《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百九十六話『エレンミアのみ』

し時間を遡る_____

村から避難をしていた最中、突如として現れた冒険者に襲撃をされた。

「くっ、子供を守るのだ!」

エレンミア達はチェルノらと協力し応戦をする。

「數が多過ぎるっ」「くそ、このままでは!」「俺たちが倒れれば後ろの彼奴らがっ」

人間側の正規兵達も到著し、激しい攻防となる。

「私達がしでも時間を稼ぐわ.......だから、この子達の事をお願いね、エレンミア。」

コンスタンティアは巨大な外壁を加護にて作し、エレンミアらと自らの道を絶つ。

「待て、コンスタンティア!」

エレンミアが手をばす姿を最後に前へと向き直るコンスタンティア。

「よかったのか?」

「えぇ、しでも時間を稼いで、あの子達が天壽をまっとうした時に笑顔で向かいれましょう!」

「へへ、違いねぇ。」

コンスタンティアとダリウスはエレンミア達へと子供を託し戦場にて暴れる。しでも時間を稼ぐ為に。エレンミアは外壁へと拳を打ち付け馬鹿者と小さく呟く。

「............皆の者、妾に続け!!」

この後に二人は大立ち回りをした末に、魔力が底を盡き冒険者に囚われる事になる。

(______戻り加勢がしたい。しかし、振り返れば妾のは彼らを助けに行かんと、くだろう。)

「お姉様、うぅ、コンスタンティアさんがぁ!」

エルミアは涙目となりエレンミアへと救出に向かおうと目で語る。

「ならぬ!其方はコンスタンティアの覚悟を踏みにじるつもりか!」

喝をれ、現狀を理解させなければならない。この場にいるのはかつての様に私兵だけではない。闇雲に戦場に戻り両國の爭いを止めようとすれば子供は犯され、殺されるだろう。其れに運が悪ければ奴隷とされてしまう。

「其れだけは決してさせはせぬ。このエン・グレイスの名にかけてな。」

エレンミアの意思を汲み取り、エルミアはを抑える。

「はい、絶対に彼らを守ってみせます。」

「「「我らも皇殿下の意思の元に!!!」」

かつての様に親衛隊の姿を見せるエレンミアの私兵達。

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(ヘイヴンにて友のように接するよう命じたのだがな、)

誇らしい妾の兵士達だ。出來る事ならばヘイヴンにて生涯を平和に過ごしてしかった。

「見つけたぞ!!」

暗闇の森を加護を使い、安全に進んでいたはずなのだが見つかってしまう。

(くっ、我が一族の部隊か。)

