《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十七話
そしてクラウドの先導のもと、ハルたちは一路西の廃墟を目指すこととなる。
他のパーティは馬車をもっており、それに乗車していく。
馬車を持っていないハルとルナリアは、クラウドのパーティの大きめの馬車に相乗りさせてもらうこととなった。
ゆっくりと周囲を警戒しながら進んでいったため、廃墟に到著したころには晝を過ぎていた。
廃墟からびる道を真っすぐ突き進んでは奇襲にならない。一行は途中から道を逸れて討伐対象と出くわさないようにしていた。
今、一行は廃墟から離れた拠點で簡易的に作った卓を囲んで作戦會議を行っている。
各パーティからリーダーとサブリーダー、そして偵察組が參加していた。
「數十分おきに出りがある。見たじでは大したことのなさそうな盜賊や、中には俺が見たことのある冒険者の姿もいくつかあったな。偉そうな――いわゆる幹部と呼ばれるようなやつらの出りは見られなかった」
今回參加した中でも隠に優れた者であり、気配隠蔽スキルを持つものが偵察にでかけていた。
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「中を覗いてみたけど、奧の部屋まではわからなかったから何とも……でも、おそらくしたっぱの盜賊は全部で數十人はいたと思うよ」
もう一人偵察に出ていた彼は、遠のスキルを持っており、じっと目に神経を集中させて中の様子を窓から確認していた。
「なるほど……ありがたい。二人のおかげで戦い方も考えられるというものだ」
Aランクのクラウドに禮を言われると、二人はやや照れながら自分たちの席につく。
「まずは私たちが先に乗り込もう。うちには強力な魔法使いもいるから、魔法を撃ちこんで奇襲、その後は私たちが最初に踏み込む。みんなはそのあとに続いてくれ」
危険な部分はあくまで自分たちが引きけると提案するクラウド。
今回の參加メンバーはクラウドたちの実力を知る者も多く、彼の提案に反対する者はいなかった。
「……あのー、ちょっといいですか?」
――そう、ハル以外は。
「なんだ? 何か問題があったら言ってくれ」
目線を向けたクラウドは、そっと手をあげたハルの言葉にしっかりと耳を傾けている。
だが、他の面々はランクの低い冒険者が何を言うつもりなんだ? と表を曇らせている。
「最初に突する時に、俺たちも一緒にいって構いませんか? 俺は盜賊団の頭に用事があるんですが……」
ハルは視線を廃墟に向けて、そちらを睨み付ける。まるで親の仇を見つけたような憎しみのこもった目で。
ルナリアもまた、どこかい表で拳を強く握っていた。
「……何か理由があるみたいだな。俺たちはお前たちを守るということはできない、それでも良ければ構わないぞ」
ハルの目から強い決意をじたクラウドがし考えたのち、許可を出す。
他の面々もハルの視線の強さを見て、構わないだろうと頷いていた。
「それでは、その他のパーティは各自固まって連攜していてくれ。先鋒でいきたい者もなかにはいるだろうが、今回はこれが作戦だと納得してほしい。人數は多いはずだから、全員が功績をあげられるはずだ。決して焦らずに、しっかりと対処してくれ。では突作戦開始だ」
毅然とした態度のクラウドの言葉をけて、この場にいる全員が神妙な面持ちで頷いた。
それ以降は各自パーティごとに集まって、クラウドがたてた作戦を説明していく。
そして、突時間がさしせまる。
ハルとルナリアの姿は予定のとおり、クラウドたちのパーティと共にある。
二人のことはクラウドから説明してあるため、そのことを不思議に思う者はいなかった。
「それでは、事前に打ち合わせた通りに進むぞ。まずは私たちからく。みんなも続いてくれ」
全員が無言で頷いて、慎重に廃墟へと近づいていく。
相手も見張りを立てていたが、それは偵察組の気配遮斷能力を持った冒険者が靜かに近づいて意識を奪っていた。
廃墟の側面にある窓にはクラウドの仲間の魔法使いがつき、クラウドたち先発組は正面り口の近くで待機する。
そして、クラウドの合図とともに魔法使いが窓を割って中に派手さ重視の魔法を撃ちこんだ。
「――ぐあっ! な、なんだ!?」
「て、敵襲ーッ!」
「みんな武をとれ!!」
何が起きたのか理解できない者、誰かによる攻撃だと判斷する者、何かわからないがとにかく武を手にしろと聲をかける者。
それぞれの反応だったが、どの反応であるにせよ、一瞬の間を作ることに功しており、男たちの視線が窓に向いた時點でクラウドの作戦勝ちだった。
「いくぞおおおおおお!」
扉を蹴破って中にるクラウドとその仲間。
そこにハルとルナリアも合わせて突していく。
ルナリアは魔法をうまく使うことができないため、街で魔力を込めることで威力を高めることができるメイスを買っていた。
元々の魔力量が高いため、振り下ろすだけで機を破壊するだけのパワーを持っていた。
ハルはいつもの作戦通り、相手の懐にり込んでナイフや炎の拳による攻撃で中にいる男たちを倒していく。
「おぉ、やるじゃないか」
守ることはできないと言いつつもクラウドはそれとなく二人のことを気にしていた。自分が參加しても良いと判斷した責任もあるのだろう。
だがその心配が杞憂であるとわかったため、自分の戦いに集中することにする。
「ルナリア、できる範囲で迎撃していくぞ。俺たちの目的は元司祭だ。雑魚だけにとらわれて、目的を見失わないように気をつけるぞ!」
「は、はい! 了解ですっ!」
これまでまともに戦うことができなかったルナリア。しかし、ハルが選んだ武によって戦うことができている。
それ故に、戦うことにだけ意識が引っ張られないようにハルが注意する。
戦うことにすっかり夢中になりかけたルナリアはハルの注意をけてぶんぶんと首を振ると、改めて自分の目的を頭に意識させる。
二人のきは今回の參加者の中でも優秀な部類にり、次々に中にいる男たちを倒していく。
クラウドたちAランクパーティと比べたらやや見劣りはするが、それでも十分な結果を殘していた。
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名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
マイナススキル:魔封じの呪い
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