《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百九十話『星の寶玉とジョン』

崩壊寸前の煌びやかな門。黃金に輝く階段の崩壊。天空から差すと合わさり、見事なまでにしい景を見せつける。

「_______ジョン。」

怒りではなく、失意の気持ちが勝る。

(門への繋がりは消え、気配を探る事は葉いませんか。)

加護を授けた際に得る恩寵、青年の気配が未だに遮斷されていた。これでは位置の報を探索する事は出來ない。

「ディアーナ、瘴気による索敵はどうですか?」

翼を解放し、地上へと著地する。

「いえ、瘴気の繋がりが完全に絶たれております。彼の出自には目を通しましたがぁ、彼の力については深く記述されていませんでしたね。それに先ほど見せた破壊の『力』、彼はどのような力を他にお持ちなのですか?」

ディアーナが神妙な面持ちで蚩尤へと問う。

「私にも分からない。星の寶玉が用いる“力”は謎に包まれている。君が言ったように原點である書籍にも記述がされていないのだ。」

弱點を打つどころか、此方側が呑まれてしまう。

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「我輩やカミーユと同じように語のには語られなかった力と言う訳か。」

想定外の事象が立て続けに起きている。知り得た報は『破壊の力』を用いること。

「最早我慢の限界です。ジョンの救出は今行います。異論は認めません。」

ルキフェルは淡々とそう口にすると、空港の一部を吹き飛ばし天のを顕現させる。そして翼を広げると一人天高くへと飛翔した。

「逃しません........地の果てでも必ず貴方を........」

一言”ジョン”と小さくらすとルキフェルの姿が消えた。

「ルキフェルめ、冷靜ではおらぬな。」

ルキフェルが単獨で行する事を見越したブランチェは狼の姿へと戻り、空港に存在する管制塔の最上へと移していた。

“オドの流れ”

全ての生命へと流れ出る気を汲み取る事で青年の痕跡を辿ろうとしているのだ。

「異論などあるわけがありません。私の手に屆く限り、私は彼を、副団長を救い続けます。」

瘴気が空港を起點として拡散される。湖南省は徐々に瘴気により犯されて行く。

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(救い出さなければぁ............私は壊れてしまう。)

瘴気を取り込んだ人々は過呼吸を起こし、命の燈火を削っていく。瘴気の質を人が死なない程度には抑えてはいるが長時間となれば死へと繋がる。それでもお構いなしにディアーナは拡散し続ける。彼にとっての『全て(ジョン)』見つけ出すために。

(狂っているな。あの人間の事となれば思考がまともではいられないか。)

ディアーナをその場へと殘し管制塔へと向かう蚩尤。

「星の寶玉の様子から見てジョンと言う人間は無事だろう。」

「可能が零だとは限らぬ。」

比較的に落ち著いた様子を見せるブランチェの元へと降り立った蚩尤。

「君は冷靜でいるようだが、心配ではないのかね?」

ブランチェはオドの流れに集中しつつ、その問いに答える。

「仮にジョンを死なせたとあらば、我輩は裁定者もろともこの星を消そうとするであろうな。」

蚩尤は目を見開き狼の姿を見る。

「正気の話とは思えないな。」

無限と力を増幅させるあの剣を用いれば星の破壊など容易な事だろう。蚩尤はそれを危懼してか武かに構えようとする。

年は我輩らの楔だ。それが斷ち切られれば我輩らの正気は無へと帰す。唯ひたすらと暴を盡くす魔徒とな。」

鋭い牙を見せ蚩尤の刃へと目を向ける。

「やめておけ。我輩は頗る機嫌が悪い。」

拾った命を無駄にするなと目で語る。

(.........大船に乗ったつもりでいたが)

蚩尤は矛を収め、ブランチェを靜観した。

(人間よ.........お前は魅了の枠を超えているよ。)

鎧の兜の中で小さく笑うと、天へと広がる瘴気の災禍へと顔を向けた。

「__________最早呪いの域だ。」

遡る事、數日前______

「ようこそ、妾の宮殿へ。」

しい笑みを見せながら自分の手をとり長い廊下を歩く。

「アンタ、どう言うつもりだ。」

「其方に興味がある、と言うたであろう?」

そんな臺詞、一言足りとも聞いていない。手を一度振りほどこうとくが、今度は自の腕へと彼の腕を絡めてくる。

(なんなんだ、こいつは。)

しきりに嬉しそうな表を浮かべている。しい顔立ち故に疑心をじざるを得ない。

「_____分からぬか?其方の存在は希だ。複數の力を個に宿し、あまつさえ不老の加護をも持つ始末。よほどの信頼と寵を持たねばそれらの奇跡は授けられぬわ。」

エレンミアは青年のへと人差し指を當て如何に彼の存在がデタラメであるのかを説明する。

(ルキフェル達の加護の事を言ってるのか?)

