「何者なんだお前は！」

「ヒーロー・・・お前達の敵だよ！」

時はし遡る。

一つの影がヒーロー事務所「ＢＢＢ」に向かって來ていた。

高速で移するソレは、人の目には映っていなかった。

「そろそろ著くか、だが、ボスはなんで貧乏事務所を襲って來い。なんて言って來たんだ？」

移しながら考えていた。自分が何故？そんな疑問が脳裏に張り付いている。

「俺はセルウスの№持ち、明院(こうみょういん)一輝(かずき)だぞ？こんな仕事下っ端にさせておけば良いのに、まぁあのが外に全員出していれば、簡単に事務所ぐらい破壊出來るから、楽な仕事だけどな」

ＢＢＢの下まで來た男は、階段を昇って向かって來る。

「なんだここは？本當にヒーローは事務所かよ？小汚ねぇな」

事務所にると、その綺麗とは言い切れない空間に思わず聲がれた。

「なぁ？お前ウチの事務所になんの用だよ？」

事務所に殘っていた赤波は、不審な男に問う。

男は不思議そうな顔を見せた。

「用だと？お前らの事務所に興味なんかねぇよ？勘違いすんな」

「ならなんでここに居るんだよ！」

「なんで？そりゃあ、ヒーロー事務所を片っ端からぶっ潰して行くからに決まってんだろ！」

「お前は何者だ！」

「俺か？俺はセルウスの明院だ！だが、覚える必要はないぜ？なんせ今から俺がぶっ殺してやるからな！」

男はそう言うと赤波に向かって突っ込んできた。

その瞬間、新屋の個が発した。

何か軽くなった様な覚を赤波はじた。

それはバランスが悪く、意識しないと倒れる様な、違和であった。

「イシシシシ」

男は笑っている。

顔に手を當て笑い続ける。

湧き上がってくる高揚の様なを抑える事もせず、自分の行為に喜びをじているみたいに。

「何をした！」

赤波の左半が消えていた。

球の様なが通り過ぎた。そんな風に半が消えている。

「だから言っただろ！お前をぶっ殺してやるってな！」

男の不思議な力に赤波は負けた。

————完全勝利——失敗

さっきの攻撃は何だったのか？

赤波は戻ってきて、初めに考えた。

自分が負傷した事に気がついた時、男はただ笑っていた。

なにか特別な事をした訳でもなく、ただ、突っ込んで來た。それだけ。

「おい！なにボサッとしてんだよ！行くぞ！コラァ！」

そう言うと男は、また突っ込んで來た。

赤波は避けた。が、またが欠損した。

回避行のせいか、次は下半が無くなった。

激痛を次はじた。

痛みから汗が吹き出して來る。

考える事もままならない程に痛む。だが、幾度も負け続けて來たが、その度に相手を観察して、思考を張り巡らせて來た。

勝利を摑み取るまで、終われないのだから。

「イシシシシ」

男がまた笑っている。

あと何度その顔を見るのか、あと何度その顔を毆りたいと思うのか。

その度に、俺は何度も死ぬのか・・・

「だから言っただろ！お前をぶっ殺してやるってな！」

単純な突進だけじゃない。

突っ込んで來ると同時に、個を使って來ている。

それは明白なのに、その個が分からない。

アイツの個を見破らないと、次に進めない。

————完全勝利——失敗

どうして、アイツの攻撃を避けきれない！安全な距離を取ったつもりでも、確実に攻撃をくらっている。

きのどこかにがあるのなら、確実にヒントが隠れている。