《旋風のルスト 〜逆境の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜》命の危険と致命的な過ち
そして、主だった証が集められる。
地形図、記録日誌、地形照合用風景畫、そして、朱の線のれられた白地図、いずれもが砂漠越えや敵地調査で重要になるばかりだ。容が重複しているものは1つだけを殘して廃棄する。そうして厳選したのちに速やかに撤収する。
「野営地に戻ります。敵殘存兵の伏兵には警戒してください」
隊列を組んで野営拠點地へと帰還する。周囲警戒は怠りなかったが、さしたる問題はなかった。
敵の気配が消えた、それが私の中の張を斷ち切ってしまったのだろう。いまだ戦場にあるというのにしてはならない安堵を私はしてしまっていた。
視界の中にドルスに任せてきた野営地がある。天幕が設置され荷が並んでいる。そしてその周辺にドルスが待機しているはずだった。
「あれ?」
私は思わず聲をらした。野営地にサボり男の姿が見えないのだ。
ゴアズさんが訪ねてくる。
「どうしました、隊長?」
「え? いいえ、ルドルス3級の姿が見えません」
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私は心配になり一人進み出る。その時の狀況をその場にいた誰もが疑問に思わなかった。
「どこに行ったのかしら?」
周囲を見回そうと開けた場所に出ようとする。完全に周囲に対する警戒が私の中から抜けていた。
その時だった。
「伏せろ! ルストぉ!」
突如聞こえてきたのは、あのドルスの聲。それも強烈な怒鳴り聲。言われるがままに私は咄嗟にその場にしゃがみこんだ。そして――
――ヒュンッ!――
強く風を切る音がする。何かが投げられたのだ。
次の瞬間、私の頭上を一本の矢が通過する。そして別な場所で刃が人に突き刺さる音がする。
――ドカッ!――
しかるのちにが地面に落ちる音がする。
――ドサッ――
一連の聲と音、何が起きたのか自分の頭で理解しようと努力する。だが驚きと無意識のうちにじてしまった恐怖が私の足を竦(すく)ませてしまっていた。
「隊長!」
みながいち早く私の所に駆けてくる。腰を抜かしている私を抱き起こしてくれたのは一番年若いプロアだった。
「大丈夫か? 怪我はしてねえか?」
「は、はい」
頭の中の理がの危険が生じていたことを理解している。何者かが私を襲い、攻撃し、ドルスがそれを発見して警告し、襲撃者を討ち取ったのだ。
立とうとして立てず呆然としている私を誰かが平手打ちする。
――パンッ!――
そしてかけられたのはダルムさんの聲だった。
「しっかりしろ! まだ任務の途中だぞ!」
頬の痛みと強い叱責の聲が私の心と理を正気に戻してくれた。しっかりと自分の足で立ち、支えてくれたプロアさんからを離す。
「ありがとうございます」
禮を言いつつ周囲を見回す。そしてそこに見たのは、し離れた位置の巖場から地面へと落ちていたトルネデアス兵の骸だった。その背中にドルスの片手用の軽量な牙剣が突き刺さっていた。
私は自分のに何が起きたかやっと理解した。私は伏兵に襲われたのだ。
「ご心配をおかけしました」
そう聲をらすのがやっとだった。隊長としてより職業傭兵としてあってはならない気の抜き方だったのだ。
ドルスが私に歩み寄ってくるなり言い放つ。
「迂闊だぜ、隊長さんよ」
その聲は非常に冷靜だった。彼は言う。
「トルネデアスの兵集団には〝報復人〟と呼ばれる風習があるんだ」
彼の説明を皆が聞き始めた。
「10人規模の本隊とは別に、1人か2人がし離れた位置で別行をとる。そして本隊が全滅するなり何かあった時に仲間の敵討ちとして報復を行い、これを果たす事で神の名のもとの名譽を取り戻すんだ」
初めて聞く風習だった。知らなかったのは不見識ではない。経験が淺いからだ。私は自分のの未さを噛み締めずにはいられなかった。
「初耳です」
「當たり前だ。報復人がかなければ誰も気づくことがないからな。だがこれで勉強になったろ?」
その時私は気がつかなかったが、今にして思えばその言葉は、ドルス自が過去に報復人に遭遇したことがあると言うことにほかならない。
彼は私の肩をたたく。そして耳元で囁いた。
「約束、期待してますぜ」
誰にも聞こえないようにそっと囁く。これほどの活躍を見せられたのだ私が言った『やる気』とするには十分すぎるものだ。ならば、約束は約束だ。
ちょうどその時、連絡の取れなかった殘り二人が姿を現した。彼らは驚いたことにトルネデアスの兵を一人、捕虜にしていた。すなわち彼らは彼らで敵兵と戦っていたことになる。
「隊長! 敵兵を捕らえましたぜ!」
私はその言葉に二人がしでかしたミスを咄嗟に理解した。それは絶対にあってはならないものだったのだ。
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