《吸鬼作家、VRMMORPGをプレイする。~日浴と料理を満喫していたら、いつの間にか有名配信者になっていたけど、配信なんてした覚えがありません~》21.だって邪魔だったんです
もうすぐ來るだろうとは思っていたけれど、デバフを撒き散らしながら登場するとは予想外。
しかもめまい・平衡覚麻痺ってなかなかえげつないよね。アンデッドの方は全く問題なさそうにいているし。耳とかなさそうだもんね……。
でもこれで、人間側唯一と言っていい有利な點、きの俊敏さにデバフが掛かってしまった。アンデッドのきの遅さのおかげでなんとか致命的な打撃をけずにここまで來られたのに、ここに來てそれが相殺されてしまったのはいささか痛い。
神ならこのデバフを消せるのかもしれないけれど、門の前からこっち側には來てくれないので、頼るならば我々が後ろに下がるしかない。そうなればアンデッドも一緒になって門に殺到してしまい――うん、卻下だね。
元々僕の分隊員には、子爵令嬢が現れたらそれとなく通すように通達はしていた。けれど、さすがにアンデッドも一緒に通す訳にはいかない。なんとかして子爵令嬢だけが通れるようにしないと……。
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「ヴィオラ、ちょっと。矢に最初から火魔法をエンチャントした狀態で打って、子爵令嬢の後ろから一緒に來てるアンデッドを直線上に燃やしたいんだけど……、矢が燃え切る前に高速で何ものアンデッドを貫通させて抜くって出來る?」
「うーん、一応念の為にこんなの作ってきたんだけど……これを使えば何とかなるかしら?」とヴィオラが取り出したのは鉄で出來た矢。鏃(やじり)から矢筈(やはず)まで鉄で出來ていて、確かにこれなら木と違って燃えはしないだろう。
「これ、飛ぶの……?」と僕は思わず聞いてしまった。現実で木や竹以外の矢はいくつかあるけれど、大抵はカーボンやジュラルミンであって、さすがに全が鉄で出來ている矢は見たことがない。
「現実では分からないけれど、ここでは飛ぶことを確認したわ。耐火能のある矢がしくて試行錯誤してたのよね。普通に作った矢に耐火のある革をってみたりとか……でも數を作るなら、型を作ってそこに流し込めば量産出來る分、これのが楽だったのよ。素材は堀れば良いだけだし」
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「確かにこれなら燃えないけど……溶けないかな」
「多分ある程度行ったところで溶けるでしょうけど。この場合はむしろ丁度良いでしょう?」
「まあ確かに。その素材でも飛ぶなら、重さ的に今までの矢以上にアンデッドを貫通出來そうだし……、逆にある程度飛んだところで溶けてくれないとうっかりアンデッド以外の人に當たる可能があるもんね。
じゃあ、悪いけれどその矢に直接火魔法をエンチャントするから、……なるべくぎりぎりにエンチャントするようにするけど、熱いし痛いと思う。ごめんね」
「熱風ともかく、火傷は痛覚設定いじってるから平気よ。まさか貴方、本當に痛覚もNPC並なの?」
「え? あ、そうか。痛覚設定……。うん、まあ今日怪我したところとかも普通に痛いよ。だから僕は、全力で避けることにしている……!
それはさておき、良いじに今なら直線上にアンデッド以外居ないしやっちゃおう。念の為で告知をして……こちら中央遊撃部隊Aより中央各分隊長へ。今來たアンデッドの行列に対して、一直線に矢をます。火魔法による火傷も考えられるため、近くに居る方はし離れてください……うん、これでよし。ヴィオラ、お願い」
僕の言葉にヴィオラは頷くと、鉄で出來た矢を弓で引き絞る。僕はその矢に集中し、まずは自分の魔力をエンチャント。それから火魔法をその上に発するようにイメージして……。
バシュンッ!
