《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第二百十二話『戦闘終了』

「_______何やら外野が騒がしいな。」

ゲイ・アッサルにてルキフェルの連撃を流すエレンミア。ケルト神話の太神ルーが、父キアンを殺した際に、トゥリル・ビクレオから賠償としてけ取った槍だ。

「くっ!」

と同等の速度を誇る自の攻撃を寸分違わず跳ね返すのだ。

「くく、安心せい。妾は其方の攻撃など、見えてはおらぬよ。」

エレンミアは目を閉じた。しかし、それでも尚、ルキフェルの放つ攻撃を綺麗に相殺するのだ。

「ならば此れならばどうだ!」

先程よりも一段階と速い一撃を繰り出す。

「っ.........」

エレンミアの槍の防園を破り、を槍が掠る。エレンミアは笑みを消し去り、殺意を持った目でルキフェルへと反撃の手に出る。

「_______”イヴァル”もっとだ。もっと妾に恩恵を與えよ。」

ゲイ・アッサルは「イヴァル」と唱えて投げれば必ず命中し、「アスィヴァル」と唱えれば戻ってくると言う逸話を持っている。

「くっ、貴方の槍、厄介な質をお持ちですね。」

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槍が再びと相殺される。エレンミアはゲイ・アッサルをルキフェルの槍へと標準を合わせる事でなんとか相殺を可能としているのだ。

しかし、其れを可能とするのはエレンミアの才能、そして超越者故のが可能としている。

(しかし、此方も決定打がない以上、次の手に出るしかないか。)

「______妾を守れ、”アンキレー”」

衝撃波がエレンミアを中心として破する。槍はその衝撃で弾かれルキフェルは勢を崩しそうになるが即座に雲の中へと飛翔した。

「くっ、次から次へと奇妙な神を持ち出す。」

古代ローマにおいて「これが存在する限りローマは世界の支配者でいられる」という神託とともに軍神マルスから皇帝に授けられた伝説の盾”アンキレー”を用いたのである。

「雲に隠れおおたか。必中の槍など腐る程持ち合わせておると言うのに。無駄な事よな。なぁ”イヴァル”、そして”グングニル”よ。」

二槍を雲へと目掛け投擲する。放った際に生じた衝撃が周囲一帯のものを弾き飛ばした。雷撃にも似たゲイ・アッサルによる一撃、そして黒き必殺の一撃であるグングニル。雲を突き破りルキフェルの元へと襲いかかる。

「この程度の神で私を葬れると思うな、劣等種!」

上空にて槍の追尾から逃れる為に全12翼を広げ、飛ぶ。そして軌道を幾度と変えながらも飛ぶが槍は変則的なきを見せ追尾をやめない。

「戻りなさい、天の槍よッ!」

先程弾き飛ばされた聖槍を回収する為、ぶ。既に眼前には二槍の魔槍が迫り、一秒としない間に著槍するだろう。

よ、我が手に災厄を弾き返す鏡を顕現せん!」

天のを応用とした反転技で一槍目であるゲイ・アッサルを跳ね返す。しかし、二撃目であるグングニルはの障壁を破りルキフェルの右肩を貫ぬいた。

「ぐっ、他の槍とは質も威力も上を行っていますね。度、貫通力においては最強の一角に君臨するでしょう。」

北歐神話においてオーディンが持つ槍とされるグングニル。柄はトネリコの木でできている。「貫く」という意味を持ち、投じれば敵は逃れられず貫かれると言われている。

「遅いですよ.......」

天の槍が手元へと戻って來た。ルキフェルは苦笑を見せ、グングニルを肩から抜き地面へと投げる。

「ほお、グングニルの一撃をけ五満足とはな。稱賛に値するぞ、羽つきの異人よ。」

エレンミアは再び不遜な笑みを浮かべる。

「しかし、次はどうであろうな?くく」

エレンミアの周囲に槍が何本、何十本、何百本と突き立てられて行く。そしてその全てを見て理解した。アレらは全て魔槍グングニルだ。

「頭がおかしいとはこういう輩を言うのですよ、ジョン。」

虛空からルキフェルは白銀の鍵を取り出そうと手を掛けようとした剎那_______

「________雙方、戦闘を止めよ!」

蚩尤が戦いを止めるベく聲を上げた。その背後からひょっこりと顔を出すエルミア。

「お姉様、どうか矛をお納め下さいまし。」

「ルキフェルさんもその鍵はお終いなさい。」

エルミア同様にディアーナもルキフェルへと武をしまえと言う。

「ディアーナ、その有り様は......いえ、今はそれよりもジョンです。彼は無事なのですね?」

ルキフェルは即座にディアーナの異変に気付くが先に青年の心配を口にする。

「えぇ、ジョンならばブランチェさんと共にいますよ。」

「あぁ、ディアーナの言う通り俺は大丈夫だ。」

ブランチェの背に乗って登場する青年。ルキフェルはその姿を見ると満遍の笑みを浮かべ青年の元まで降り立つ。

「ジョン!」

まるでひまわりが咲いたような笑顔。青年がブランツェから降りるとルキフェルは青年へと抱きついた。

「あぁジョン。ジョンの匂いです。無事で良かった。」

に顔を埋め、嬉しそうに匂いを嗅ぐ。

「.......心配かけたな。」

頭へと手をポンポンと置く。

「何をしておるか戯け!その男は妾のものぞ。気安くれるでないわ、下郎!」

エレンミアは激昂した様子で此方へとグングニルの矛先を向ける。

「私の使いであり私に永屬を誓った人間が貴様程度の雌に従屬する訳がありません。耄碌も過ぎると同に値しますよ。」

したり顔で青年の腕へと絡みつき微笑を浮かべる天使。

「言って置くがアンタのものにも、ルキフェルにも従屬した訳じゃないからな。」

「そうだ。ジョンは吾輩が一番と言っておったからな。」

ブランチェさん......これ以上火種を振り撒かないで下さい。

「そ、それなら私も......代わりになると申して下さいましたわ!」

「エルミア..........どう言うつもりだ?」

エルミアはエレンミアの凄んだ表に怯え、巖場へとを隠した。

「それでは私で良いですね。」

ディアーナが自信満々にそう口にすると、皆は口を揃へとんだ。

「「「「言い訳あるか!!!」」」」

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