《ドラゴンガール!〜現代社會に竜娘!?〜》10鱗目:飛翔!竜娘!

「とりあえずこれで測定は全部終わりだな、ただ一つ問題があるとすれば……」

三浦さんはそこで言葉を區切り、僕をじっと見つめてため息を吐くと続きを話し出す。

「まさかここまで規格外とは想定してなかったってことだな」

「あはは…………実は途中からすっごい力加減してたり……」

「……聞かなかった事にする……………………ちなみにどこから?」

「だいぶ前半から」

そう答えた後の三浦さんの反応に苦笑いを浮かべつつ、自由にしていいと言われた僕は何か手伝えないかと、丁度片付けをしていたお姉ちゃん達のところへ向かう。

「天霧さん……じゃなくてお姉ちゃん、なにか手伝うことない?」

「あら鈴香ちゃん。休んでてもいいんだよ?」

「そうだよ鈴香ちゃん。別に大した仕事じゃないんだから気にしないでいいのよー」

「葉田さんまで………でも…その……………僕だけ休むのは嫌というか……」

「うーん…………柏山くん!」

僕が手をもじもじさせながらそう呟くと葉田さんが背の高い細の男の人を呼ぶ。

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「お呼びッスか葉田さん?」

「マット運ぶ仕事貰ってもいい?」

「構わないッスけど、手だけだと大変じゃないッスか?」

「大丈夫、手伝ってくれる優しい娘がいるから」

「……?あぁそういう事ッスか。分かりやした!代わりに細かいのはこっちで運んどきますね!」

「ありがとねー」

葉田さんに呼ばれた柏山さんという職員さんは一瞬だけキョトンとした顔を浮かべたが、どうやら僕が手伝う事が分かったようでマットを運ぶ仕事を譲ってくれた。

「それじゃあこの……結局上起こしと立ち幅跳びでしか使わなかったけど、それでも役立たずだったマットを倉庫の方に運ぶわよー」

「お…おー」

「葉田ちゃん意地悪言わない。それじゃあ鈴香ちゃんが2枚で、私と葉田ちゃんが一緒に3枚でいいわね」

そう言ってお姉ちゃんがどれだけ持つかを振り分けるが、僕はもうちょっと行けそうな気がした。

「いいよー、鈴香ちゃんはそれでいい?」

「え、えと……3枚行けるかもなんて……」

「お、チャレンジャーだねぇ」

「鈴香ちゃん無理しないでいいからね?」

「無理はしてないから大丈夫です。とりあえず挑戦だけしてみます」

「頑張れー」

なんだか子供を見るような目のニコニコ笑顔の葉田さんに頑張れと送り出され、僕はちょっと心配そうなお姉ちゃんの橫でマットを3枚持とうとするが…………

「ふ……ふにゅっ……!」

う……腕の長さが足りない………………!

「あっちゃー。腕の長さが足りなかったか……」

「鈴香ちゃーん、私達が持つよー?」

「だい、じょーーぶ、です!あ、そうだ」

僕はピンと閃き、無理に3枚持ち上げようとしていたマットを一旦下ろす。

そしてマットを1枚だけころころと丸め、そのマットにぎこちなくだが巻き付かせるようにして尾を這わせてから締め付けると……

「持てた!」

両腕で2枚、尾で1枚、つまり合計3枚持つことに功したのだった。

「おぉー!それは持てたって言っていいのかな?というか用だなぁ……」

「鈴香ちゃんすごい!っとと葉田ちゃん、私達も運ぶよ。鈴香ちゃんはついてきてね!」

「わっ、分かった!」

「じゃあ行くよー。それじゃあ葉田ちゃん、いっせーのせ!」

掛け聲をかけてマットを持ったお姉ちゃんと葉田さんに僕はついて行き、マットを元あったであろう場所にお姉ちゃんの指示通り置く。

「これでお仕事もおわりっと!後はお晝ご飯食べてそれから自由だ!」

「鈴香ちゃん、どんなことして遊ぼっか?」

「えーっと…えっとね!ってそうだった!」

危ない危ない!忘れて遊びまくる所だった!