勢いよく放たれた矢は、僕たちの想像通り、普通の矢よりも貫通力が凄まじく、子爵令嬢の後ろを二列に分かれて行軍していたアンデッドは、一瞬で火柱を立てて燃え始めた。
続けて二発目。今度は殘った一列目がけて解き放つ。こちらも問題なく貫通してくれたようで、アンデッドが燃え上がる炎で、辺りはまるで晝間のような明るさだ。
「うん、バッチリだね。じゃああとは子爵令嬢だけど……お話出來るかなあ」
もうだって、凄い勢いで僕たちを睨み付けてきてるからね、子爵令嬢。そりゃ自分の部下を火達磨にされて怒らない人は居ないか。でも、貴方と話すのに邪魔だったんです、許してください。
「貴方は、ペトラ・マカチュ子爵令嬢ですか?」
――そうだと言ったらどうするのかしら?
「どうもしませんよ。ただ貴方と話をしたくてちょっと強手段をとらせていただきました。ご無禮をお許しください」
――ふん……それで話とは?
「貴方の目的について。僕の予想が正しければ、貴方の目的は、ヘルムート・マカチュ子爵と、貴方のした男、マークさんへの復讐だと思うのですが」
――だとしたら止めるつもり?
「いいえ、止めません。ですがお伝えしたいことと、お願いしたいことがあります。まず一つ目……復讐するのであれば、他の方へ迷がかからないようにしていただけますか? 今のこの狀況のことを言っていますが。
二つ目……マークさんは既にこの世には居ません」
――それはどう言うことなの!?
ただ淡々と僕の質問に対して返答をしていた子爵令嬢が、初めて取りした。それだけマークと言う男は彼にとって大事なのだろうが……やり方を間違えた彼に同は全く出來ない。
「貴方が惚れたくらいです、マークさんの格は分かっていらっしゃるのでは? 貴方が無理心中を決行したあと、彼は一命を取り留めた。そして……ここに戻って來たあと、わざわざ貴方の父君にことの顛末を話し、貴方のを森に引き取りに行ってしいと言ったそうですよ。
結果として、貴方の父君は激昂してマークさんを毆殺しました」
――そんな……どうして……。
「貴方が子爵に復讐をすることを止めるつもりはありません。ですが、貴方にこれだけは知っておいてしい。
貴方が今回、怨霊でしょうか?そのような姿となって蘇った理由。それは偏(ひとえ)に貴方の今までの行いによるものです。貴方もお気づきかもしれないが、貴方のはきちんと供養されることなく、森に打ち捨てられたままでした。
子爵はともかく、王都の人々すら皆貴方に同することがなかった。だから祈りを捧げて貰えなかったのです。そのことはきちんと理解していただきたい。
そして貴方は今、被害者面をしていますが……真の被害者はマークさんとその人であるドロシーさんです。
一つ目のお願いも踏まえて、今の話を聞いたあと、貴方はどうしますか? 返答次第では子爵にも會わせずこの場で戦いを挑ませていただきますが」
――あ、あなたが噓をついてる可能もあるもの……本當にマークが死んだのか、確かめたいわ。
「まあ、それくらいなら多分。街の人に危害を加えないとお約束していただけるのであれば。勿論監視役はつきますが」
――良いわ。約束は守ります。ペトラ・マカチュの名の下に。
「では失禮して……あー、で相談したら子爵がしゃしゃり出てきてしまうのか。でも僕がここを離れるわけにもなあ。どうしよ……ご令嬢、姿を見えなくすることは可能ですか?」
――それは勿論、幽霊だもの。
「では、姿を消した上で門をお通りください。今門の前ににはマカチュ子爵が立っていますから、そのままではれませんので。うーん、……ヴィオラ、分隊の中から誰か一人ついていってしいんだけれど」
「……皆、良いかしら。今子爵令嬢と話しているところなんだけど、マークさんの死を確認したいから中にりたいそうよ。誰か一人彼に付き合ってあげてくれないかしら。ごめんなさい、私たちが行けたら良いんだけど……。
