「鈴ちゃーん、ご飯出來たよー」

「んん………………あれ…？千紗お姉ちゃんが起きてる……？」

千紗お姉ちゃんが僕より起きるの早いなんて…………もしかして寢坊した……？

「だいぶ失禮な事考えてない？……というか今日から學校だから早く寢なさいって言ったのに結局あの後も起きてたの？」

「えへへ。楽しみで眠れなくて……」

「ふふっ、だと思った。ほら、制服に著替えてからリビングにおいで」

「はーい」

仕方ないなぁという様な仕草をした千紗お姉ちゃんがパタンと音を立ててドアを閉めるのを見て、僕は眠たい目をりつつ起き上がりびをする。

そっかぁ……今日から學校かぁ。

ほわほわとした眠気の中で僕はそんな事を考えつつ、壁にかけてある僕が今日から著ることになる制服を見る。

僕、天霧鈴香はこの家に引っ越してきて１週間後の今日、とうとう學校へと通い始めるのだった。

ーーーーーーーーーー

「著替えてきたよー」

「おっ！やっぱりよく似合ってるじゃない、翼とか尾のと似たなのがまたいいわね！」

「えへへ………」

夏らしい白と薄い灰の制服に著替えキッチンへと來た僕は、千紗お姉ちゃんに褒められその場で立ったままもじもじと照れてしまう。

「でも……もうちょっとこのスカートの丈はどうにかならなかったのかなぁ…………」

これは流石に短過ぎない？

前に著た膝丈し上のより短いよ？

それに短過ぎて足回りが不安というか太ももがすーすーして変なじが…………世の子生徒達は皆こんなスリリングな服を毎日著てるの？

というか改めてこれで學校に行くとなるとなんか恥ずかしい！それもすっごく！

膝上5センチくらいのスカートに僕は、さっきまでの褒められてもじもじしてたのとは違う意味でもじもじする。

「でもの子って皆そんなものよ？………………まぁ確かにし上げすぎたかもだけど」

「ほらやっぱり！はぁ……仕方ないから夏服はもうこれで諦めるけど、冬服はせめて膝丈にしてよね？」

「はーい♪」

千紗お姉ちゃんとそんな話をした後僕はさっさと朝ごはんを食べてしまい、時間もないので昨日の余りを適當にれた弁當箱のった袋を肩掛けバックへ放り込む。

そして僕が忘れがないかを確認し終えた所で玄関のチャイムが鳴る。

そのチャイムを聞いた僕と千紗お姉ちゃんは玄関へ出向き、玄関を空けてチャイムを鳴らした人へと挨拶をする。

「おはようございます陣さん」

「ん、おはよう。それじゃあ行くとするか」

「はーい。それじゃあ千紗お姉ちゃん、行ってきます！」

「うん、行ってらっしゃい」

僕はし張混じりで迎えに來た陣さんに挨拶をし、いつものトラックの荷臺へと乗り込んで千紗お姉ちゃんへ行ってきますと手を振る。

そんな僕に千紗お姉ちゃんが笑顔で手を振り返してくれたのが荷臺の閉まり始めている扉から見えた。

ーーーーーーーーーー

はうぁぁぁ……なんか張してきたぁ…………

山道だからだろうかゴトゴトと揺れる荷臺で僕はソワソワと歩き回っていた。

『どうした？何か忘れか？』

「いえ、ちょっと張して…………そういや皆さん元気にしてます？」

『はははっ、なるほど張ね。なくとも外に出てた奴らは元気にやってるよ、中に居る奴らはどうか分からん。連絡とれないからな』

「そう、ですか……教えてくれてありがとうございます」

三浦先生大丈夫なのかなぁ……

『いいってことよ』

僕が日醫會の本部から出たあの記者會見の日以降、本部の周りにはずっと取り囲むように記者や人権保護団を名乗る団等が居座っていた。

そして中に居る人が無事か知らないのは本部との通信が傍され、僕達の居場所が突き止められないようにする為だ。

そして陣さんや柊さん、花桜さん等數名の職員さんがあの日の前日に街へと潛伏していた事により、僕は移手段と食料を手にれる事が出來ていた。

せっかく三浦先生が囮を引きけてくれてるんだから、目立つ真似は避けないとね。

というか────

「何が人権侵害だっ！研究は僕が進んで手伝ったんだし、そもそもこの姿になったのは誰のせいでもないのに」

『全くだ。昔っからマスコミとそういった団は自分らの都合のいいようにしか報を発しない』

「１回僕が出張って違うって大的に言ってやりたいくらいです」

『それこそ「られてるに違いない」なんて言われるからやめとけ。まだその時じゃないのさ。よし、著いたぞ』

無意識に頬を膨らませていた僕は陣さんに到著したと教えられ、それを聞いて軽くだしなみを整えると尾を軽くひと振りして「よし」という。