「.........たまたま貰ったものだ。食住を共にしていればも湧かれるだろう。」

けっして自分からっした力ではない。あくまでもルキフェルらが勝手に授けた力だ。

か.........くく、面白い。ならば、妾の元へと下れ。そのとやら、味わいとうなあたわ。」

手をばし己のとなれと言う。

「“此方側”の要求を呑んでくれるのなら、考えるよ。」

斷ると踏んでいた筈だが、青年の以外な答えに眉をピクリとかす。

「申して「お姉さま!探しましたわ!!」

エレンミアの妹であるエルミアが姉の姿を見つけ此方へと走ってくる。

「........お姉様、その方は一誰ですの?」

エレンミアの前へと守る様に立ち、敵意を持って此方を見るエルミア。

(すっごい睨んでくるなぁ)

ため息を吐きそうになるが、それを堪えただエルミアの視線へと合わせる。

「................あ、余り見ないで下さる」

するとエルミアは視線を逸らし頰を紅く染めた。

「照れてるのか?」

目があったと言うだけで初心な事だ。青年は鼻で笑い、エレンミア方へと視線を移す。

「な!?貴方今笑いましたわね!」

口元が一瞬緩んだ事に対し、怒りの表を見せるエルミア。そして己の武へと手を掛けようとした瞬間、エレンミアにより制されるエルミア。

「そう邪見とした態度を取るな、エルミアよ。」

エレンミアは妹の頭へと手を起きなだめると、青年へと続きを申せと目で諭した。

「________俺”たち”は『星の寶玉』と手を結びたい。」

當初の目的である協定関係の申し出を行う。

「妾らと協定とな。」

エレンミアは目を見開くと、下を向きプルプルと震える。

「あはははははは!エルミアよ、聞いたか?敵方である妾らと..........」

エレンミアは青年の表を察してか冗談ではない事を理解する。そして笑いをやめ指をパチンと鳴らした。

「ここは........」

エレンミアの指鳴りと共に視界が変わったのだ。そこは聖鳥ガルーダが城としていたラームナガル城よりも煌びやかで神々としたしい城間だった。そしてその中心に存在する玉座へと腰を下ろすエレンミア。隣には従者のようにエルミアが寄り添う。

「何の真似だい、星の寶玉よ。」

ピクリとを震わせる。突然と背後から男の聲がしたのだ。

「_____貴方、誰?」

振り向くと其処には目を瞑った大柄の男と、ほんわかとした雰囲気を纏うがいた。

(こいつらも間違いなく『創作』だ。)

蚩尤の言っていた報の通りであれば、魔眼保持者『バロール』共に『ウォフ・マナフ』以外にあり得ない。

「妾が有用か、無用かを試したかったのであろう?」

「僕が君を”視た”のは試練ではなく、純粋に僕の目が君に効くかどうかと言う結果だけだ。」

以前、バロールはエレンミアを魔眼で見たのだ。その際にエレンミアは己が本當に戦力として益となるのか、と言う疑問をバロールが抱いているのではないかと誤解をしたのだ。

「なんだと、それでは妾の働きが無駄となったではないか。」

其れを払拭させる為にいた結果が『未知數』の重要人である自分の拐であると。

「あの、つかぬ事をお伺い致しますが、エレンミアさんは何方へとお出掛けなさっていたのですか?」

間の扉が開き、著の様な外裝をしたが質問を投げかける。

(見た目からしてあれが乙姫で間違えないか。)

橫目で乙姫の姿を確認し、エレンミアの方へと向き直る。

「”未知數”との接、そして面白い人間を連れて來た。なぁ?」

同意を求めるがエルミアは答えない。先ほどの事を未だにに持っているのか此方を見ようともしない。

「あのぉこの殿方は一、どなたなのですか?」

乙姫は得の知れない青年の存在を流石に警戒してか問う。

「“未知數”どもと行を共にしておったこの世の人間よぉ。と言うても半分と人を止めているようだがな。數多の波がこの者のめられている事は龍神の巫である其方にもじよう?」

人間をやめているとは酷い言い草だ。

「加護が複數と、これは........」

冷や汗を流し、水に輝く瞳が自を捉える。

「黒より染まりし深淵。伊邪那様以上に禍々とした災禍がへと浸している?馬鹿な、唯の人間に耐えられる筈など........」

「其方は何を申しておるのだ、龍神の巫よ?其方とて覚えはあるだろうに。そら、其方の逸話で耐えた人間、名はなんと言ったか」

エレンミアは『浦島太郎』の名を言いたいのだろう。

「あの方は.........いえ、質と言うが常軌を逸して.....それに、」

言葉を詰まらせる乙姫に対しエレンミアは告げる。

「まぁよい。神々にも引けを取らぬ眉目秀麗な容姿に、その堂々たる度。そして數多の創作らから恩寵をも授けられてもおる。まさに祝福の子よぉ。」

エルミアが舌打ちをした気がするが、聞こえなかった事にしよう。

「そして妾はその者を気にった。」

舌なめずりをして全をくまなく眺めるエレンミア。青年はブルリとを震わせる。

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