森の住人であるエルフらは夜目の加護を持ち合わせている。だからこそエレンミア達の存在を容易に発見できたのだ。

「くそ、なんで見つかったんだ!」

チェルノが剣を抜き、神経を尖らせる。張のせいか息は荒く足は震えていた。

「チェルノ、私が食い止めます。お姉様と先をお行きなさい。」

「何を申すか、エルミア!」

エレンミアが戯けたことを申すなと怒鳴りつける。

「エルミア様、此処は我らが!!」

そしてエルミアの親衛隊でもある近衛兵達が聲を張り上げる。

「なりません。上位魔導師の相手を務めることが可能な存在は私かお姉様しかおりませんわ。」

上位魔導師と相手が出來るのは高位の魔導師、そして英雄クラスの戦士だと相場が決まっている。奇襲などを仕掛けない限りは早々と死なない程に強力な存在だ。

「行ってください、私も直ぐに參りますわ。」

エルミアはレイピアを抜き小さな杖を左手で構える。巨大木の枝には數多のエルフ達が自分たちを見下ろす様に視線を向けていた。

「エレンミア様、エルミア様、ご帰還のご準備を。」

エン・グレイスの部隊のリーダー格である上位魔導師がそう口にする。父上の命令である事は明白だ。

「今すぐに此度の遠征を辭めさせよ!」

「答えになっておりませんよ、皇殿下。」

エレンミアはぶ。しかし、上位魔導士は冷酷な眼差しでエレンミアを見下げ拘束をする為にき出そうとするが、

「お姉様方、頭をお下げ下さい!」

エルミアが突然ぶと杖を天へと掲げた。

「輝きを大地に、暗黙は彼方へ、霊よぉ!」

暗転した世界がにより照らされる。エルフの兵達は両目を抑え、武を抜く。

「今ですわ!」

エルミアが撤退の合図を出す。皆は其れに従い走り出した。

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「くッ!目くらましのつもりですか!」

しかし上級魔導士は即座にで魔力を生し、視力を回復させた。そして、

「風のよ、我が剣に纏え!」

風魔法を付與させた斬撃を避難をする自分達へと放つ。

「うぐあッ!」

最後尾にいた老齢のが真っ二つに裂ける。

「愚か者がぁ!!」

エレンミアは即座に振り返り、風魔法による高速移で技を放ったであろうエルフ兵へと近づき、刺突する。

「___________風よぉ!!」

エレンミアの聲と共に突き刺した短剣から暴風が舞う。

「うがっあ!!!」

エルフ兵のは水風船の様に発しを周囲へと撒き散らした。

「うそ、マリーダおばさんが死んだの?」

「あれ、え.....?が二つに......」

月夜に照らされる老婆の無殘な姿を目に避難民である、子供は恐怖に駆られる。

「ああ、やだ、やだ!私、死にたくない!!!!」

恐怖が伝染する。そして一斉に悲鳴を上げると走り出した。

「.........待て、待つのだ!!」

悲鳴を上げ散り散りに散っていく避難民達。エレンミアが必死に呼び止めようとするが、聞く耳を持たない。いや、聞いている余裕が無いほどに混しているのだ。

「くそ、みんな!!」

村長に任された責任からチェルノは後を追おうとすが、エレンミアに手を引かれる。

「待て、お前まで行ってしまえば.......」

確実に殺される。この森には數多の兵達が潛んでいる故に自分たちの側を離れた時點で彼らの運命は死しかない。

“きゃあああああお母さんああああんんん”

“お願い、お腹の中にはあの人のッ”

各場所から悲鳴が聞こえてくる。そして同時に悲鳴が途中で途切れる。

「お姉様、チェルノ、此方ですわ。」

エン・グレイスの兵達の集中が他に向いているに他所へとを隠そうと言うのだ。しかし、全てが他に集中をしているわけではない。こっちにはエルフ兵の手練れが數人殘っている。

「エレンミア様、エルミア様、お逃げください。」

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親衛隊の兵達は自分達を犠牲にして逃げろと言う。

「馬鹿げたことを申す「エレンミア様!どうか!」

親衛隊の纏め役がぶ。そして腰に掛けてある剣を抜き、エン・グレイス兵達へと向けた。

「「例えこのが滅びようとも、我らが心はエレンミア様と共に!」」

その言葉を最後に兵達はエン・グレイスの兵達へと対峙するために木々を跳躍で登って行く。

「行くぞ、」

を噛みしめが流れる。エレンミアは先行して走り、チェルノとエルミアが後を追う。後ろからは大きな衝撃音が聞こえてくる。

(く、何故、何故なんだ.......何故、妾らの願いが通じぬ。)

悲しみと怒りが差する。平和に暮らしをむ。ただ、それだけの願いが葉わない。

(しずつと同士達が集った......なのに)

