《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第百九十九話『戦闘開始』

悲劇の乙。救國の乙。様々な名稱が授けれた。お姉様の進んだ道は間違えではない。だけど正しいともいえなかったと思う。萬人を救うなどありない。人は戦火の中にのみ生を見出す。人は學ばない。戦い奪う。一時的な平和も訪れよう。だけどもそれは恒久的なものではない。

「お姉様、私が様子を伺います。」

レイピアを前へと突き出し、正面に存在する敵らへと駈け出す勢をつくる。この世界にて生を再び取り戻した。そして自らが創作である事も理解した。

(作られた語でしょうが、私達が歩んだ歴史に変わりはありません。)

だからこそ、この世界ではお姉様の意向には善悪に問わず付き従うと決めた。前世のような過ちを起こさないように。

「下がれ、エルミア。」

「行かせてください、お姉様。」

「......私は下がれと言ったのだ。聞こえなかったのか?」

鋭い眼で睨まれる。死にたがりであり死にたがりではない自の矛盾した気持ち。

「はい.....お姉様。」

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姉は私を見ていない。いや、口では大切だと言ってはいるが心は違う事に気付いている。

(チェルノ.......)

いいや。もしかしたら私自が本當はお姉様を見ていないのかも知れない。

(.......會いたい)

王冠戦爭。姉を裏切らないという気持ちと願いを必ず葉えるという矛盾した思いが差する。

(もう一度、貴方に。)

ただ一目でいい。最後に彼と再び會う事が出來るのならば、私は謝罪したい。

「ウォフ・マナフよ、貴様にはあの汚れた深淵を相手してもらうぞ。」

エレンミアは目を閉じ、ウォフ・マナフの頭へと手を置く。

「ふざけるな。私、羽付き、斷罪、する。」

「お主の気持ちも分からなくはない。だが、耐えてはくれまいか。これ以上、仲間を失うのは惜しい。」

「私が負ける、と?」

エレンミアの手を払い、ギロリと睨む。

「えぇ、貴方は負けます。それは確定事項だ。」

突如、二人の間へと現れウォフ・マナフの頭を摑み上げるルキフェル。

「消えろ、愚かな神。」

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そして天のを用いて頭を完全に焼きさろうとする。周囲は余波により壁は弾け、地面には亀裂が出來ていく。

「”妾らは話の途中だと見て分からぬか?”」

その言葉が発せられたと同時にルキフェルは距離を無意識のにとる。

「!?」

手元を見ると恐れなのかプルプルと震えていた。

(私が恐れをじた?)

理解出來ない。

「ルキフェルさぁん♩怖いんですかぁ?」

隣からディアーナの聲が掛かる。ルキフェルは拳を握りしめ苛立ちをじエレンミアを睨みつける。

「.............私に恐れるものなどありはしない。」

「ほう、妾の殺意を浴びてその程度か。貴様も些か人の皮を被った化よな。」

先程の行を間近でじたウォフ・マナフは理解する。熾天使はエレンミアでしか倒せないと。それ程までに天使の力、そしてエレンミアの底知れぬ力は自分を凌駕していた。

「いいえ、私が恐怖をじるとしたら、それはジョンに想をつかされ裏切り、そして見限られる事実だけです。」

ルキフェルは全ての翼を広げ深呼吸をする。

「すーはー」

そして呼吸を整えた天使はディアーナの隣から姿を消す。

「妾を護れ、”アエギス”」

ガキンッ!!

天使の槍がエレンミアの首下を狙い振るわれた。だが、虛空に突如形された盾により防される。

(ギリシアのイージス!!)