助かるわ、じゃあ待っているから一旦來て貰えるかしら。分隊長、ナナが來るそうよ」
「ありがとう。……ではご令嬢、私の仲間が貴方と共に街にりますので、くれぐれも、絶対に、何があっても、誰にも迷を掛けずにマークさんのことを存分に確認してください。満足したらこちらに戻って來ていただけますか? 可能であればなるべく早くしていただけるとありがたいです。そろそろ僕らもアンデッドを相手にするのが辛いので。もしくは中に居る間、一時休戦していただけると」
――そ、それは駄目よ。あなたが噓をついていた場合、私に不利だわ。な、なるべくすぐに戻ってくるから、もうしだけ待っていなさい。
事前に聞いていた格よりは今は丸くなっているようだけれど、これ以上の渉は悪手かな。癇癪を起こされてアンデッドが活化、なんてことになったら困るし。仕方がない、ここは素直にナナとご令嬢が戻ってくるまで頑張るとしよう。
「分かりました、ではお待ちしておりますので。ナナ、悪いけど補給する資があるから直接取りに行く、とかなんとか誤魔化してってしい。子爵と神辺りに勘付かれたら面倒だから……」
風の噂だけれども、神が高慢で冒険者を馬鹿にしているって聞いたし、警戒するにこしたことはないかな、って。本當は同じ魔力なのに神聖力と言うものがあるかのように演説してる、って師匠も言ってたことだしね。
「うーん、勝手に許可しちゃったけど、絶対まずいよね。とは言え、本當なら総隊長の許可を取りたいところだけど、を使えばその前に子爵出て來るの分かりきってたし……。
まあこの流れで街中で暴れるとかはないと思うんだけど、様子が分からないのは不安だなあ」
「事前に補給部隊と食料部隊にマークさんとドロシーさんの家の周りは監視して貰っているでしょう。何かあればそちらから連絡がる筈よ」
「そっか。そうだよね。……どうか、なにごともなく戻ってきますように」
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【個スレ】名前も呼べないあの人【UIどこぉ】
名前を呼びたくても呼べない、あの人に関する話題です。
なんでNPCすら名前呼ばないの?怖いんだけど。
※運営側も確認してあげてください。何だかおかしいです。
413【闇の魔を防衛する一般視聴者】
もう全部がかっこ良すぎてヤバい。
指揮が想像以上に様になってるし、「指揮ごっこがしたいのであれば、どうぞ他を當たってください」もしびれるし、なにさっきのアレ?
414【闇の魔を防衛する一般視聴者】
龍炎舞!!!
かっこ良かったけどちょっと技の名前ぶの恥ずかしがってるのが更にヤバい。とりあえずヤバい。
415【闇の魔を防衛する一般視聴者】
他のプレイヤーのファンはアレかもしれないけど今回蓮華君まじで大活躍じゃん。
俺等的には最高。
416【闇の魔を防衛する一般視聴者】
子爵令嬢きたおああああああ
417【闇の魔を防衛する一般視聴者】
蓮華くんの推理が當たってたわけか。でも更にアンデッド引き連れてきてるのやばいじゃん。
これ以上はさすがに……龍炎舞で魔力持ってかれてそうだけど大丈夫なのか?
418【闇の魔を防衛する一般視聴者】
「耳麻痺」かあ……これアンデッドとか関係無くこの先も咆哮(ほうこう)系の攻撃されたら食らいそうなデバフだなあ。
めまいとか平衡覚麻痺とか厄介過ぎん?
419【闇の魔を防衛する一般視聴者】
みんなやばいしか言ってないのやばいwww
ここのスレ民突然語彙力死んだwww
420【闇の魔を防衛する一般視聴者】
>>419 お前もなんだよなあ……
【8/10書籍2巻発売】淑女の鑑やめました。時を逆行した公爵令嬢は、わがままな妹に振り回されないよう性格悪く生き延びます!
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