それを破壊するが如く両國は戦地とした。これでは中立の立場にある我らは復讐の道を辿るしかない。

「やってくれたな、父上。」

更に戦國の世は加速する。逃れなぬ絶

「お姉様ぁ、私たちはどうすれば......うぅ」

涙を流しながら姉に縋るエルミア。木々の影へと隠れ、エルミアを宥める。チェルノは拳を握り木へと叩きつけた。

「くそ......俺が、みんなを......」

チェルノもエルミア同様に涙を流し、自らの責任を責める。エレンミアは二人を抱きしめた。そして瞳には闘志が宿っていた。

「其方らの責任ではない、チェルノ、エルミアよ。」

二人の顎を上げ目と目を合わせる。

「妾たちに未來を託した者達の為にも妾らは生きて世を正さねばならぬ。」

二人は震えていたを抑え、覚悟へとを変えていく。

「そして時を待ち、両國を「「ッ、エルミアさんっ!!」」

エレンミアの臺詞の途中、チェルノが突然とエルミアを突き飛ばした。エレンミアは即座にその場からき出す。

「え?」

エルミアは地面へと手を付き、何が起きたのか分からないと言った表だった。そして靜かに顔を上げると、

「ぐぶッ、」

そこにはを深く矢に貫かれたチェルノの姿があった。

「あぁ、噓.......」

エルミアはすぐさま立ち上がり、倒れゆくチェルノを抱きとめる。

「チェルノ、何故ッ、何で、何で私なんかを!!」

口が上手く回らない。現実をれられずにいるエルミア。

「惚れてる.........から...........エルミア..................だから........」

チェルノは口元を吊り上げ笑った。

「チェルノ!!」

矢の影響でを半分抉られ、辛うじてが繋がっている狀態にある。

「今すぐに治療をします!」

チェルノへと治癒魔法をかけるエルミア。しかし、傷は一向に治らない。

「何で!!何で治癒の奇跡が使えないんですか!!!」

エルミアは涙をポロリポロリと流しながらチェルノの手を握る。

「泣かな..い.....はあ、........ぐぶ、...........エルミアさん........笑顔..........好きだ.............俺は...........」

徐々に瞳から生気が失われて行く。

「そんな、噓です、噓です!!ダメです!チェルノ!死んではダメです!絶対に許しませんよ!」

チェルノのを抱き締めるエルミア。

「はは.............れは.........こ........わい.......なぁ.......」

チェルノは満足した表を最後に瞼が閉じていく。エルミアはチェルノの名をひたすら呼びかけるが応じない。

「...........はは、チェルノ、さては私を驚かそうとしているのですねぇ?そうは行きませんよ。ふふ、まったく目を離すとすぐに悪戯をしようとする。私が教育をし直さなければなりませんね。」

エルミアは壊れた様にチェルノの死へと話を掛け続ける。

(追っ手は一人だけだったか、)

エレンミアは矢をったエルフの追っ手を即座に索敵し殺害した。そしてエルミア達の元へと戻るとチェルノを抱くエルミアの姿があった。

「行くぞ、エルミア。」

エルミアは応じない。チェルノと共にいるのだとその場へとを止まらせているのだ。

「______いい加減にせよ、エルミア!」

しかし、エルミアはそれでも尚かない。

「くっ、」バシン

エレンミアは彼へと平手打ちをかました。しかし、エルミアは変わらずチェルノへと話を掛け続けていた。

「チェルノ、ふふ、チェルノぉ?」

エルミアの瞳には現実が見えていない。エレンミアは拳を握り、エルミアの頬へと毆りつける。

「痛いっ.........お姉さま?」

「チェルノは死んだんだ、行くぞ。」

「................」

「どうした、早くせねば.......何だ、その目は。」

まるで信じらない者を見るような目で自を見るエルミア。

「お姉様は、悲しくはないのですか?」

「悲しいに決まっている!しかし、今は悲観に浸かっている時間ではない!妾らの為に散っていった者達の為にも世を清き道へとわねければならぬのだ。」

「はは、お姉様は強いですね..........私は弱い......もう、」

駄目だ。それは駄目だ、エルミア。その先を口にしてしまえば其方はもう、

「疲れてしまいましたわ.......みなさんと......いっしょに........」

戦えない。牙の抜けた獣は獣足りえない。鈍足な家畜に墮ちる。

「ふふ、ですが安心してくださいまし、お姉様.....私がこの戦を止めてご覧にいれましょう、ふふ。」

エルミアの周囲に霊達が舞う。

(これは........)

