《ドラゴンガール!〜現代社會に竜娘!?〜》20鱗目:形勢変更、竜娘
僕がこんなことになってからもう1ヶ月半近く経とうかという頃、僕はその日もいつも通り検査をけていた。
「ん?」
「三浦先生どうかしました?」
「あ、いや。ここだけ微妙に鱗の形が違う…………いや、逆になってるのか?」
「へー、そんなのあったのか」
ふっしぎー。
いつもの検査の最中、僕の顎と首の付け辺り、つまりは元にそんな変わった鱗がある事に三浦先生が気付く。
「あれじゃないっすかリーダー、逆鱗って奴」
「逆鱗?」
「逆鱗ってあれ?龍の首元にあるってやつ?それをられるとどれだけ溫厚な龍でも嫌がってった奴を即座に殺して我を忘れて大暴れするってやつ」
うへぇ……これ、られたらそんな事になるのか。我を忘れるなんて、られると死ぬ程痛いのかなぁ?
お風呂の時翼とか尾はともかくは自分で洗ってた時は何ともなかったけど、萬が一千紗お姉ちゃんがってたらと考えると……うん、やめよう。
そんな想像したくもない展開を想像してしまい、僕は思わずその恐怖にブルッとを震わせる。
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を震わせた僕を見たからか、三浦先生に頭をなでられた僕が顔を上げると、そばに居た大和さんや陣さんと一緒に優しい笑顔を浮かべていた。
「大丈夫心配すんな、らぬ神に祟りなし。そんなリスクまで背負ってったり研究したりはしないからな」
「その通りよ鈴香ちゃん。もしろうとした奴が居たらパコーンって毆ってやりなさい!」
「そうそう。だけど力加減はしてやれよ?姫が全力で毆ったりしたら片になっちまう」
「そっ、そこまで僕馬鹿力じゃありません!失禮な!」
「…………2日前に俺らの橫を「お手伝いしますっ!」って言って800キロオーバーの研究材料片手に鼻歌歌って運んでた子はだれかな?」
「さーて、次の検査やりましょう!三浦先生次はなんですか?」
ぷいっと顔を背けていた僕の肩を摑んでいる陣さんに真顔でそんな事を言われ、僕は冷や汗をダラダラと流しながら無理矢理話題を変える。
「ん?あぁ、今日はこれ以外特に何もない、とりあえず今やってるのを終わらせてしまおう」
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「はーい」
その後特に何も無く無事に検査は終わり、僕は更室でお姉ちゃんが毎朝選んでくれてる洋服に、検査用の病院服から著替える。
ちなみに今日のお姉ちゃんコーディネートはし丈の短い紺のスカートにニーソックス、白いシャツの上にブラウンのゆるニットというらしい服だ。
うーむ、短いスカートって初めてだけどすっごい心もとないというか…………せめて膝丈くらいの長さはしいなぁ。
でもこのゆるニットっていうのはいい。
もこもこしてて気持ちいい…………………………ととと、もこもこ堪能してないでさっさと出よう。
まだ子更室を我が顔で使う程までの子では無いからね、うん。
僕は顔をふるふると振って更室を後にしようとして忘れを思い出し、サッと戻ってそれを角に被せて更室から出る。
そして更室から出てきた僕の角には先に白いぽんぽんのある、側面に貓のマークがついた一言で言うなら角カバーとでもいうようなものを付けていた。
「葉田さんお疲れ様です」
「お、鈴香ちゃんお疲れー……ってそれが角カバーかー!いいねー!うんうん!聞いてたよりすっごい似合ってて可いっ!」
僕は廊下で葉田さんに出會い、早速角カバーを見た葉田さんが興したようにったりしながら似合ってると褒めてくれる。
それが嬉しくて僕は笑顔になり「えへへ」と照れ臭く笑う。
実はこの角カバー、寢転んだりした時に角が當たったり刺さったりして地味にめんどくさかったのでそれへの対応策として僕が貰った布で自作しただ。
やった!褒められちゃった!
前々から角が布団に突き刺さったり時々ぶつけたりしてたから作り初めて昨日やっと完したやつだけど、実用もあるし褒められるし、うん!本當に作って良かった!
