《ドラゴンガール!〜現代社會に竜娘!?〜》32鱗目:船出!龍娘!

「よし出來たっ!鈴ちゃんもう目を開けていいよー♪」

千紗お姉ちゃんにそう言われ、僕が閉じていた目をゆっくりと開けると…………

「おぉ…………!なんか……メリハリがついた?」

そう思う僕の前にある鏡には、いつもよりの増した白いにいつもよりぱっちりとした目、口には薄く紅がさしてあり、ほっぺはほんのりピンクになっている。

所謂化粧というを施された僕の姿が映っていた。

「うんうん!何時もの可鈴ちゃんもいいけど、人な鈴ちゃんもいいねーっ!」

「そ、そうかな…………でも千紗お姉ちゃん……ほんとにお化粧しなきゃダメ?」

「そりゃそうよー!大人のがすっぴんで外に出るなんて、で外をウロウロしてるのと同じなんだから!」

そっ、そこまで言うレベルなのか……?

ていうか……

「それなら僕、まだ子供だからしなくていいじゃん」

「あら、屁理屈さんかしらー?でも今から大勢の前に出るんだからやっぱりしておかないとね。それと鈴ちゃん今日は「僕」じゃなくて「私」よ?」

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「はーい。それは分かったけれど…………やっぱり顔むずむずする!お化粧とっちゃダメ?!」

「あっこら顔ろうとしない!しの間だけなんだから我慢して?」

「うぅぅぅぅぅ……!」

早く、早く終われぇぇぇ……終わってくれぇぇぇ…………

褒められた嬉し恥ずかしさとは別に、お世辭にも快適とは言えない化粧の覚に唸り聲を上げつつ、全的に明るめなスラリとしたデザインの服にを包んだ僕は控え室にて頭を抱えていた。

ーーーーーーーーーー

時間は數時間前に戻る。

昨日三浦先生をとっ捕まえた後長々と話をした結果、渋々とだが必要な事と諦めて記者會見に出るのを承諾した僕は三浦先生に呼び出されていた。

「という訳で昨日言った通り今日は記者會見に出てもらう訳だが、鈴香は基本何も喋らなくてもいい」

「え?喋らなくていいんですか?」

「おう、と言っても挨拶くらいはして貰うがな。セリフは渡しとくが、最悪覚えてなくてもいい」

きょとんと首を傾げていた僕は三浦先生が渡してきた紙をみるとそこにはし長めの文が書いてあり、數分もあれば覚えられそうな容だった。

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「まずお前が出るだけで大スクープだからな。下手に質問される前に挨拶済ませて退卻するのが一番だが……そうだな、せっかくだし出てきたら翼でもかしてやってくれ」

「いいですけど……」

なんでわざわざ…………あっ、なるほど。

「本だって解らせるためにですか?」

「そうだ、張するだろうが頼んだぞ。その……力の制とかもな」

「えーっと……大丈夫です、はい。それに実はこの間の1件の後から前よりも力加減が上手くいくようになったんです!」

「ほう………………やはり何らかの力…いや魔力が使えるようになったからか……?」

僕の報告に三浦先生は目付きを鋭くしたかと思うと、何か小聲で呟いた。

「どうしました?使えるようになったとかなんとか……」

「いや、なんでもない。とりあえずよろしく頼んだぞ」

「はい!」

三浦先生に優しく頭をでられながら、僕は元気よく返事をして……

ーーーーーーーーーー

そして今に至るという訳だ。

「ご紹介に預かりました天霧鈴香です。

この度は日本醫療醫科學協會の大きな功績に攜わることが出來、とても栄に思います。

普通の人とは違う姿をしておりますが、どうか皆様と変わらぬ扱いをして頂けますよう、心からお願い申し上げます」

「それって今日の挨拶のやつ?ちゃんと覚えれたのね、凄いよ鈴ちゃん♪」

「えへへ……♪これくらいなら覚えれるんだよー?」

「偉い偉い〜♪そういやお薬は飲んだ?」

「うん、ちゃんと飲んだよ」

千紗お姉ちゃんに頭をでられながら僕は頬を緩めつつも得意げにを張りつつ、ちゃんと三浦先生に渡された薬を飲んだ事を報告する。

僕達がそんな事をしていると扉ががチャリと開き、葉田さんと大和さんが部屋へってくるのを見て僕の緩んでいた顔は一瞬で固まる。

なぜなら……

「おっ!お化粧もバッチリだねー!いいよいいよー!さて、それじゃあ鈴香ちゃん出番だよー」

「という訳で迎えに來たわ、花桜さんに教えて貰った作法通りにやれば問題は全くないわ、だから頑張るのよ?」

ついに來たかぁぁぁぁ!

