《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百九十四話『村の危機』
辺境の地、ヘイヴンに來てから2年の月日が流れた。平和なこの地には戦の影響はない。父上は其れを考慮して妾達を此
処へと送り込んだのだろう。敗殘兵、行き場のない孤児、寄りのないない者、異種人など、以前に比べ様々な人々が移り住んで來たと思う。最初は生気のない目をした者も一月後には笑顔となる。其れほどまでにこの村は優しさに満ち溢れていた。だからこそ皆は安堵し安心して暮らせたのだ。
「今日も働いてるわねぇ〜王様!」
畑の作業をしていると聲を掛けられた。
「コンスタンティアか。」
ドワーフを夫に持つエルフのエルフ、コンスタンティア。彼はエン・グレイスの軍部に所屬していた過去を持つ。しかし過酷極まりない戦場に耐え切れず、逃走をした。その旅路の途中にドワーフの男に助けられたのが馴れ初めだそうだ。しかし、仮にも時期王でもある妾に事実を伝えるのは心如何なものだろうかと疑問を浮かばないでもない。
「エルミアは其方の職場でしっかりと働いておるか?」
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「ええ、もちろんよ!エルミアちゃん可いから、お客さんに大人気なのよ〜!エレンミアもウチに來れば良いのに!そもそもエレンミアもエルミアちゃんも皇族でしょう?なんで働いてるのよう!」
お金にはもちろん困ってはいない。だからと言って怠惰とした態度で日々を過ごす訳にも行かないのも事実。
「妾はをかす方がに合っておる。それに皇族だからと引きこもる程、落ちぶれてはおらぬよ。」
見た目とは違い案外とアクティブなエレンミアにコンスタンティアは優しい表を見せた。
「そう言えばあの年、近頃はエルミアへと求を示したと聞いたが、如何なのだ?」
二年ほど前に妾に対し慕を抱いた年だが、エルミアの過度なる接(嫌がらせ)が気持ちを変させたのか、近頃頻繁にエルミアへとそれらしき態度を見せていると聞く。
「ああ、チェルノ坊やね。見事に玉砕していたわね、ふふ。」
思い出し笑いをするコンスタンティア。
「俺はお前の事が好きだー!結婚を前提に付き合って來れー!」
コンスタンティアが劇をする様に臺詞を並べていく。
「ごめんなさい。私はお姉様一筋ですの。とじの流れだったかな。」
エレンミアは鍬を置きため息を吐いた。
「姉離れが出來ぬ、愚か者め。」
「お姉さん思いで良い事じゃない〜」
他人事だと思って言っているようだが近頃のエルミアは頭がおかしいのだ。風呂や寢床は一緒にり、挙げ句の果てには厠まで一緒にってこようとする始末。一度教育をし直さなければ將來はより酷いになりかねない。
「はあ、し思い過ぎな気もするがな。」
この様にたわいも無い話題で盛り上がることは平和であると言う証拠だ。部下であった近衛隊の一人もこの頃、結婚の儀をすると申していたし。
「あ、コンスタンティアさん!エレンミアさん!」
すると畑の反対側から噂のチェルノが急いだ様子で走って來た。
「如何したの、チェルノ坊や?もしかして、お姉さん達にめてもらいに來たとか?」
コンスタンティアはからかう様にそう口にするがチェルノは表を変えず、二人へと告げる。
「............東西からエルフと人間の軍勢がやって來ています。」
二人の表は固くなる。此処は最南端とは言え、エルフと人間の國境のど真ん中に存在する地區。いずれはこの様な事態になることは想定していた。
(だが、何故この時期に.........)
現在は過去の様に大きな戦はなかった。々が小規模による戦のみ。なのに何故、両國は兵達をかした。
(まさか.........)
戦爭は経済を潤す。そしてエレンミアやこの町の存在の様に人々の心が変化してきている。それを意味するのは戦爭からの卻。
「父上.....貴方と言う人は......」
両國は一気に反分子を叩くつもりだ。それと同時にこの地區をも己の領土とするのだろう。徐々に回復されていた筈の戦の世が戦の世へと舞い戻る。
「早く村へと戻りましょう。」
コンスタンティアの発言に頷き急ぎ村へと戻る。
「これは一どう言う事なんだ!」
村人達が村長へと怒聲を上げる聲が聞こえて來た。中にはぐらを摑むものまでも存在した。
「やめぬか、お主ら!」
すぐさまエレンミア達は間へとり村長を救出する。そして村人達へと向きな直り、今後の方針を提示した。
「妾達にはで爭っている時間なぞない!今はどう対処し生き殘るのかが先決であろう?」
村人達は押し黙る。
「チェルノよ、両國の兵士達は如何程でこの地へと辿りつく。」
「早くても1時間程です。」
一時間もあればこの場からは退避は出來よう。
「妾が時を稼ぐ。其方らは逃げよ。」
なくとも量の時間ならば己の魔で時を稼ぐ事は可能だろう。もしもの場合はエルミアが皇位継承を継げばよい。
「そ、そんなの出來ません!」
チェルノがぶ。それに同調し村の男集は聲を上げた。
「一人に任せて逃げるくらいなら戦って死ぬぜ。」
左腕を失った人間の戦士、チェスター。彼もまたこの村へと恩義をじているのだ。
「そうにゃん!私たちだって武くらいは持てる!こんなに楽しかった日々を壊されるくらいなら...........暴れてやる
にゃん!」
獣人であるレインは拳を握りしめ覚悟を決める。ちなみに余談だが、この二年のにレインは運命の相手と出會う事はなかった。
「やるしかないのか、」「みんなを守ってみせる!」「くそ、やってやるぜ!」
數多の異種族達で構される村人達は周りに化され、武を手に闘気を見せていく。
「や、やめろ......お主ら、死ぬ気なのか?だ、駄目だ!」
エレンミアは皆の様子を見て慌てふためく。
「其方らが戦えば、戦は加速する!だかこそ、妾が人柱となり両國の「ばーか!」
コンスタンティアに頭を小突かれる。
「な、何を....」
「ここはアンタだけの居場所じゃないの。“私たち全員”の故郷なのよ!」
皆の笑顔が眩しく映った。しかし、エレンミアはどうしようもない恐怖をじいた。
(駄目だ.......嫌な予が頭を駆ける..........)
エレンミアは聲を張り上げようとするが皆の表を察っし口に出せなかった。慘殺される景が頭を過るのだ。
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※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
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