鈴香が千紗とハイテンションでお菓子を選んでいる頃、街の一角のとあるお店に4人の男が集まっていた。

「ほいなら全員集まったことやし、第1回！すずやんに関する會議、略してすずかいぎを始めるでー！」

「よっ、待ってました！」

「こらはしゃぐな。落ち著いて座ってろ」

「虎白さんあんまり大聲は出さないでくださいね？」

「たかくん以外のメンツが真面目すぎる！」

虎白の呼び掛けにそれぞれがそれぞれの反応した所で、椅子に座りなおした虎白はむすっと膨れつつテーブルを両手でぺちぺちと叩いた後、改めて自己紹介を始める。

「とりあえず本題にる前にもう1回軽く自己紹介でもしよか。ウチは朱雀峯虎白！すずやんにはとらちゃんいわれとる！次！たかくん！」

「たかくんってもしかしなくても俺のことか？」

「せやで！」

「俺だったのか……あー、俺は花桜隆継。鈴香には隆継って呼ばれてるが、多分明日にはなんかあだ名つけられてると思う。んじゃ次はサナで」

ビシィッ！と虎白に指さされた隆継はし微妙な表で自己紹介を終えると、隣に座っているさなかに次を頼む。

「ん、了解。アタシは柊さなか。鈴にはさーちゃんって呼ばれてるわ。隆継とは馴染よ。それじゃあ最後よろしくね」

「あぁわかった。俺は武玄龍清、天霧さんからはむーさんと呼ばれてる。虎白の馴染でお目付け役だ」

「りゅーくんこう見えてすずやんにむーさんってつけられて大喜びしてたんやで？怖ないあだ名やゆーてっ!?いっつー!!」

「余計な事を喋るんじゃない」

ニヤニヤしながらそう言った虎白が龍清にゲンコツを落とされる。そしてそんな2人を見て隆継とさなかは仲良いなぁと微笑ましく思っていた。

「いてて……とりあえず自己紹介も終わったし、この間までウチら全然関わりなかったけど、同じすずやんの友達としてよろしゅうな」

「ええ、よろしく」

「おう、よろしくな」

ニッと笑う虎白に2人もそれぞれ笑みを浮かべ、こちらこそと返事を返した。

「さてそれじゃあようやっと本題なんやけど、2人からしてすずやんの第一印象どんなじやった？」

「そうだなぁ……」

そこまで隆継が言うとさなかが指で機を叩き、コッコッと音を鳴らす。

如何にも考えてるような癖ですからと虎白に謝るさなかのその仕草は、長年さなかが隆継に対する「隠し通せ」という合図だった。

伊達に産まれてからずっとさなかと一緒に居る隆継は、勿論それの意味を理解して喋り始める。

「翼とか尾は置いとくとしてまず可いと思ったな。次いで話してみて元気で明るいヤツだと思った。最初はこれくらいだな」

「ほうほう、なるほどなぁ。さなっちは？」

「さなっちってアタシのあだ名？」

「せやで！今考えたんやけど！どや?!結構よさげじゃあらへんか!?」

そのあだ名を聞いてさなかはアリかナシかでし悩み、最終的に「アカンかったか？」とでも言いそうな虎白の顔を見てふっと笑みを浮かべる。

「まぁ、嫌いじゃないわ。それはさておき、アタシも初めて見た時は可いって思ったわ。話してみて思ったのは大丈夫かしら？ってじね」

「ほほう、どうしてそう思ったん？」

「どう見ても沢山の人に相手されるのに慣れてなかったからね。妹みたい、守ってあげたいって思ったのが正しいかしら」

「なるほどなぁ。確かにすずやんは妹みたいやよなぁ」

「それでそっちはどうなの？鈴の第一印象」

さなかは頼んでいた白玉あんみつを店員からけ取りつつ、逆に虎白に聞き返す。それに虎白は店員からけ取ったいちごパフェをひとくち食べて答える。

「そりゃあ勿論可いとはおもったなぁ。んで次に翼と尾本やっ！ってびっくりしたわ。

んで、話しかけてみたら意外も意外、全然裏なんてない純粋無垢なかわいい娘っ子やったってじやな」

「俺も最初一目見た時は可いと思ったが、それ以上にあの時はもう普通に虎白が迷かけてて申し訳なくてどう思ったか覚えてない」

そう言って龍清がコーヒーを1口飲んでふぅと息をつくのを見て、隆継はあの時の鈴香の泣きそうな顔を思い出して苦笑いを浮かべていた。

その後暫くそれぞれが注文していた甘味を食べていると、4人の攜帯から一斉に通知音が出る。そしてそれを見た4人は……

「これは…………反則だろう……」

「いや………うん……やべぇ…」

「……可すぎる……反則よ……」

「あかん……これは……あかん…………」

全員がニヤけた顔でそれぞれ機に突っ伏したり顔に手を當てたりといった行を取り出した。

そしてその原因は彼らのクラスのSNSに載せられたお菓子コーナーで大喜びしている鈴香の畫だった。