「さかな〜さかな〜おさかな〜♪赤魚に白魚〜青魚〜に出世魚〜♪水曜日はお買い得〜♪」

自らが作曲した謎テンポの歌を歌いながらプールの翌日にお休みを貰っていた僕は、上機嫌で下層區畫の比較的外側の部分を散歩していた。

今日の晩飯はどうしようかなぁ……千紗お姉ちゃんがいいなら僕は魚かおを食べたい気分だけど…………うーん…お腹空いた。

くきゅうとお腹が鳴り、そろそろ部屋に戻ろうと僕が思っていると、凄く大きい荷を乗せた臺車が目の前の曲がり角からぬっと出てきた。

「うぉぉっ」

「うわっと、大丈夫………って姫かびっくりした」

「姫ちゃんがここまで來るって珍しいっスね、お散歩っスか？」

「はい、お散歩です。丁度今から戻ろうとしていた所で、それで陣さんと……えーっと、なんなんっスって口癖だからー……柏山さん！お二人は何を運んでるんです？」

何とか柏山さんの名前を思い出せた僕はし遂げたと言わんばかりの雰囲気で、僕は汗だくの2人に何を運んでいるのかを聞いてみる。

「おぉ！よく覚えてたっスね！んでこれっスか？これはっスねぇ────」

「姫の検査とかに使うとは別に仕れた奴だな。多所か必要より大分多く仕れてるから、運ぶの手伝ってくれたらしいの持って行っていいぞ」

「いいんですか?!よーしっ！張り切って手伝っちゃいますよー！」

陣さんから荷の中にあるのをし貰えると聞いてやる気MAXになった僕は、2人が必死こいて押していた臺車から軽々と持ち上げる。

「…………あいっっ変わらず馬鹿げた馬鹿力だ……いや馬鹿げてる力だから馬鹿力なのか……」

「そうっすねぇ…………所で先輩、なんでさっき自分が言おうとしたの遮ったんすか？」

「ここは俺が説明しなければならないと第六が囁いたんだ」

「はぁ………第六っスか……………あっ！姫ちゃんそこ右っス！」

「はーい！うわとととっ！」

2人がそんな會話をしてるなんて知らず、僕は上機嫌で大きい荷を持ちずんずんと先へ進んでいたのだった。

ーーーーーーーーーー

「姫ちゃんありがとっス！あんな軽々運んじゃうなんて凄いっス！そんで本當に助かったっスよー！」

「えへへ……！こんなの余裕っす！軽々っす！」

「それ自分の真似っスか？おそろいっスね！」

「真似っすー！おそろいっスー！」

抱えてきた荷を指示された場所に置いた僕は、褒められて顔を綻ばせながら柏山さんの喋り方を真似したりして遊んでいた。

「…………700キロはあったんだがなぁ……」

「どうかしました？」

「いや、なんでもない。それより何かめぼしいが無いか見てみたらどうだ？」

アシスト機能付きの臺車を戻した陣さんが何か呟いたようで聞き返した所、なんでもないと言われたが漁っていいという許しが出たので早速箱を漁ってみる。

「何があるかな〜っと♪なにこれ？目の細かい金網？」

「それはフィルターっスね。硫酸とかにも強い特別製っス」

「ほうほう……うわーなんだこの変なフラスコ。管がいっぱいついてる……」

「それは明摺合四ツ口フラスコだな」

「とうめいすりあわせよつくちふらすこ？」

「……変なフラスコでいい」

「はーい…………ん？」

なんか箱の中から微かに味しそうな匂いが……

鼻をスンスンと鳴らしながら2人に荷を渡しつつ、僕はその味しそうな匂いの主を探す。

そしてもうそろそろ箱の底の方にたどり著くという時に、その匂いの元を僕は見つける。

なんだろ、これ。明なー…………飴？

なんだかすっごく味しそう……

「柏山さん」

「どうしたっスか？」

「これ貰っていいですか？」

「それっスか？それなら持って行っていいっスよー」

「ありがとうございます！」

僕が柏山さんにその明なビー玉サイズの飴のようながっている袋を見せると、やっぱり飴だったのか柏山さんは直ぐにOKをくれた。

僕は元気よく禮を言うとウンウンと頷いてる柏山さんを橫に、その袋の中にある明なを3粒口に放り込む。

ん？飴じゃない？なら噛み砕いて……おぉー！

