《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十六話

聖堂で一連の話を聞いたハルたちは、宿に戻って狀況を整理する。

「聖堂としては々とごちゃごちゃしているみたいだが、俺たちがやることはシンプルだ。その元司祭を捕まえて何とかしてルナリアの呪いを解除してもらう――それだけだ」

「そう、ですね……でも、そんなにうまくいくでしょうか?」

ハルはすでにどうするか決まっているため、きっぱりと告げるが、ルナリアは不安が強かった。

先ほど聖堂に現れた男たちを見る限り、元司祭には多くの部下がいる。

そして冒険者ギルドに依頼が出て、元司祭が率いる盜賊団を倒すことになる。

だが、盜賊団を倒すという規模の依頼になれば、一人二人ではなく、ある程度の規模の集団になることが考えられる。

その中で、先ほどハルがいった目的を達できるかどうか。

仮に他に先んじて捕らえることができたとして、解呪をしてもらえるかどうか。

ルナリアはそれらが心配だった。

「ルナリア、安心しろ。どうとでもなる。もし、今回が駄目だったとしてもまだまだ可能は世界中に広がっているんだ。だから、そうなったら次を探せばいいんだよ」

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「っ……そう、ですよね!」

ふわりとらかい笑顔で言うハルに、ルナリアも自然と笑顔になっていた。彼の気持ちを表すように、その尾も左右に揺れていた。

それに気づいたハルは口には出さないが、ルナリアの不安がしでも取り除けたと心で喜んでいた。

それから二日、ハルとルナリアは街で裝備やアイテムを見ながら報を収集していくという生活を送り、三日目に件の盜賊団討伐の依頼が公布された。

ランク制限は設けられておらず、ハルとルナリアも問題なく參加することができた。

事前報酬がなく、完全出來高制の依頼であるため、ランクの低いハルとルナリアの參加に対して大きな聲で文句をつける者もいなかった。

今回の依頼容は、西にある廃墟となった教會を城にしている盜賊団の討伐。

――生死は問わず、全ての者を制圧すること。

これが依頼の容だった。

盜賊団討伐と銘打ってあるが、実際は裏切った司祭とそれに賛同した他の聖職者、および冒険者であるというのが実である。

しかし、その裏の事を知る者は參加者の中にはほとんどいなかった。

「――參加人數は意外とないんだな」

ハルは周囲を確認してそう呟いた。

「確かに……報酬があまり高くないのも原因の一つだと思いますが、それにしてもないですね」

盜賊団の規模は大きいと言われており、本來なら數パーティはいないと難しい依頼である。

だがハルたちを含めてもこの依頼に興味を持っている者がないようだった。

「実際にいるのは俺たちを數にれたとしても五パーティか……結構厳しいな」

ハルとルナリアは二人だけである。そうなると実質四パーティと二人であるため、戦力的にはかなり厳しい。

「んー? 大丈夫だ。たかが盜賊団だろ? あの人たちがいればどうとでもなるさ」

し嫌な予がしたハルたちに話しかけてきたのは、今回の依頼に參加する冒険者の一人だった。

人族で、しやせ細っており、軽薄な笑みを浮かべていた。

「あの人たち?」

「あぁ、見てみろ。あそこにいる明らかにいい裝備を著ている人たちだ」

指差した方向にいるのは、彼が言うように一目見ただけで強力な裝備をに著けているのが見て取れた。

「あぁ、言われてみれば。金額に換算したら……」

ハルは彼らの裝備を見て、いくらくらいになるのか計算を始めていく。ポーター時代の経験から裝備をみれば大抵の値段がわかるのだ。

「お、おい、あんまりジロジロ見るなって。それより裝備の価値はわかったんだろ?」

男の冒険者は慌てたようにそんなハルの肩を摑んでみるのをやめさせる。

「あぁ、わかったよ。金貨にしたら……」

値段を口にしようとするハルに対して、男がかぶせるように言う。

「いいから! 値段は言うなって!! それよりもあれだけの裝備を用意できるってことは、それだけの報酬を得てるってことだ。つまり、あの人たちはかなりの実力者……恐らくAランクパーティなんじゃないか?」

ハルが余計なことを言うんじゃないかと焦る彼もその冒険者パーティのことを知っているわけではなく、裝備から判斷したらしい。

ハルは次に、今度はあまり視線を向けているのがわからないように彼らを見る――今度は”鑑定”を使いながら。

「――確かに強いな。恐らく他のパーティのどれよりも圧倒的に実力が上だ」

今度は裝備を見て言っているのではないとじたため、ハルに質問をしようとする冒険者の男は驚いた顔をするとそそくさと二人から離れていく。

(ハ、ハルさん!)

裾を引っ張りながら聞こえるか聞こえないほどの小さな聲でルナリアがハルへと聲をかける。しかし、それは功を奏さなかった。

「……なんだ?」

「なあ、ちょっといいかい?」

先ほど話しかけてきた男が距離をとった元兇がハルの肩を軽く叩いて呼びかける。

「えっ? あぁ、今回參加の」

一瞬驚いたものの、ハルは平靜を裝ってそう言葉を返した。先ほどじっと見ていたのがバレたのかとルナリアは不安そうだ。

「あぁ、私の名前はクラウドという。ランクはAだ。今回、君と同じ依頼に參加させてもらっている」

クラウドと名乗った彼は涼し気な印象を持つ顔立ちの長髪で、引き締まったをしている歴戦の剣士といった姿だった。腰には魔剣らしきものを攜えている。

Aランク冒険者といっても、どこかふざけているザウスとは違い真面目な様子だった。

「あぁ、どうも。俺はハルです。ランクはDです」

「えっと、私はルナリアです。ランクはEになります」

二人のランクが低いことを聞いてもクラウドは表一つ変えることはなかった。

「なるほど、一応今回の參加メンバーでは私たちのパーティが一番ランクが高いようだから、中心となってやらせてもらう予定だ。だけど、あくまで今回の依頼だけの共同メンバーだから、君たちは君たちがやりやすい戦い方をしてくれればいいよ」

らかく目を細めたクラウドはふっと優しい笑顔でそう言った。

クラウドはランクが高くてもそのことを鼻にかけず、なおかつハルとルナリアがランクの低い二人組に対しても態度を変えることなく対応していた。

「助かります。俺たちは二人で組んだばかりで、他との連攜が慣れていなくて難しいので遊撃できます」

ハルも失禮にならないように返事を返す。

ザウスと話した時と違って、自然と敬語になっていた。

「あぁ、よろしく頼むよ」

その対応を他の冒険者パーティも見ており、彼らもクラウドのことを認めていた。

自然とこの依頼の指揮をクラウドがとることとなる。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

マイナススキル:魔封じの呪い

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お読みいただきありがとうございます。

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