《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》稀有な存在
「えっ!? あ、本當だ! あいつスリだったのか!? 追いかけよう!」
「はい!」
同時に駆け出して年を追いかける。
だけどひょいひょいと障害を跳び越え上手に人混みをって逃げる彼の足は速く、いくつかの角を曲がった果てに見失ってしまった。
「どうしましょう。見失っちゃいました……ね……?」
振り返ると殿下がいない。
「あらっ?」
辺りを見回すけれどやっぱりいない。
置いて來ちゃったのかしら。お布団が重くて走れなかったとか……?
きょろきょろしながら踵を返すけれど、夢中で走っているうちに結構遠くまで來てしまっていたようで。
どこをどう曲がって來たのか……土地勘が無くて元の場所に戻れるかちょっと自信が無い。
しかも、なんだかさっきまで居たところより殺風景で人の気配がなく、雰囲気が沈んでいるじがする。
もしかして、マズいところに迷い込んでしまったんじゃないかしら……。
不安をじた瞬間、ふと、ぞくりとした覚と共に一際濃い瘴気の流れをじ取った。
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周囲と比べて明らかに異質な空気だ。
この瘴気の大元を探ると、どうやら民家から離れたところにぽつんと建っている大きな建から來ているようだ。
あの建、なんだか初めて王宮に上がった時の殿下の塔に迫る瘴気の濃さな気がする。
「……?」
何かしら。
倉庫……に見えるけど……。
何を置いているのかしら。
不穏なものをじるけれど、ここを放っておいたらすぐにでも魔獣が出てしまいそうだ。
浄化をしておいた方が良さそう。
と思って倉庫に近付き、頑丈な扉に手をばすと――背後から肩を摑まれて、聲にならない聲が出た。
「ヒィッ!」
「しーっ。俺だよ、俺」
殿下の聲だ。振り向くと衛兵達(一人はお布団持ち)を引き連れた殿下が息を切らしながら私の肩を摑んでいる。
「びびびびっくりしましたよおぉ」
「ゴメン。布団が重くて追い付けなくて……。兵達が協力してくれなかったら追い付けなかったかも。ここにさっきのスリが逃げ込んだのか?」
「いえ、それは分からないのですが……。ここの瘴気が特別濃かったので、浄化しておいた方が良さそうだと思って」
「濃い? 確かにここの空気はちょっと違うじがするけど……どのくらい濃いか説明できる?」
「私が初めて出會った時の殿下に近いです」
そう言うと殿下の後ろにいる衛兵達がざわっとした。
「そりゃあ凄いな。一セシル様か」
「一セシル様はなかなか無いぞ。俺、瘴気に弱いから中にれないかも。俺が平気なのはせいぜいハーフセシル様くらいまでだ」
どうやら殿下は瘴気の濃さを表す時の単位になってしまっているようだ。
稀有な人、と言ったシスター・メアリーの言葉がふっと脳裏をよぎる。
衛兵さんの一人が前に出て言った。
「セシル殿下。ここは石の一時保管所であります」
「あ、そうなんだ。どおりで」
「石の一時保管所?」
初めて聞く単語に首を傾げると、殿下は説明してくれた。
「魔獣が出ると大きさに関わらず倒す必要があるだろ。倒すと瘴気の結晶の石が出る。この石、放置出來ないし危険だから、一応國が集めて王家所有の僻地で処分する事になっているんだ。処分って言ってもただ積んで置いておくだけなんだけどさ。――で、その処分場に運び出すまでの間、まとめて保管する場所が一時的に必要になる。それが、ここなんだって」
「なるほど」
それなら周囲に建が無いのも頷ける。
「でも、すぐにでも魔獣が発生しそうですよ。町の中にこんな場所があって大丈夫なんですか?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったらそりゃ大丈夫じゃないさ。でも必要だから仕方ない」
話している最中にも倉庫かられ出る瘴気がどんどん殿下の周囲に集まって來る。
本當に瘴気に好かれる質なのね……。殿下はみるみるうちに顔が悪くなり、細の背筋を丸くした。
「なんか……ステラの近くなのに調が悪くなって來たな……。まぁ、ここが一セシルだと思えば無理も無いか……」
ご本人まで単位「セシル」を使っておられる。
「元を絶たないといけませんね。急いで石を何とかしましょう」
「うん……。でもちょっと待って。中にスリ君が居るかもしれない。鈍な人ならしばらく滯在するくらいは出來てしまうから……。隠れていた時を想定して、逃げられないように全ての出り口を塞ごう。衛兵の皆、窓という窓をチェックして固めてくれ」
「はっ!」
今まで見た中で一番王子様らしい振る舞いだった。
衛兵さん達は素早く行し、やがてお布団を抱えた一人の衛兵さんが「総員、配置完了しました」と報告を上げて來る。
「よし。扉を開けるぞ。ネズミを罠にかけるにはなるべく派手な音を立てる必要がある。ステラ、心の準備はいいか?」
「はっ!」
衛兵さんと同じ返事をして大きな音に備えた。
すると殿下は足を上げ、思いっきり扉へ蹴りをれる。
大きな音を立てて開いた扉からはブワッと瘴気が溢れて來て、殿下に縋るように取り付いた。
「うっ……、俺はもうダメだ……。ステラ、皆も……ここは俺に任せて先に……行け……」
「はいっ!」
蹲って倒れ込む殿下にそっとお布団をかけて、衛兵さんに護衛を頼み倉庫に飛び込んだ。
……あっ、もしかして、私一人?
ちょっと怯んでしまったけれど、周りには何人もの衛兵さん達がいるし、という事で気を保ち、足を進める。
一セシル様だけあって先が見えないほど真っ暗だ。
瘴気が目に見えるのは便利だけど、こういう時だけはちょっと困る。
ここは水の中かな? と思うくらい重く苦しい空気の中をおそるおそる進んで行くと、奧の方でカタン、と音がした。
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