甘ーい！そんでもって爽快がある後味!!これは味しい！

というかなんかお腹が満たされるというか、足りなかったが満たされるようなじが……

「いやー。姫ちゃんもやっぱりの子と言うべきか、水晶をしがるなんて…………って姫ちゃん!?」

「ほひ？」

「何してんスか?!それ食べじゃないっスよ!?」

ガゴリボゴリと口に放り込んだを噛み砕いていた僕を見て、柏山さんは焦った様子で僕に詰め寄ってくる。

「へもはほくへふっほふほいひいへふほ」

「ペッ！ペッするっス！姫ちゃんペッ！」

「ひやへふー！んぐんぐ……もう食べちゃいましたー！」

僕は柏山さんに向かってそう言い、べーっと舌を出す。

「あーもうなにやってんスか！陣先輩至急リーダーと天霧先輩を！」

「…………」

「陣先輩！」

「……はっ！おっ、おう！」

ポカーンとなっていた陣さんが部屋を慌ただしく出ていくのを見ながら、僕はしれっとひょいっともう1粒その明なを口に放り込んだのだった。

その後三浦先生に僕が食べたものは石英、つまりは水晶だと教えられ検査をけた所、なんの異常も見つからないどころか、いつもよりも好調ということが発覚した。

そのことから僕の、いや僕の竜としての食が俗に言う鉱食というものだと判明したのだった。

そして數日後。

「と、言うわけで水晶だけでなくんな鉱石を用意してみた。とりあえず口にれてもらって、食えるようなら食ってみてくれ」

「……マジで言ってます？」

「マジのマジ。大マジだ。お前が何を食えるのか、また食った後食べた鉱の違いでお前のがどんなじのきをするのか、是非とも興味がある」

「な、なるほどぉ……」

いやだからって……これ、一いくら位するの?!

悠々とそう語る三浦先生と僕の間にある機に置いてある様々なの寶石を前に、僕は戦々恐々していた。

しかしは正直なもので……

「その不安そうな表から察するに、一幾らするんだろうって考えてるんだろうが……鈴香、涎垂れてるぞ」

「へ？うわわっ?!」

い、いつの間に!?

「み、みぐるしいところを……」

「気にするな気にするな。だが涎を垂らすって事は、お前にとってこれは味そうなんだろう？」

くっ、認めたくない……！認めちゃったら間違いなく人間じゃなくなる……けど──────

「ふゃい、おいしそうでしゅ……」

食には勝てないっ！だってすっごくいい匂いするんだもん！

こう、分かりやすく例えると、お腹減ってる時に目の前で味しそうなおが焼かれてるみたいなじ。

「さて、それじゃあまずはこの紫のやつから……」

「お、アメジストか。いい所選んだな」

「えへへ、それじゃあ頂きますっ！」

そう言って僕は飴玉サイズの紫の塊を口へ放り込む。

「んんぅっ！」

こ、これは！

すっと鼻を抜ける爽やかな匂いとこの口のスースー！ハッカみたいなじでとっても爽快があって食べてて気持ちがいい！

味も甘い割に鉄っぽいじだけど、舌に殘るようなじじゃないし、たまに食べる分にはいいかも。

「結構気にったみたいだな鈴香」

「はいっ！結構味しかったですっ！えっと、次食べていいですか？」

「おう、いいぞ」

「それじゃあー……これっ！頂きまーす！」

そう言って僕が次に取ったのはアメジストの隣にあった、ものすごくキラキラしてる明な水晶みたいなだ。

そしてそれを口へと放り込んだ僕は──────

む、ちょっとい。でも噛み砕けないわけじゃっ?!

「お、次はダイヤか。鈴香もお目が高いなぁ……鈴香？」

「んうっ!?ぺっ！なにこれまっずっ！うぇぇぇぇ……」

「ちょっ!?大丈夫か鈴香?!」

「だいじょばないですよ！なんですかあれ!?この世のとは思えない味でしたよ?!」

「えっ、ダイヤなのにか？」

「えっ、ダイヤだったんですか？」

ダイヤを僕が吐き出した後そんなやり取りをして若干どころかだいぶ気まずい空気が流れたものの、その後も実験は続けられた。

その後結果として、僕は鉱食ではあるものの水晶の様な主分が石英である鉱石しかけ付けないという事がわかったのであった。