「駄目だエルミア!止めっ」

衝撃が襲い大樹へとをぶつける。そして閉じゆく意識の中、最後に見たのはエルミアがの涙をながしながら大霊との信を行う姿だった。

エルフ族は魔法に長け、そして王族は大霊達との信も可能な存在。そして大霊との契約を果たす事で超常の力をそのに宿す事が出來る。リミッターが外れた王族のエルフは最早、勇者クラスや高位のエルフ魔導士にしか止められないだろう。

だが、それと同時に代償も生じる。大霊の力をに宿す事は本來出來はしない。故に多大な不可がかかり、最後には意識を失い狂人の様に殺戮をし続ける存在となるのだ。

「うぅ、エルミア.......」

鳴り止まない悲鳴、そして破壊音。エレンミアはに鞭をれ立ち上がる。既に日は上り、とても眩しくじた。

「止めなければ........この命に変えてもエルミアだけは。」

霊との契約をしたエルフを靜まらせるために生み出されたが王家にはある。自我を保ちながら周囲から魔力を徴収をし続け、同時に壽命を削りながらも莫大な魔力を得続けると言うものだ。

「我が命の煌きよ、どうか、妾に....最後の」

命の燈火を糧にする決意をする。エルミアへと拮抗するにはそれ以外に方法はない。

の山.....いったい何千、いや、何萬という人を殺したのだ、エルミアよ。」

森を抜けた丘にはの山が連なっていた。そしてそのの頂點で狂う様に笑う愚妹の姿があった。

「きひひひ、あぁ、キモチイぃ、ああああ、チェルノ、ふふ、ミテイマスカ?とっても綺麗でしょう?ふふ。」

エルミアの周囲を見ると最強のエルフ魔道士である“魔道卿”、獣人族の長“獣王”、ドワーフの“武帝”、人間側最高の戦士“勇者”、それに教會の"大聖"までもいる。あれらはかつて闇の眷屬らの王を倒した伝説の戦士達だ。過剰なる戦力である為に國間で戦爭への使用をじられている存在。

「何故、この様な戦場に......」

エレンミアは即座に其の達への元へと向かう。

「おらよっ!」

巨大な斧を振るいエルミアを叩き斬ろうとする獣王。その攻撃を笑いながらけ流し、獣王の額へと軽いデコピンをするエルミア。

「っ、舐めやがって!」

「あははは、意識飛ばしてるエルフっ娘に獣王が遊ばれてるわねぇ〜!」

勇者の側にいる大聖が小馬鹿にする様に獣王を指差す。

「この娘、王族か。ならば致し方なかろうて。大霊との契約をなした王族は闇の眷屬の上位個に匹敵する力を持つ。戦場から退いた獣王殿では些か力不足であろう。」

魔導卿は魔法を使いながら獣王をサポートしていた。主にエルミアの放つ無盡蔵にも近い魔を相殺しているのだ。そして近接戦を獣王が努めている。その他は傍観に徹していた。

「なぁ、やっぱりこの子は助けるべきだよ。」

勇者が救おうと提案する。

「駄目に決まっておろう。お前さんはいつまでたっても甘ちゃんなところは変わっておらぬな。」

しかし、武帝がそれを是としない。

「しかし、年端も行かぬ子を殺すことは.....」

「バカ者が、周りを見よ。全てがだ。これが人里へと降りればたちまちとの海となる。それらの災厄を防ぐ事こそが、我らの使命であろう。」

「.................はぁ、分かった。」

勇者は聖剣を鞘から抜き、前線へと出ようとする。

「まて、私がケリをつける。」

だが、エレンミアが勇者の前へと姿を現す。

(いつの間に......)

エレンミアの登場に驚きを隠せない勇者。

(この魔力.......呪に手を出したか、エン・グレイスの乙よ。)

魔道卿はエレンミアのから流れる黃金の魔力を目にそう判斷する。

「なんだ、貴様は?危険だからどいとけ」

獣王はエレンミアを後部へと押そうとするが片手ではじかれ、エレンミアはエルミアの眼前へと立った。

「ふふふ、お姉様の匂い?何でしょう、ふふ、気に食わない、ふふ、あぁ、殺してしまいましょう。」

炎が巻き上がる。その場は灼熱と化し、周囲に倒れるは灰となり姿を消す。勇者一行も距離をとっているがエレンミアはエルミアの眼前から離れない。

「原初の炎.......炎の大霊と信したか。」

エレンミアは命の輝きを糧に防壁をの外へと張ることで炎の影響を防ぐ。そして短剣を抜き、もう一つの手でレイピアを握る。

「______逝くぞ」

永き間、姉妹らは戦った。一夜を越え、日の出が出る時まで戦い続けた。そしてエルミアへと渾の一撃を與えるとかなくなる。顔を橫へと向けるとエルミアも倒れ、周囲からは歓聲が上がっていた。どうやら數多の種族らが加勢に來ていたようだ。

