《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十二話

「さて、到著したな。料金はもうもらったから、あとは勝手にしてくれ」

中継地點に到著したところで、全員が者に料金を支払っていた。素っ気ない挨拶だったが、これが普通らしく、皆それぞれ街へと繰り出していった。

「ハルさん、どこに行きましょうか?」

マウルの街が目的地だったが、ここからどういていくかはハルしか知らないことだった。ルナリアがこてんと首を傾げながら問いかける。

「とりあえず、宿をとってこよう。そのあとは晝食、それが終わったら誰か呪いを解く力を持ってる人を探してみよう」

この街には聖職者、および聖職者を目指す者が集まってくる。

ならば、その中には解呪のギフトを持っている者もいるかもしれないという考えだった。

そのため、ハルは道行く人々の能力を鑑定で確認していた。

「そうすれば、私の力も……」

「あぁ、きっと普通に使えるようになるはずだ。まあ、あれだけの能力だったら使いこなせれば普通以上の力を持つことになると思うんだけど……」

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それにしても、ここまで一般人だけでなく聖職者らしき姿もみられたが、その誰もが解呪のギフトをもっていなかった。

「……まあ、まずは宿と食事だ。馬車に揺られて疲れたからふかふかのベッドでしゆっくりしたい」

お世辭にも快適とは言えない馬車旅によって、ハルのは休息を求めていた。疲れじりの聲でそう話す。

「あー、わかります。しゆっくり休みたいです……」

ルナリアは尾を敷いて座っていたため、ハルのようにへの影響はなかったが、それでも舗裝されているわけではない道は揺れが大きく、への負擔も大きかった。

二人は街の宿街に向かい、そのうちの一つで部屋を取る。

ルナリアもそれなりに蓄えがあったため、自分で支払いをして二人は隣りあった部屋に宿泊することとなる。

「それじゃあ、しばらく休憩して夕方になったら食事に向かおうか」

「はい、それでは一旦おやすみなさい」

馬車の中で早めの晝食を軽くとっていた二人は、既に快適なベッドでゆっくりと眠りにつく気満々でいた。

そのために、しランクの高い宿を選んでいた。

高級宿とまではいかないが、それに近いものを選んでおり、ハルがむようにベッドもふかふかなが用意されていた。

「それじゃあ……おやすみなさい」

一人になっても癖で挨拶したハルは上著をぐとそのままベッドにダイブする。

このあたりは今の時期、穏やかな気候をしており、掛け布団をかけなくても風邪をひくことなく、疲れていたハルはすっと眠りに落ちていく。

隣の部屋では全く同じ景がルナリアによって繰り広げられていた。

それから、高くのぼった日が徐々に落ちていき、空が夕焼けに赤く染まり――そして完全に日が落ちた頃、先に目を覚ましたのはハルだった。

「――はっ!……あー、宿か。もう外は真っ暗だな」

睡してしまったことに気づいたハルは目を覚ますなり勢いよく顔を上げて周囲を確認することで、今の狀況を確認する。

「予定よりだいぶ時間が過ぎたな」

困ったように頭を掻くハル。それほどに彼は疲れていたらしく、今は既にディナータイムにっている頃合いだった。

「よいしょっと」

とりあえずベッドから立ち上がると、部屋に備え付けられている水の魔道を使用して顔を洗う。

安宿にはこういった設備は用意されていないことが多いが、ハルたちが泊まっている宿はそのあたりが行き屆いていた。

ぎ捨てた上著を著ると、ハルは部屋を出て行く。向かうは隣りの部屋。

扉の前に立ってノックしようとすると、中からドタバタという慌ただしく駆け回る音が聞こえてきた。

「はわわわー! こ、こんな時間に!? ど、どうしよう! 早く準備しないと!」

中では先ほど目覚めたルナリアが準備をしなきゃと焦っていたようだ。

「服! その前に顔洗わないと! あっ、でも先に聲をかけたほうが! も、もしかして先に行っちゃったかな!?」

その聲は扉に耳をあてて聞いていたハルに全て聞こえていた。

このままではルナリアが慌てて怪我でもしてしまいかねないので、ハルは早めに聲をかけることにする。

慌てているルナリアには軽いノックでは耳に屆かないと思ったため、ハルはし大きめの音でノックする。

「ルナリア、ハルだ。慌てなくていいぞ」

「は、はわわ! も、申し訳ありません! い、今用意しますので!」

ハルが來たという事実しかルナリアの頭にはなく、慌てに拍車がかかっていく。そのせいかはわからないが、あちこちにをぶつけているような音さえ聞こえてくる。

「――ルナリア! し落ち著け!」

先ほどより大きめの聲でルナリアに呼びかけるハル。

すると中の聲がピタッと止まる。ルナリアが全てのきをやめて固まっている様子がハルの頭に浮かんだ。

「ゆっくりでいいから。俺が起きたのもさっきだ、ゆっくりと準備してくれればいい。俺は部屋で待ってるから、終わったら部屋に來てくれ」

「は、はい。あの、その、ゆっくりと急ぎますね!」

中からは先ほどのようにドタバタという音は聞こえてこず、落ち著いて準備を始めた様子であるため、ハルはやれやれと肩を竦めると部屋に戻って行った。

それから十分ほど経過したところで、ハルの部屋の扉がノックされる。

「あの、ルナリアです。準備できました」

「あぁ、今行くよ」

ハルが立ち上がって部屋を出ると、し照れた様子のルナリアが待っていた。

すっかり睡して用意が遅れてしまったことを恥じらっているようだった。

「さあ、行こうか。どこか味しい店があるといいんだけど、さすがにこの街は初めてなんだよ」

「あー、すいません。私も初めてなので、空いてたら宿の付でお勧めを聞いてみましょうか」

ただブラブラ歩いていても店に辿りつけるかわからないため、ルナリアが提案する。

「そうだな、聞いてみよう」

その返事に気を良くしたルナリアは足早に付に向かって行った。ふわふわの彼尾が機嫌よく揺れる。

付にいたのはこの宿の將で、生まれてからずっとこの街に住んでいるようで々な店を知っており、その中でも特におすすめの店を紹介してくれた。

「それじゃあ、將のお勧めの店に行こうか」

「はい! えっと、麺料理の味しい店でいいですか?」

その店が將の特に一押しであるとのことで、ハルも反対する理由がなかったため、頷いて返した。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

マイナススキル:魔封じの呪い

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お読みいただきありがとうございます。

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