェルは槍を消しディアーナの隣へと降りる。そして二人は意地悪くプシューケーを嗤った。
「...........なにが可笑しいのかしら?」
プシューケーからヘラヘラとした表が消える。拳を強く握り殺意を持って二人を捉えた。
「何が可笑しいと言われましても、ねぇ?」
「えぇ、ふふ。」
二人の態度にイラつきをじたのか拳を間の中心に強く打ち込み完全に城を倒壊させる。
「ここらで終わらせましょうか。そろそろ、ワタクシはそこに居られる深淵さんと百合を深めなければなりませんので。」
「「あははははははははははははははは」」
どの口が言うんだと二人は馬鹿笑いをする。
「自覚がない様ですから言いまけどぉ.........」
ディアーナに続きルキフェルが冷たい口調で言い放った。
「弱いんですよ、貴方。」
その臺詞と共に加護が完全に外される覚に襲われるプシューケー。
「なっ!?........一、何が?」
理解ができない。プシューケーはそうじた。それと同時に恐怖をじる。加護があったからこそ、目の前の二人の攻撃を全て避けれていた。しかし、その盾である加護が消失したのだ。
「最初から剝奪などしてしまえば楽でしたのですがぁ.......ディアーナがどうしても貴方の全力を知りたいと申しましたので、々、遊戯に行じてしまいましたね。」
後はディアーナのものだと言わんばかりに背を向けブランチェの戦場へと足を進めるルキフェル。
「さて、メインディシュとしましょうかぁ♩」
舌舐めずりをするディアーナを見て背筋を凍らせる。
「あ、あはは、し、蚩尤、さん、た、た、助けてくださあああいいい!ワ、ワタクシ、ぴ、ピンチでしてよ!!」
「そうか、其れは殘念だな。」
しかし帰ってきた返事は蚩尤によるものではない。聲のする方向へと顔をかすと蚩尤の死を加える銀狼がいた。背後には崩れていく樹木がいくつも重なりまるでしい背景畫を見ている気分に陥る。
「あ...........死んだ」
プシューケーはその場で膝をつき、ヒクヒクと笑う。涙目になっていることから同をなからずじるブランチェだが、ディアーナはけをかけるつもりはないだろう。
「あ、あの、わ、そ、そうだ!わ、ワタクシ、な、仲間に、な、なりましてよ!ぜ、絶対に役に立ちましてよ!必ず、貴方方のち、力になる事を約束致します!」
プシューケーの元にディアーナが近づく。そして優しい笑みを浮かべると肩に手を置き一言述べた。
「ふふ、そうですか。貴方の願いは葉うでしょう♩」
パァアと明るい表を見せるプシューケーにディアーナはニンマリと愉悅の満ちた顔で告げる。
「私の”中”で、ですがねぇ♩」
プシューケーを取り込む様に瘴気のが一斉に舞い上がる。
「え________」
プシューケーはその臺詞を最後に瘴気に補食され、ディアーナへと還元されていった。
「終わりましたねぇ♩おっと、ルキフェルさんが倒してくださった
鳥さんもぉ頂きましょう♩」
首が刎ねられたガルーダの死をついでとばかりに瘴気で取り込む。
「此奴はどうする?と言おうとしたがぁ、本はどうやら逃げたようじゃな。」
咥えていた蚩尤が五兵のの一本と化す。
「もぅ♩しっかりしてくださいなぁ、ブランチェさぁん。」
ディアーナはつまらなそうにそう言うとブランチェはシュンとした。そして咥えていた矛へと目を向ける。しく洗禮された矛。ルキフェルの持つ天の槍に並ぶやも知れない程のしさだ。
「その矛............貰いましょうか?」
ルキフェルが安易にそう聞くと眉をピクリとかし首を縦へふった。
「好きにしろ。」
槍を渡され、握る。凄い神気をじる。まるで以前から持っていたかのような覚。
(し気持ち悪いですね.............この矛。)
しかし、武は多いに越した事はない。青年にあげれば短剣との複合が可能となるかもしれない。
「さて二人を殺りましたねぇ♩殘りは如何程殘っているのでしょうねぇ。」
ディアーナは指で數える仕草をする。しかしその手をゆっくりとルキフェルが下す。
「そんな事よりもブランチェ、貴方は何をやっているのですか?あの程度の実力者であれば容易く屠れた筈です。」
怒りの聲を上げるルキフェルト。ブランチェは人間に戻り一本の苗木を手の平に出現させる。
「吾輩がむざむざと逃すとでも?」
オドの気がソナーの様に倒壊した城の上空で四方三里へと広がる。
「これは......」
天使はじる。それは敵の位置だった。
「そう、蚩尤と呼ばれる者の位置だ。」
ルキフェルとディアーナは即座に意図を理解し、口元を歪める。
「他の創作の元へと行く可能が高いですねぇ♩」
「えぇ、此れは好都合です。えぇ、実に好都合です。」
まるで悪役の様な二人の極悪な表にブランチェは苦笑いを見せる。
(なからず、これまで以上に事は進行している。........戦いはより加速する。)
単で襲って來た奴、そして今回は団戦だった。他にも徒黨を組んでいるグループが存在しているのは確かだ。
「なぁ、一つ聞いてもよいかルキフェルよ。」
「どうしました?」
一つ引っかかる事がある。先程の戦いについてだ。
「加護についてだが.....なぜ、終盤奴をあんなにも簡単に倒す事が出來たのだ?」
純粋な疑問。何故、手こずっていた相手が急に弱化させることが可能だったのか。
「あれ、ブランチェさんは知らないのですかぁ?」
「あぁ、我が世界には加護持ちの人間はいなかったのでな。」
「...........それでは私が説明致しましょう。熾天使であり、神の次席であった私にとって人間の加護などは無力に等しいのです。誰よりも把握し、剝奪や封印も可能なのです。そもそも加護を與えるとは「神」や「天使」、「霊」などと言った上位種のみの特権だという事は事実でしょう。」
青年がこの場にいれば『後付けの様に様々な能力を加算されていく能力を完全に理解する事は出來ない。』と言うだろう。
「そもそもこれは能力でも何でもない。在るべくして備わっている権利の様なもの。」
「はぁ、良いですよねぇルキフェルさんは。瘴気で自のフィールドを作り出さないと加護を封じる事が出來ないんですよねぇ、私の場合。ほら、RPGでもあるじゃないですかぁ?この空間では能力が発しないみたいなボスキャラのステージ。あれ仕様なんですよぉ、私ぃ。」
要約するに加護などに頼っている英雄では私たちには勝てないという事になる。
「もしブランチェさんは加護持ちと相対した場合、どう対処するおつもりですかぁ?」
「そうさな。先ほどのディアーナの意見を聞く限りだと吾輩も己の陣地を構築し、対処にあたらねばならぬようだ。殘念ながら、吾輩にもルキフェルの様な優れた能力は持ち合わせおらぬ。まぁ、ディアーナと同じと言ったところだ。」
大地の権能で自のフィールドを構築して加護を封じるしかないのだ。
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