「ここまでか.......」

命の燈火が僅かだ。は既に限界を超えていたのだ。

「エルミアよ、妾は疲れたぞ。」

數多のの上で仰向けに倒れるエレンミア。歓聲は上がりつつも妹であるエルミアを警戒し、剣や槍を握る人族とエルフ族がいた。

(それもそのはずか、數多の同胞、そして人間がエルミアに殺されたのだからな。)

するとエルミアから返事が返される。エレンミアは目を見開くと隣で自の手を握るエルミアの姿があった。

「そう、ですわね。」

エルミアのは徐々に砂のように消えており、數分と経たずに死ぬだろう事は目に見えていた。

(正気に、戻ったか.........)

エルミアの瞳には涙が溜まり今にも泣き出ししまいそうだ。

(あぁ泣くな、エルミアよ........周りを見渡してみよ、)

其処には全ての種族が手を取り合った景がある。

「あぁ.......喜怒哀楽などと言う、なかった方が良かった。」

(人類には共通の敵がいた方がいいと、言うことか。なんとも皮なものよな。平和な世の中を見たかった.......いいや、つくりたかったんだ。)

苦笑をしながらエルミアの髪をでるエレンミア。

「.......妾には過ぎた願いだったようだがな」

世界は爭いが耐えない。今回の様な異例がない限りは異種族は手を取り合わない。

(だからこそ人は夢を見続ける...........葉うと信じて)

に染まる空を見上げ手をばすエレンミア。

「お姉さま..........」

エレンミアの姿がとても儚くしいものに見えた。周りの異種族もまたそのしさに眼を奪われた。

(いつの日か、全ての同胞、人々が......手を....取り....る....)

腕は靜かに地面へと垂れる。

「お姉.........さま?」

エルミアはエレンミアを揺らすが反応がない。

「お姉さまッ!!」

涙を流し必死に揺さぶる。しかしエレンミアは起き上がらない。

「.................そんな」

エレンミアの死に対し、エルミアの瞳から生気が徐々に失われいく。

「.....罪を償わなければ、いけません、ね」

消えゆく己の。それでも尚、エレンミアの握っていた短剣を靜かに握り取り、己の首に當てる。

(チェルノ、敵は打ちましたよ........)

周りの兵達が警戒し武を構える中、自らの首へと剣を差し込んで行く。

「貴様達は二度と戦爭を、爭いをするな!!さすればこの様な慘事は起きななかったと知れ!!!」

忠告を最後にエレンミアの隣へとを倒す。

(エルミアの所為でお姉さまを死なせてしまった.......もしも來世があるのなら)

の存在を嘆きながらエルミアは命を絶った。

「エン・グレイスの乙が我らをお救いになったのだ。」

一人の兵士の言葉が周りへとも広がり、大歓聲が行こる。

「この記録を後世に殘すのだ。そうさな、書の名は“星の寶玉”と言うのはどうだろうか。」

「また始まったわ、魔導卿の小説家希ー」

大聖が毒を吐きつつも魔導卿は手日記にその日の出來事を事細かくと書き記す。その記述を元に後世に置いてエレンミアは戦を止めた神として崇拝されることになる。

「と、此処までが妾の語であることは其方も知っておろう?」

「あぁ。」

エレンミアは青年の頭をでながらそう説明する。抜け出そうと足掻くがエレンミアのなのか抜け出せないでいた。

「その後は世界の意思なのか妾を源の渦へと引きずり込んだのだ。まるで地獄だったよ。終わらない夢、永劫に生きる苦しみ。全ての可能を淡々と見せられ、刻まれる。全てが妾を狂わせる。」

