《闇墮ち聖語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第二百十五話『勝利の剣』

剣を振りかぶる。勝てないくてもいい。ただ、一撃、戦いの火種を作ったこの人外領域の化けへと手傷を負わせる事が出來れば、満足だ。

「勝利の剣______レーヴァテインッ!」

天空は紅蓮へと染まり、剣からは業火が吹き荒れる。巨人スルトが世界を焼いたと言う至寶剣。ラグナロクの終局を飾った終焉剣。しかしある一件で元來の所有者であるフレイは手放してしまったのだ。

「屆けぇええええええーーーッ!!!!!」

愚かな者が持てばなまくらだが、正しい者が持てばひとりでに戦う程に神を帯びている。故に使い手により出力も威力も大幅に変わる。大を掲げる存在は世界を焼き、一へと戻した。ならば、妖國アルフヘイムの長である自もその頂きに屆く筈だ。

『_________次は無いと警告をした筈だ、創作よ。』

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裁定者の重く深い言葉が脳へと響く。フレイの一撃は大地を焼き裁定者へと屆こうとするが、

「___________がっ!?」

の半が焼きただれ、右半を消滅させた。フレイは訳が分からないまま死に絶える。裁定者はその亡骸を見る事もなく空気へと同化していく。

「エキドナよ、見たか。」

かなりと離れた場所から戦いの幕を見屆けたテュポーン、そしてエキドナ。

「あれは虛無の力。北歐神フレイの剣が屆く瞬間、虛數領域にて『・』を作り出し、渾の一撃を反させた。」

その解を聞き、テュポーンは小さく笑う。

「惜しいな、エキドナよ。アレは虛無へと取り込んだものを即座に再現し、放出したのだ。」

人外じみた能力。宿敵ゼウスの速度を凌駕し、破格の威力であろう勝利の剣をものともしない力。アレに確実に勝利が可能な存在はギリシャ勢に置いてはカオス、そしてガイアくらいのものだろう。

「桁外れとはこう言う者を言うのであろうな。」

テュポーンは人間へと巨大なを変え、エキドナも下半を人間へと変化させる。

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「______北歐神の助言通り、エルミアなる者を殺害致しましょう。さすれば、我らが生を継続する事が出來ます。」

エキドナがそう言うと、テュポーンはエキドナの肩へと手を置き、一言告げる。

「あぁ、我らが古巣へと帰還する為に_________戦うとしよう。」

「ベトナム行きのチケッ卜を手配しました。」

タブレットなるを肩手に眼鏡を掛けるディアーナがそう言う。因みに現在、自分達一団は上海へと移をしていた。何故ならば都會の方が何かとを用意出來るからだ。

「エレンミア、凄すぎないか。」

の力は凄すぎる。チートの代名詞とも言える固有能力、『創造の力』を有している。彼が見聞きしたものであれば全てを完璧に再現する事が可能だ。まさに神にふさわしい能力だろう。

「當然でしょう。完璧に事を把握し、対処する力。そして民達の願いに応えるべく行を起こす行力。まさに救世の神に相応しいお方ですもの。」

五つ星の最高級ホテルにて一時の休息をとる。流石に皆は戦闘にて疲弊していた。各自自由にリラックスをしている。

「チェックメイト。私の勝ちです、エレンミア。」

「ルキフェル、其方、未來視の力を行使したな?」

「はて、何のことだか。」

「ふ、とぼけおって。」

ルキフェルとエレンミアはこのホテルへと來る途中に購したチェスで遊んでいた。どうもルキフェルが未來視を使いインチキをした様だ。

「ふむ、日本は負けたか。3ー2と惜しい結末だな。」

「なに、大闘ではなかったか。此処まで惹きつけられた試合は過去にはあまり無い。」

「しかし、ベスト8へとあと一歩のところだ。プレイヤー達の悔しさは計り知れぬだろうに。」

「故に次期に期待するのだ。」

「しかし、その頃にはこの経験を持った選手達の半分は引退をしている。」

サッカー中継を観ながら熱く語る蚩尤、そしてブランチェ。ちなみにブランチェは狼の姿に戻っている。

(其れにしてもディアーナも真面目になったよな。)

ホテルの予約、飛行機の手配、其れらの手続きを進んで行っているのだ。以前のディアーナならば考えられない進歩だ。

(..........もうこのままで良くないか?)

なんか善良な人になってくれたし。何だかんだで大人びた気もする。もちろんディアーナは自分よりも歳上なのだが、以前が以前なだけに長した様にじる。しかし、その考えに気づいたのかブランチェが此方へと顔を向け首を橫に降る。

(分かってる、冗談だ。)

負のエネルギーを蓄積させ、以前の安定した狀態へと戻す為。其れが葉わなければ側から瘴気が暴発し、世界は闇へと包まれる。

「ふふ、ジョンさん、見てくださいまし。私の顔が寫っていますわ!」

攜帯で撮った自撮り寫真を嬉しそうに見せてくるエルミア。

(エレンミアは攜帯持ってたのに、なんでエルミアは持ってないんだろう。)

先程攜帯をイジっていたらエルミアが興味を示したので此処に著く前に攜帯を購し、渡したのだ。

(どちらかと言うとエレンミアの方が攜帯を持ってなさそうなイメージだよなぁ。)