「ならばッ!!!」

神速の槍による連撃をエレンミアへと対して全方位から打ち込む。

「ふっ!!」

強烈な風、そして城が豆腐のように脆く破壊されていく。エレンミアの周囲には雷のが如く縦橫無盡に閃が駆け巡る。

「アエギスでは足りぬか。」

アエギスの隙を突いた連撃がエレンミアへと切傷を與えていく。だが、エレンミアは更なる手を打つ為に巨人の手を己を包み込む様に顕現した。

「私の振るう一撃は大國をも屠る強撃だ。その程度の壁で防げると思わない事です。」

天使の槍を巨人の手へと突き刺し部にて浄化のを流し込み発させる。

「弾けなさい!!」

巨人の手の一部が発し、回復不可能なほどに無殘な姿を見せる。そしてその隙間から口元を歪めルキフェルを眺めるエレンミア。

「原初の人、ユミルの甲を創造してみたが、些か脆いものだな。」

エレンミアは巨人の手を自ら吹き飛ばし、不遜にも笑う。

「これならばどうだ?」

エレンミアの手へと禍々しさと神聖に満ち溢れた槍が城の天井を破壊し、天空より舞い落ちる。

「聖の一つ。かつて、ロンギヌスというローマ兵が神の子の脇腹を槍で刺した際に用いられた聖槍だ。」

可憐な演舞を槍にて見せ、ルキフェルへと槍を向ける。

「貴様がその槍を持つなッ!!」

激昂したルキフェルが神速の速度でエレンミアへと迫りロンギヌスの聖槍を弾き飛ばした。

「速さではやはり其方には敵わぬな。」

しかしエレンミアは余裕然とした態度を変えない。

「終わりです。」

槍を吹き飛ばされた衝撃にて態勢を崩すエレンミアを突き殺そうとする。

「終わり、か。」

ルキフェルの槍を拳にて軌道をずらし、顔を數センチと近づける。

「________『創造』を魅せてやろう。」

その言霊と共にルキフェルのは吹き飛ばされる様に壁へとぶつかる。

「ぐはっ、」

口からを吐き出す天使。ディアーナは自分の橫を過ぎたルキフェルを見て唖然とした表を見せる。

(ルキフェルさんが押されている.................これまでの有象無象とは違うようですねぇ。)

エレンミアへと対し奇襲を仕掛けようとき出そうとするが。

「ぐぶッ!?」

尋常ではない痛みがディアーナを襲った。元へと視線を下ろすと。

「.............いつの間に、」

を貫通する腕。そして共に心臓が握られているのだ。

「油斷、大敵。お前の様な魔は、_消えたほうが、いい。」

ウォフ・マナフ。警戒すべき相手だ。ディアーナは脳にて警報を鳴らす。

「ふふ、貴方の様な斷罪者こそが人の世には害悪ですよ。特に貴方の様に善神を名乗る偽善者には、ね。」

ウォフ・マナフはその臺詞をけ取ると同時にディアーナの心臓を握り潰し、へと浄化の力を流し込んでいく。

「あがああああああああああああああああっ!!!!!」

ディアーナは余りの痛みび聲を上げた。そして膝をつき手を地面へとつける。

「アンラ・マンユ、連なる、悪神、討ち滅ぼさん。」

四つの杭がディアーナの四肢へと突き刺さる。

(け........ない.......)

破壊を試みるが手足が思う以上に力がらないのだ。

「あがあああああああああああああああああああ!!!!」

ディアーナの包する瘴気がにて暴れる。尋常ではない魂のび。瘴気が泥の様にディアーナを起點として周囲へと広がっていく。

「離っ..........せっ!!」

ディアーナは瘴気を最後の気力で一點に集中し、右腕の杭を破壊しようとするが、ウォフ・マナフにより腕自が消滅させられる。

(うぅ、自我が.......保て....................)

「私の...............中に.......って........く......なあああああ!!」

ディアーナは気迫とした様子でウォフ・マナフへとぶ。

「膨大な、闇、一、どれほど、包、してる、理解、不能。」

善神による斷罪の浄化をへと流し込んでいるのだが、

(むしろ、これは......)

増えている。浄化の力が闇を活化させているのか。

「ぐぶ.......ルキフェルさん.......し........危ないので........また........」

ディアーナの瞳が虛とする。そして完全に意識を失い倒れた。

「全て、浄化、する。お前、危険、だ。」

聖なる剣が何本と倒れるディアーナへと突き刺さる。は既に原型を留めないほどにグシャグシャなものとなり、黒の泥だけが永遠とディアーナの殘骸から流れ出る。

「イタイ..........ふふ...........イタイ.................」

ディアーナは嗤う。損傷が激しいにも関わらず笑っていた。

「気でも、狂った、か。」

ウォフ・マナフは剣の一本を摑みジリジリとディアーナの殘骸を抉っていく。

「ふふ、あぁ、モチイ、キモチイ?あれ、ふふ、オカシイ?イタイ.............イタイ?」

「気、悪い。」

気味が悪いと思ったウォフ・マナフはの上下部分を頭部もろとも綺麗に切斷する。ディアーナはそれでも尚、ピクリピクリといてはいるが言葉を発せれなくなった。いや、さえもう存在しない。

「我ら、アフラ・マズダの名の元に、平穏を、この世も、齎さん。」

ウォフは両手を空高くへと翳す。最高神への祈りだ。

「聖なる浄化を、不浄なる者の駆逐を。」

ディアーナの殘骸を天空から降り注ぐにて焼き盡くす。そして目を閉じへと手を置く。

「___________痛みはお好きですかぁ?」

だが突如として後ろから抱き締められ、耳元で囁やかれた。

「なっ!?」

(不浄、消した、聖、浄化、したのに、なぜ____)

「_________生きている!!!」

ウォフ・マナフは冷や汗を流しつつも、剣を複數と天へと展開する。しかし彼の行はディアーナが次の一手に移るよりも遅かった。

「あぁ私の質問には答えなくとも良いですよぉ♩」

ディアーナはゆらりとウォフ・マナフの右腕へと手をらせ______

「だって、痛みはけ続けなければ好きにはなりませんものぉ♩」

___________関節を外した。

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