この2人が來たということはいよいよ僕の出番だということだからだ。

「ふーーーー………………はいっ!やってやります!」

「鈴ちゃんも気合いったみたいね!それじゃあ行こっか?」

「はいっ!」

長く息を吐いた後、ぺチンと頬を軽く叩いて僕は気を引き締め直し、千紗お姉ちゃんに元気よく返事をして待合室を出た。

そしてその數時間後、三浦先生による長々とした僕由來の新しい発見や開発の紹介が終わり、僕の出番が訪れようとしていた。

「──────────となっております。以上が今回我々が発見、開発したでになります。

そして今日はこれらの発見全てに関わった方に特別に來て頂いております。ではご登場して頂きます。

天霧鈴香さんどうぞこちらに」

誰にも僕が有益でないと言わせない為の研究果を大勢の記者の前で発表した三浦先生は、そう言って僕が立ってる衝立の方へ手を向ける。

僕が千紗お姉ちゃんの顔をちらっと見ると、ニコッと笑顔で頷いてくれ、それを見て僕は1つ息を吸って張しながらもゆっくりと足を踏み出す。

その瞬間ガシャガシャガシャガシャガシャとシャッターが切られる音と、僕が小さいの子ということからかどよめきが起き、衝立の裏から全を出す頃には…………

シンと會場は靜まりかえった。

全ての音が無くなった中、僕はマイクを貰い記者の人達の方に振り向き、先程覚えた文を喋り始める。

その途端記者の人達は我に戻った様に先程までよりも更に凄いシャッター音と、凄い量のフラッシュが焚かれだし、それを振り払うように翼を一度羽ばたかせる。

「天霧鈴香さんありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそ、今後ともどうかよろしくお願いします」

即興のアドリブだったが喋り終えた僕は三浦先生と笑顔で握手をして尾を大袈裟に翻し、記者の人達の方へ振り向きお辭儀をして壇上を去る。

「あのは何者なんですか?!」「日醫會は人実験を!?」「翼や尾はいてましたが本なんでしょうか!?」「日醫會は人を改造してるのですか?!」「あのは人間なのですか!?」「彼は異星人、新種の知的生命ですか!?」

後ろからそんな大騒ぎが聞こえてくる中、僕は三浦先生の言いつけ通り千紗お姉ちゃん達と一緒に、トラックのある駐車場へと走る。

ーーーーーーーーーー

「いいか鈴香」

「はい、なんでしょう?」

「お前が出てきたらまず間違いなくパニックに近い狀態になる。そうすると奴らは事を知ってる人に説明を求める。その間奴らは俺らに釘付けだ、だからその間に逃げろ」

「逃げるったって……どこに?」

「何時ものトラックがある場所に陣達を待機させてる、そのトラックに乗り込むんだ。そうすれば前に話してた家まで陣達が送ってくれる」

ーーーーーーーーーー

「姫ちゃんこっちっス!」

「早くっ!」

「見えたよ!鈴香ちゃんダッシュ!!」

「分かった!千紗お姉ちゃん!」

「え?!あっ、ちょっ!」

トラックの前でこっちこっちと手を回している柏山さんと陣さんが見え、僕は千紗お姉ちゃんをお姫様抱っこして扉の空けられているトラックの荷臺へと飛び乗る。

すぐさま扉が閉じられトラックが発進する音が聞こえて來る。そしてトラックがき出したのをじた僕はふぅと額にある汗を拭おうとして……

「すっ、鈴ちゃんっ。そろそろ下ろしてー」

「あっ、ごめん千紗お姉ちゃん」

お姫様抱っこのままだった千紗お姉ちゃんを怪我させないようにゆっくりと下ろす。

そうすると地に足がついて落ち著いたのか、千紗お姉ちゃんはをなでおろし……

「あでっ!な、なに千紗お姉ちゃん?」

「むやみやたらにとか人を持ち上げない、やっちゃダメって言ったでしょ?」

「ほへんははひー!」

「うむ、よろしい。それじゃあ…………うりうりうりうり!んー!このむにむにぷにぷにがたまらん!」

「ふむぁっ!ふぁっはなー!」

ゲンコツを落として來た後、ほっぺたをむにむにとしながら怒ってきた。

僕はそれに謝った後、何時ものように千紗お姉ちゃんとほっぺたをむにむにし合い、目的地に著く直前までじゃれあっていた。

ーーーーーーーーーー

ゴッ!

「い゛っ゛!」

「わっ!鈴ちゃん大丈夫?!すっごい鈍い音だったけど……」

「つっー…千紗お姉より丈夫だから大丈夫ー」

さすさすと急停止して打った頭をりつつ、僕は千紗お姉ちゃんにサムズアップしてみせるとそのタイミングでスピーカーから聲が聞こえてくる。

『著いたぞー』

「あらもう?というか止まるならもうちょっとゆっくり止まりなさいよ、鈴ちゃん頭打ったわよ?」

『お前らが騒がしかったからその仕返しだ。まぁそれはそれとして…………ほら、外だぞ』

プツンと音を立ててスピーカーが切れるとゆっくり荷臺の扉が開き出す、フラッシュの眩しさとは違う眩しさに目を細めた僕の頬を風がでる。

「わぁ………………」

ゆっくりと目を開けた僕の目には綺麗に狩り揃えられた芝生のある庭と平屋建ての広い一軒家、そして家の裏にある大きな山とどこまでも続く蒼い空。

たった數ヶ月見なかった外の景は僕にとって數ヶ月前とは全てが違って見えるほど鮮やかで、聲を発するのすら忘れる程だった。

「鈴ちゃんおいで」

けずに居た僕に荷臺から降りた千紗お姉ちゃんが僕へと手をばしてくる。

僕はゆっくりと外へと向かって足を進め、千紗お姉ちゃんの手を取って外へと降り立ったその瞬間、僕は言い表せないほどの激を味わう。

「千紗お姉ちゃん…………僕……!」

「おかえり、鈴ちゃん!」

こうして僕は表社會へと戻ってきたのだった。

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