しかしバリバリとMa○ブックプロ、タブレット、そしてスマートフォンまで持參していたのだ。理由を聞いたら創造のバリエーションが増えると言っていたっけ。

(報や聞いたものまでも再現できるって、破格過ぎないか)

Theチート能力である。其れにエレンミアは創造の力だけを保有している訳ではない。『破壊』の力も有している。雙方の能力に限度があるのかは気になるところだな。

「ふぅ、やっと終わりました。ベトナムでの宿泊先、そして移手段などを纏めたので後ほど皆さんにメールさせて頂きますね。」

なんだろう、この出來る。ディアーナってもしかして有能なのか?いや、有能ですね。

(よくよく過去を振り返ってみると、ディアーナは若年にして司祭へと上り詰めた才だ。無能である筈がないよな。)

「ありがとう。助かるよ、ディアーナ。」

謝の言葉を伝えると、ディアーナはいえいえと律儀に返してくれた。

「ふふ、ジョンさん、ご一緒に寫真を撮りません事?」

突然エルミアが攜帯を向け、寫真を撮ろうと聞いてきた。

「ん?あぁ、別に良いぞ。」

エルミアがカメラを使い寫真を取ろうとするが上手くフレームにらない。

「あれ、上手くいきませんわ。」

「離れ過ぎてるからな。もっと近くで撮ればいい。ちょっと攜帯貸して。」

青年は立ち上がり対面側へと座るエルミアの橫へと座った。

「うわぁ、ち、ち、近いですわ........其れになんだかいい匂いしますし、」

貞みたいな想を聲に出して言わないで貰いたい。

「あぁもう、焦れったいわ!はい、チーズ!」

「ちーず!」

もじもじして近づこうとしないエルミアの肩を摑み、セルフィーを取る。

「え........えへへ///」

にやけ面のエルミア。撮った寫真を確認すると緩みきった表のエルミアが其処にはいた。

「ふふ、なんだよこのにへらってした顔。」

エルミアの惚けた顔があまりに面白かったので大きく笑ってしまう。

「も、もう!ふふ//」

その青年の微笑に魅せられて更に顔を緩ませるエルミアに対し、ディアーナの頰が膨れる。

「あの、私の前でイチャイチャしないでくれませんか。」

ディアーナの機嫌がすこぶる悪い。いつもなら私も混ぜろだの、エルミアを強制的に排除しようとするのだが、の方が先行して現れているらしい。

「あらあら、見苦しい嫉妬ですわね。ジョンさんは私とお戯れをして笑顔を浮かべたのです。殿方と楽しく會話が出來ないようでは淑失格ですわよ。」

「嫉妬だけに貴方はSHITですね。貴方の語を拝見しましたが、ふふ、貴方、しのチェルノはどうしたのですかぁ?」

どさくさに紛れて韻を踏むな。そう言えば確かに語に置いてエルミアはチェルノにをしていたんだったな。

「チェルノは関係ありません!」

「関係ない、ですか。ならば王冠戦爭の勝利の暁には彼も生き返らせて上げましょう。」

ディアーナは機へと手を叩きつけ、そう斷言する。周りの皆が此方へと顔を向ける。

「えぇ、お好きにどうぞ。大切な友人が生き返るだけの事。一石二鳥ではありませんこと、おっほほ!」

笑ってはいるが、目が笑っていない。

「あぁ、そうでしたわ.......貴方、確か、ユーノを殺した相手でしたわね。」

ディアーナのがピクリと揺れる。

(........ユーノはエルミア陣営に付いていたんだったな。)

エルミアがディアーナの存在を知らない訳がない。

「ディアーナ、其れが貴方の名なら貴方自の世界でも彼を殺した事になりますわね。」

「えぇ、其れがどうしました。」

「この戦の勝利の暁には彼も生き返らせてはどうでしょうかぁ?」

悪意に満ちた言い方にディアーナは堪忍袋の尾が切れ、瘴気をその場を立ち上がり渦巻かせる。

「ふふ、言葉よりも手がくあたり、本當に品の欠片もありません事ね。」

エルミアは機を蹴り上げレイピアを抜刀する。

「お、おい、やり過ぎだ!」

青年が止めようとするが二人は其れを無視し、即座に矛を振るうためき出す。

「______雙方、そこまでだ。」

「______レイピアを収めなさい。」

ルキフェル、エレンミアが間にり二人のきを拘束する。蚩尤は頭に手を置き、ブランチェは.......笑っていた。

(ブランチェさん.......最近いろんな狀況を楽しみ過ぎじゃあありませんかねぇ。)

まるでサッカー観戦をする時のように眼差しで二人を見ているのだ。しかし即座に沈んだ表となり小さい聲でボソリと呟いた。

「なんだ.....殺り合わんのか。つまらぬ。」

ブランチェ、流石に仲間同士の殺し合いを見て愉悅をじるのはどうかと思うぞ。逆に純白だったブランチェがディアーナの様に黒に染まって行っている気がするのは気のせいだろうか。いや、気のせいだと思いたい!

ニーベルンゲンの災いの方も宜しくお願いします。

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