あの二人と出會ってから早くも2週間が過ぎ、もう6月も終わりが近づいてきていた。

僕はいつものように起きるといつものように朝ご飯の用意をし、いつも通り千紗お姉ちゃんを起こして一緒にご飯を食べていた。

そして朝ご飯を食べ終え満足そうな顔の千紗お姉ちゃんを橫目に、食を片付けようとして僕はふと何かをじ取った。

「〜〜♪……ん？鈴ちゃんどうかしたの？」

「んー……なんか嫌なじがしたというか…………」

僕はそう言うと目は特に何も無い壁の方へ向けていた目を戻して、止まっていた手をまたかし始める。

「嫌なじ？んー……まぁ大丈夫じゃない？それじゃそろそろ著替えましょうか」

「……うん……………………で、今日はそれ？」

僕は千紗お姉ちゃんが取ってきた服を見てそう聞くと、姉ちゃんはノリノリのハイテンションで頷いてくる。

「そうだよー！今日はきやすさ重視のホットパンツスタイルっ！鈴ちゃん足も細くてすらっとしてるからとっても似合うと思うよ！」

「はいはい。それじゃ著替えてくるねー」

僕は熱っぽく語る千紗お姉ちゃんに呆れつつも、そう言って翼と尾を揺らしながら所へと向かう。

千紗お姉ちゃんってだいたいいつもスカートとかフリフリなのばっかり勧めてくるからなぁ……ズボンなんてすっごい久しぶりだ。

丈が足の付けくらいしかない前にはチャック、後ろには大きなの空いた男だった時以來のズボンを前に、何とも言えない気分になっていた。

おぉ。なんか大分男の時とは違ったじだ。

し気になるといえばおがパツパツというか……いやまぁ多分尾が原因なんだけどさ。

おが大きくなったんじゃないかって？どこもらしい付きじゃない僕に限ってそんな事ないでしょ。

チョイチョイとズボンを引っ張り、著心地が落ち著いた所で上も元に貓のマークがある白地のTシャツに著替える。

「千紗お姉ちゃん著替えたよー」

「お！いいねー！似合ってるよー！うんうん！ボーイッシュなじも可い！ただ思ったよりも尾のせいでおの下までしか布無いって考えると……えっちだ」

「ありがとーって最後何か言った？まぁいいや。千紗お姉ちゃんお化粧終わったらいつも通り髪のお願いー」

お化粧中にも関わらず僕にいい笑顔でサムズアップしてくる千紗お姉ちゃんに似合ってると言われ、僕も聲を弾ませて髪を整えて貰うように頼む。

「さーて、それじゃあいっちょやりますかー！お客さんリクエストはありますか？」

「んー、店員さんのおまかせコースで」

「はーい！じゃあ今日は簡単にポニーテールにしちゃおう、服にも似合ってると思うし。前髪は自分で出來るね？」

「うん、任せて」

千紗お姉ちゃんとそんな毎朝のやり取りをした僕は私置き場にある箱からヘアピンを取り出してきて、千紗お姉ちゃんに背を向けて座る。

「ねぇ千紗お姉ちゃん」

「なぁに鈴ちゃん」

「前々から思ってたんだけどさ」

「うんー」

そんな千紗お姉ちゃんの生返事と髪のを櫛で梳いて貰う心地よい覚をじながら、僕は前髪を整えつつ前々から思っていたことを口に出す。

「髪の長いの邪魔だから切っていい？」

「ダメ」

「えーなんでー」

「ダメったらダメ。もし勝手に切ったらプリン沒収」

「うぐっ…………わかった……」

プリンを人質にしてくるなんて……卑怯者ー！

僕はパチリとヘアピンを留めつつ、殘念とため息を著く。

「でもしは整えた方がいいかも……今度切ってあげるね」

「やった♪〜〜♪」

千紗お姉ちゃんに髪を切ってもらえると聞いて僕は上機嫌に鼻歌を歌い出す。そんな和やかな雰囲気の中で朝の時間はゆっくりと進んでいくのだった。

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鈴香達がそんな事をやってるし前、あるビルの一角でその太い男、田上誠一郎は鏡の前に立ちだしなみを整えていた。

「では行くとするか」

「はい。お車の用意は出來て居ますのですぐにでも」

希と呼ばれている書が田上にそう伝えると田上は満足気に頷き、部屋を出るべくドアへ向かう。

「ご苦労。さて、それでは今度こそ日醫會の下層が必死に隠しているモノを暴かせて貰おうじゃないか。そして────」

ドアノブに手をかけた田上はそこでニヤリと気味の悪い笑を浮かべると……

「ワシのコレクションに加えてやろうじゃないか」

そう一言言って部屋を出ていった。

まぐれかそれとも龍の勘なのか、奇しくもその田上の居た部屋は鈴香が見ていた方角にあった。