僕が褒められて心跳ねて喜ぶ程喜んでいると、いつも持たされている施設でのみ使えるという端末へ、三浦先生から呼び出しが來た。
「鈴香ちゃん呼び出し?」
「はい、そうみたいです」
「今日の検査で何かあったの?」
「んー……特には?逆鱗が見つかったくらいで」
「逆鱗?」
「はい、このの付けくらいにあるやつです。ったらヤバいそうなのでんないでくださいね?」
僕は顔を上にあげながら付けにあるそのひとつだけ違う鱗を見せる。
そしてこんな軽いじの葉田さんでも流石研究者と言うべきか、僕がらないでと言うとちゃんと手を引っ込めてくれた。
「うん、分かった。とりあえずウチもちょうどリーダーに用事あるし一緒に行く?」
「本當ですか!?それならぜひ!」
僕はそう言うと葉田さん、花桜さんと一緒に三浦先生がいるであろう執務室へと向かうのであった。
「でもなんの用なんだろうねぇ」
「ですねぇ…………この間の勉強も績悪くは無かったしなぁ……」
というかそもそも、こんな風にいきなり呼び出されるなんて初めてだなぁ。怒られたりしないといいんだけど……
三浦先生の執務室に向かいながらそんな事を考えた僕は、首を傾げたりしながら葉田さんとそんな話をしつつ、長い尾をゆったりと左右にうねらせて歩いていた。
「そっか。鈴香ちゃん今リーダーと柊さんに勉強見てもらってるんだっけ?」
「はい、高校でどれくらいの範囲まで習うのか知りませんけど、通い始めて分かりませんってならないようにです」
後僕がダラダラしちゃわないためー。
「偉いねー。ウチなんかその歳は遊んでばっかりだったのに」
「葉田さんはゲームセンターとカラオケの住人っぽいですよね。ちょっとチャラいThe子高生ってじの」
あははと笑いながら偉いと褒めてくれる葉田さんに僕はお禮を言いつつ、學生時代の葉田さんを想像していた。
するとどうやらその想像は図星だったらしく。
「どうして分かったんスか?!いやチャラくはなかったけど……鈴香ちゃんもしかして人の過去が見える?」
「そんなわけないじゃないですか…………普通に葉田さんっぽいなーって思っただけです。というかスか?」
「スかは昔からの悪い口癖でね……そんな分かりやすいかなぁ…………ととっ、ついたね」
なんだかだいぶ驚かれてしまった。そして葉田さんの意外な癖を知っちゃった。葉田さんってば可い癖があるんだなぁ。
予想した僕も僕で予想通り過ぎて驚いていたが、そうこうしているうちに三浦先生の執務室の前へ辿り著く。
「そうだ!せっかくですし、僕が開けますよ!」
「いいの?じゃあおねがーい」
僕が葉田さんにそう言い、支給された僕用のIDカードをカードリーダーに通した後にウキウキしながら指を指紋認証の所へ押し當てる。
『ID認証、指紋照合完了、ようこそ天霧鈴香さん』
するとそんな機械音聲と共に扉がいつも通りSFチックな開き方をする。
うん、やっぱりかっこいい。
この認証完了の音聲と言い、扉の開方といい本當にかっこいい。
しかし澄ましたような顔で認証を済ませた當の本人たる僕の尾はやはり正直で、心の興を表すかのように尾の先は素早く左右に揺れていた。
そして尾がそんな事になっているとは知らず、尾を見てクスリと笑った葉田さんにどうしたのだろうと首を傾げつつ、僕は部屋にりし奧へと進む。
すると奧に進んだ先にあるドアとは異なった、落ち著いたムーディーなその部屋にはいつもの調子で椅子に座っている三浦先生が居た。
いつ來てもこの部屋大人ーなじでかっこいいなぁ。
「おっ、鈴香早かったな。それに葉田も一緒か、丁度いい」
「はい、鈴香ちゃんはちょうど更室から出た所だったので。それで珍しく端末で呼ぶなんてなんの用事ですか?」
「葉田は暫く雑務ばかりで研究の方から離れてたから知らないか、そうだな……」
葉田さんが僕がどこにいたかも一緒に三浦先生に説明してくれる、三浦先生はそれを聞いた後し顎に手を當て考えた後、真剣な顔で呼んだ理由を話し始めた。
「鈴香がここに來て約1ヶ月半、々と検査や研究させて貰って充分どころか過剰なくらい資料が集まった。
そしてそののいくつかはもう技的にも使用可能間近まで漕ぎ著けている」
その三浦先生の報告に合わせ僕は頷く。
何故僕が知っているのかというと、千紗お姉ちゃんから逐一進捗狀況は聞いてたからだ。
ちなみに鱗とか抜け殻は採取先が僕しかないこと以外技的にもほぼ実用化可能で、メディアとかにも斷片的に報を流してあるらしい。
「たった1ヶ月半程度でよくここまで漕ぎ著けられたと思っているが、忙しくなるのはこれからだ」
本當によく漕ぎ著けたよねぇ……もう日醫會の人達がどれくらい優秀かすっごいよくわか──忙しくなる?それってまさか…………
僕はそこまで考えまさかと思わず立ち上がる。すると三浦先生はどうやら僕が何に気がついたか分かったようで、ニヤリと口を歪ませる。
「そうだ。鈴香の想像出來た通り…………とはいえ、本當に思ってたよりも20倍近く早いが、そろそろ結果を集める方から鈴香を表社會に戻す方へときを変える」
「ということは……!」
「あぁ、今からが本當の勝負所だ。という訳で葉田、お前への用事だが今後の予定を詰めておいたこの書類を幹部と鈴香研究の初期メンバーに配ってこい」
「はいっ!」
三浦先生の説明を聞いて顔いっぱいに喜びを浮かべた葉田さんは書類を渡されると、疾風とも言える勢いで部屋を飛び出して行った。
「鈴香」
「はっ、はひっ!」
そしてそんな葉田さんのその速さに呆気に取られていると、次に三浦先生は僕へ聲をかけてきて、僕はビクッとなりながらもハキハキと返事をする。
ぼ……僕は何すればいいんだろ…………空中ショー?
「今日は早めに休んでくれ」
「はいっ空中ショーですね!…………え?あの………休め?」
「そっちこそ空中ショーってなんだ空中ショーって。それにそんな心配そうな顔すんな。なぁに…………もう検査や実験だけじゃなくなるからな」
僕の空中ショーという単語になんだそれはというような表で三浦先生はツッコミをした後、なんだかヤバそうな笑みを浮かべてそう言ってきた。
「は、はーい……」
そんな三浦先生を見て僕はそそくさと部屋を後にしたのだった。
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