葉田さんがびをしている橫で何をして遊ぼうかと考え出した僕は、飛べるかどうか試してみたいということを思い出してハッとする。

「どうしたの?なにか忘れてた?」

「えっとお姉ちゃんに葉田さん」

「なになにー?」

急にハッとした表になった僕を心配に思ってか、し近くに寄ってきた2人の名前を呼んだ後……

「飛べるか試してみたいです!」

期待いっぱいの顔で僕は2人に向かってそう考えていた事を伝えると、2人はし悩んだ後顔を見合わせてひとつ頷く。

「ウチはいいと思うよ、室だから風もないし飛べたとしても多分安全だし」

「やってみないことには飛べるか分からないし、やってみる価値は充分あるわね。とりあえず三浦さんに報告はしとかないと」

お姉ちゃんと葉田さんは互いに認識の確認をした後、お姉ちゃんは僕の頭を優しい笑顔ででながら「頑張るのよ」と言ってくれた。

えへへ……よーしっ!絶対飛んでやるぞ!

ーーーーーーーーーー

「それじゃあ晝飯も食べた事だし、急遽だが鈴香の飛行実験を開始する。

もしもこれが功したならばまーた大発見だが事故ったら死人が出るかもしれん。

皆心してかかるように」

そんな三浦さんの言葉に、僕を含む9人がキリッとした聲で返事をする。

そしてそれを見て三浦さんは大丈夫だと判斷したように頷き、それぞれに指示を出し始める。

実験の容は簡単だ。

まず僕が飛ぶことに挑戦する。

後はチームの皆さんが僕が落っこちてもいいように下でネットを張ってくれるので、僕はできる限り飛ぶことを意識し続ける。

よし、やるぞ。やってやる!

期待してくれてるチームの皆の為にも、僕が學校に行けるようになる為にも!

というか云々以前に普通に飛んでみたいっ!

僕は頬をぺちぺちと叩き、浮つく気持ちを抑えて気合をれる為更に目を閉じて數回深呼吸をして……

「行きます!」

バサッという音を立て翼を大きく限界まで橫に広げて1度大きくかし、地面を風で叩くようにできる限り翼を地面と並行になるよう傾ける。

そして軽く1度2度と大きく翼を羽ばたかせ、かす覚を摑みなおす。

ここで僕はもう一度だけ深呼吸をし、さらに強く翼へ意識を向けて今度は1回2回3回と羽ばたく大きさ、速度を羽ばたく度に上げていく。

そうして翼を羽ばたかせているうちに唐突に僕の視界が変わるような覚がする。

そして風が地面を叩いたような、明確な手応えにここだとじた瞬間、僕が地面を蹴ると僕のは打ち上がるように上へと飛び上がり──

「とっ、飛べたっ!おとと……あっちょっ!……せーふ……っととと!うわわっ!」

僕は空中に浮かんでいた、いや飛んでいた。

最初は何度かバランスを崩して落ちかけたが、その度に何とか勢を立て直す。

それを數回近く繰り返してるに、僕は翼の安定するかし方を覚え、自分のを空中に留める事が出來るようになっていた。

飛べた嬉しさの中下を向くと、皆もネットを張りながらも笑顔で大喜びしているのが見え、なんだか僕も嬉しくなる。

そしてネットがあるという安心からか、僕は様々な事に挑戦してみる事にした。

し翼の角度を変えて空中で橫移をしたり、足を振り上げるようにかして空中で一回転してみたりもした。

そしてその頃にはもう翼に意識を向けていなくても空中に留まることは出來るようになっていたのだが……

こ、これ……どうやって降りれば……

バッサバッサと翼を羽ばたかせながら降り方が解らずに空中に留まっていた。

いや、降り方は分かっている。羽ばたくのをやめて重力にを任せればいいのだ。

いいのだが……

落ちるのいやだぁぁぁぁ……

なんで今飛んでるとこと同じくらいの高さの3階観戦席は全部ガラスってあるのさ!そこに著地出來たら良かったのに!

打ち破って中にってやろうか!

そんな事を考えながら空中をくるくると翼を羽ばたかせながら旋回していると、お姉ちゃんに付けられていた無線機から聲が聞こえてきた。

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