エレンミアは自の頭を抑え苦悶の表を見せる。

「辛そうだな、大丈夫か?」

エレンミアの頬へと手を置く。

「なっ、お姉様に何て事を!「良い、エルミアよ。」

エルミアは爪を噛み羨ましそうに此方を見る。

「男にられたのは其方が初めてだ。」

エレンミアは頬を上げ、心底嬉しそうに笑う。

「人は戦を止めない。どの欠片を見てもこの事実は変わらない。だから、」

エレンミアは窶れた顔で語における自の意思を否定する。

「妾は諦めたよ。どのような願いをも葉うという王冠戦爭。平和な世を願ってもいいが、それは恒久的なものではなりえない。真なる平和など訪れはしない。何故ならばそれが人のであるからだ。」

「なら、掛ける願いは何なんだ?」

エレンミアは何故か頬を染める。そして指をパチンと鳴らすと王様が眠る様な寢室のべッドにいた。そして何故か膝枕をさせられる。

(手で頭をでろってか?)

青年の膝の上に頭を乗せるエレンミアは彼の手をとり自の髪を優しくでる様に促す。

「笑ってくれるなよ。」

「あぁ、願いに笑うもクソもないだろ。」

真面目な顔でそう答えるとエレンミアは満足したのか願いを口にした。

「________妾はというものがして見たい。」

戦爭絶と言う夢は永劫に敵わない。幾重にも広がる分岐の歴史、そしてこれから起きうるであろう人類の姿を目にした。希は存在しない。だからこそ、純粋な願いを持つ。

「妾は生娘。した男もおらぬし、行為などもってのほかだ。」

前世では平和の世を目指し無様に死んでいった道化だ。道化は道化らしく普通のでありたいと言うもの。

「話を聞くにって言う年齢では「其方、死にたいのか?」いえ、何でもありません。」

青年は片目を瞑りエレンミアへと優しい笑みを見せる。

「まぁ婿探しは応援するよ。アンタは何だか、悪い奴じゃあなさそうだし。」

エレンミアは青年の笑みを見て顔を林檎の様に染めた。

「馬鹿者が、婿探しなぞしなくとも良いわ。」

「なんだ、意中の相手はもういるのか。」

「あぁ目の前にな。」

「目の前って.......はあああああああああああああああああ!??」

エレンミアは青年の元を摑み自の顔へと近づける。

「むっ!?」

そしてが接すると歯を無理矢理とこじ開けられ舌を絡められる。

「ぷはっ.......ふふ、其方は妾のぞ。もう誰にも渡さぬわ。」

恥じた顔を見せる。しかし、何故かエレンミアの経歴を聞いたあとでは否定とした態度を取る事が出來なかった。

「なぁ、アンタは.......アンタは自分がやってきたことは間違えではなかったと言えるか。」

エレンミアは何を戯けた事を申すと言うと、こう答えた。

「妾が行ってきた事は無意味であろうと、間違えではなかったよ。仮に妾が妾の歩んだ道を否定すれば、それはかつての部下や戦友を貶める行為となろう。ならばこそ妾は堂々とを張りこう答えて見せる。」

_____間違えではなかった、と。

「そうか、」

創作らにも心と言うが存在する。それはオレ達、この世の人間の様に。

“お姉様!今すぐ間にお戻り下さいまし!”

すると脳へとエルミアの聲が屆く。エレンミアは青年をその場へと殘し、即座に間へと転移した。

「何事だエルミ........ふむ、そう言う事か。」

エレンミアはほくそ笑む。

「お姉様、迎撃をっ!」

エルミアが城の外に存在する敵へと対策を行おうとするが、

「くく、もう遅いわ。」

間の城壁が大きく破壊され、天使の翼が間を覆った。

「_____________________彼を出しなさい。」

十と二の白翼を持つ麗人。を齎す者、最上の熾天使ルキフェル。

その左手にはバロールの生首が握られ両目は抉られていた。

ドンッ!!

「はぁ......はぁ........はぁ、あいつ、化っ、うぅ。」

間の扉が開くと、ウォフ・マナフが満創痍の狀態で姿を見せる。

「なんだ、生きていたのですか。ですが安心して下さい。今度は殺し損ねる事はありません。確実に_____________皆殺しです。」

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