僕のその言葉を合図にするように荷臺の扉が開き、僕の視界に學校の大きな建が映る。

今日からここに通うんだよね…………確かに張もあるけど……うん。楽しみだな！

「それじゃあ行くか」

「はいっ！」

顔を上げて校舎を見上げるようにしていた僕はふんすと意気込み、陣さんと共に校へとっていった。

「ではそういうことで」

「はい、よろしくお願いします」

張した面持ちのThe校長というてっぺんハゲの校長先生と陣さんの話が終わり、僕も改めて校長先生と擔任となる先生へ頭を下げる。

この校長先生、僕が前に編試験みたいなじのけに來た時と同じくらい張してるなぁ……

そしてそれ以上に僕の擔任の先生が張してるっていうね。

顔を上げた僕の目の前には、表どころか全ガチガチにした先生方2人がおり、僕は笑顔を浮かべてそんな事を考えていたのだった。

ちなみに僕の擔任と紹介をうけた代永先生は校長先生とは違い、黒髪ロングのサラサラヘアーで高長の人先生だった。

「さて、それではお時間も良さそうですし…………また授業が終わる頃に來るね」

「はい、分かりました」

ふっと僕に笑いかけながらそう言って立ち去っていく陣さんに、僕は軽くお辭儀をして別れる。

「それでは天霧さん、育館の方に」

「はい」

校長先生に言われるがまま、僕は2人の先生と一緒に育館へと向かって応接室から歩き始めたのだった。

ーーーーーーーーーー

はぁぁぁぁ……張してきたぁぁぁぁぁ………………

育館のステージにある袖幕の裏に待機していた僕は、し先から聞こえるガヤガヤワイワイと賑やかな聲に否応なしに張していた。

深呼吸……深呼吸…………

「あのっ」

「ぴゃいっっっっ！って代永先生？」

そんな風にすーはーすーはーと気持ちを抑える為、深呼吸をしていた僕はいきなり後ろから聲がかけられ、それにびっくりしてしまい、小さい悲鳴を上げてしまう。

「すいません。そんなに驚かせるつもりは無かったのですが……その1つお願いが…………」

「あははっ。大丈夫ですよ、ちょっと驚いちゃっただけなので。それでお願いってなんです？」

「あっはい、その……大変失禮な事かもしれないんですが…………翼と尾をってみてもいいですか？」

翼に尾……？あぁ、そっかもう日醫會の人達には何も言われないから忘れてたけど、そりゃってみたいよね。

「るのは全然構いませんよー。あっでも、元と尾の先はらないでくださいね？その……とっても敏なので」

僕がそう言って代永先生がりやすいように翼を広げ、尾は代永先生の手のある辺りに持ってくると、代永先生は恐る恐るとばして來た手が僕の翼へとれる。

僕は前にもこんなことあったような？と首を傾げながらも尾や翼から來るこそばゆい覚に耐えていた。

「代永先生、もう始まりますのでそこら辺で」

「分かりました校長先生、ふぅ…………なんだかとっても不思議なり心地のよさでした」

「そうでしたか…………」

代永先生へストップをかけた校長先生が代永先生の想に微妙な顔で返事を返した後、僕の方を見てきた事で僕はもしやと思い聞いてみる。

「…………校長先生も後でってみます？しならいいですよ？」

「ほ、本當かい？それなら後でしだけお願いしようかな？」

なんかこの校長先生かわいいな。

オドオドとしながらも期待いっぱいな校長先生の顔と態度を見て僕はそんな風に思ってしまった。

そして校長先生は僕の返事を聞いてノリノリで壇上へと出ていった。

『生徒の皆さん、おはようございます。今日は皆さんに重要なお知らせがあり集まって貰いました。ではまず───────』

その後、校長先生の話が終わり、僕が壇上に出た瞬間場の雰囲気が一気に変わり、次の瞬間今度は生徒の皆が大盛り上がりしていた事は語るまでもあるまい。

ちなみにあの二人を探してる余裕は壇上に立って張していた僕には無かった。

以下キャラ紹介

・陣晴斗

最初も今も陣さんと鈴香に呼ばれている人。

周りからは陣、陣さんと呼ばれている、社やクラスに一人はいる「苗字は分かるけど名前なんだっけ？」といった人。

日醫會の下層職員の1人であり、下層では數ない大型免許保持者。

見た目は疲れ気味な優男で長180臺の細マッチョ。髪のはし長め。

面倒見のいい格で結構な人に慕われていたりする、ちなみに日醫會に隠れファンクラブがあったりもする。

本人には気が付かれてないがなんやかんやで千紗や三浦レベルで鈴香のことを気にかけている。

ちなみに今まで鈴香の乗ったトラックを運転しているのは全部この人だったりもする。