《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十五話

「俺は冒険者のハルだ。神父のグーラさんに話を聞いてもらっていたところなんだが、どうみても狀況はお前たちが悪いことを示しているよな?」

急に毆りつけた男、そして許可を得ずに家探しを始めた男の部下たち。

男たちの行為が褒められたものではないことは明らかだった。問い詰めるようにハルが尖った聲音で男たちを睨む。

「くそっ! は、離しやがれ!」

正論をぶつけられて苛立った男が思い切り腕をかしてハルの手を引き剝がそうとした瞬間、ハルは力を抜いて解放する。そのため、男はバランスを崩し、よろよろとたたらを踏むこととなる。

「な、何しやがるんだ!」

思うようにならない狀況にカッとなり、怒鳴りつける男にハルはやれやれと肩を竦める。

「いやいや、離せっていったからその通りにしたんじゃないか。……々と注文の多い男だな。それよりも、聖堂で暴力をふるったり、無理やり家探しをするような真似をするのは良くないんじゃないのか?」

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「はっ! 何もしらねえ野郎が首突っ込むんじゃねえ! 俺たちは司祭の命令をけて來てんだよ!」

その言葉を聞いたハルはグーラの顔を見る。

すると、暗い表のグーラが力なく頷き、男の言葉を肯定する。

「――というわけだ、邪魔してんのはテメーの方なんだよ! さっさとどけ!」

そう言われてもハルは引き下がらない。

「なるほど、ここの家探しはもしかしたら正當なものなのかもしれない。だけど、神父さんを毆ったのはおかしいだろ。あの程度で邪魔をしたととって、毆りつけるなんていうのは正當ではないはずだ」

話を聞いていた時からグーラの様子が何かおかしいとは思ったが、ひとまずは目の前の男たちだと、ハルは男をぎろりと睨み付ける。

いつの間にか家探しをしていた者たちもハルを囲み始めていた。

「おう、お前たちこいつは俺たちの邪魔をするらしいぞ。生意気な口叩けねえようにやっちまえ!」

形勢逆転したように強気になった男の言葉を合図に、全員がハルへと襲いかかる。

その様子を見ていたグーラ、シスター、ルナリアは悲鳴のような聲をあげて、目を瞑ってしまう。

「――ぐぇっ!」

しかし、聲をあげたのはリーダーの男だった。

「悪いが、さすがに全員を相手にするつもりはない。こいつと無事に帰りたければ、さっさとこの聖堂から出て行け」

ハルは最初から、リーダーを潰すことしか考えていなかった。

素早いダッシュで男に近づくと、ぐらを摑んで持ち上げ、更に手から炎が出ることを見せつけた。

これまでの経験上、リーダー、もしくはグループの中で一番強い奴を制圧すれば大人しくなるのを知っていたからだ。

「……ひっ、ひいっ!」

男が悲鳴をあげる。そして、この狀況を何とかしようと男の部下たちが剣を鞘から抜く。

「何かしようというのなら、こいつの命はないと思ってくれ」

「お、お前らやめろ! ひ、引き下がるぞ!」

ハルの目が本気であることを悟った男は、慌てて部下に撤退命令を出す。

「――し、しかし!」

まだ家探しもできていない狀況にあって、手ぶらで帰ることに抵抗のある部下が反論しようとする。

「うるさい! いいから、早く帰るぞ!」

しかし、反論は聞きれられずに男は先頭きって逃げ出していった。

こうなることを見越して、ハルはし前から男を摑む手を離していたのだった。

男たちが聖堂をあとにして完全に逃げ出したのを確認すると、ハルは再び聖堂の中へと戻って來た。

「割り込んで悪かった――あんなもんでいいか? とりあえずさっきの話の続きと、今のあいつらの行について話を聞かせてもらいたいんだけど」

先ほどまで敬語で話していたハルだったが、男たちとのやりとりがあったことで普段の話し方に戻っていた。

「は、はい! ありがとうございます。本當に助かりました! 先ほどの部屋でお話をしましょう。……シスター、扉には鍵をかけておいて下さい。申し訳ありませんが、こんな狀況になっては々と話さないわけにはいかないようですからね」

ハルの口調に関しては特に言及することなく、グーラは謝の言葉と共に先ほどの応接室へと戻っていく。

靜かに頷いたシスターは訪問客を導してから聖堂のり口に鍵をかけると、すぐにハルたちのあとを追いかけていった。

「――それじゃあ、話してもらおうか」

話をするようハルが促すが、グーラはしばし考え込んでしまう――どこから話したものなのか? と。

「解呪の話からしてもらえると助かるんだが……」

何かきっかけにでもなればとハルが提案する。ルナリアは張の面持ちで座っていた。

「そう、ですね。それでは説明をしていきましょう……どちらにしても、先ほどの彼らの話に繋がっていきますから」

踏ん切りをつけるようにグーラは顔を上げて口を開く。ハルは興味深そうに相槌を返した。

「……先ほどの男は、以前大聖堂にいた司祭の手のものです。彼は司祭の命でやってきたと言いましたが、正確には元司祭――いや手続きが完了していないのでまだ一応司祭なのですが……とにかくその元司祭が探しているものがあるらしく、ここ最近いくつかの聖堂に押しかけているとのことです」

司祭の手の者にしてはやけに野な連中だったなとハルは思い出していた。

ルナリアも同様の考えらしく、なぜ聖職者がそんな狀況に、と首を傾げている。

「元、と言ったのは彼が大聖堂を追放されたからです。正式な手続きを踏まない限り、資格の取り消しができないので、今でも一応は司祭ということになりますが……彼は街のゴロツキや仕事のない冒険者を集めて盜賊のような集団を作っているそうです」

聖職者が盜賊に落ちるというのは信じがたいことであるため、ハルもルナリアも呆然として言葉を失う。

「これが先ほどの解呪の能力に繋がるのです。數ない解呪のギフトの持ち主――それがその司祭ガーブレアなのです」

それを聞いてハルは參ったなと頭を掻く。

金がかかることがあったとしても、能力の持ち主を見つければ簡単に解呪ができるかもしれないとハルは考えていた。

しかし、その當の本人が盜賊にをやつしているとあってはお願いします。わかりました。というわけにはいかない。

「……そいつらは野放しなのか?」

誰か対処しようと考えている者はいないのか? ハルはそこが気になっていた。

「近日中に司祭の資格が完全にはく奪となりますので、そうしたら冒険者ギルドに彼ら盜賊団退治を依頼するとのことです。だから、彼らは司祭の資格があるうちに探しを見つけたかったのでしょうね」

この街では聖職者たちは、地位が高いものとして扱われるが、一聖堂の神父よりも司祭のほうが地位が高いため、このような橫暴な狀況が作られることとなっていた。

「だったら、その依頼が出たら俺たちも參加しよう。なんとしても、その追放された司祭を倒さないといけない……」

グーラはハルの正義に目を輝かせる。

しかし、ハルの心は正義などということは全く考えておらず、ルナリアの呪いをなんとかしてやりたいということだけだった。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定

加護:神セア、神ディオナ

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*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

マイナススキル:魔封じの呪い

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