《【書籍化】え、神絵師を追い出すんですか? ~理不盡に追放されたデザイナー、同期と一緒に神ゲーづくりに挑まんとす。プロデューサーに気にられたので、戻ってきてと頼まれても、もう遅い!~》第三話「偽りの栄(古巣の凋落1)」
――株式會社ユニゾンソフト。
この俺、碇(いかり)が部長を務めるゲーム開発會社だ。
いまでこそ勢いが衰えてきたが、日本のゲーム業界を黎明期の頃から支えていた老舗(しにせ)と言っていいだろう。
いっときは神野(かみの)ディレクター率いる『金食い蟲ども』の失敗のせいで會社が傾きかけたが、神野をはじめとする諸悪の源を辭めさせ、殘った人員も無事に調教済みだ。
俺が部長職に上り詰められたのも、神野組の一掃に盡力した功績が認められたからに違いない。
ユニゾン(我が社)の復権は、俺の手にかかっていると言っても過言ではないのだ。
現に、業界でも五本の指にる大會社『ルーデンス・ゲームス』との共同事業を任せられることになったのだ。これも俺の力の賜だ。
今まではメディアや客がこぞって神野ばかりをもてはやしていたものだが、ようやく俺の時代が來るかと思うと笑いが止まらない気分だった。
「……碇(いかり)部長。參りました」
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部長室の扉がノックされ、頭を下げながら一人の青年が室する。
我が部の頼もしいアートリーダー、井張(いばり)だ。
「來たか、井張。……お前のところのイラスト制作ラインは順調か?」
「もちろんです。次回のガチャ更新分の絵素材はすべて実裝できてますし、現在はその後にひかえるSSレアのレイアウトに著手中です。絵の容がし複雑になるのでラフスケッチの提出にはまだ時間がかかりますが、オンスケジュールです」
「うむ、さすがは井張。……さらに高レアリティのSSSレアの実裝予定もある。バズること間違いなしだな」
彼のおかげで複數のアートラインがうまくまわっているし、彼自も絵が描ける。
今までの貢獻を評価して俺の新企畫でキャラクターデザイナーを任せたところ、非常にやる気を出してくれたものだ。
「キャラデザインの進捗はどうだ?」
「はい! 部長のオーダーに従って各キャラ三案ずつ用意してまいりました。あとは世界観のイメージボードもこの通り……」
井張は傍らに持つバインダーを開くと、二十點以上のスケッチをテーブルの上に広げてくれた。
「凄いじゃないか! たった一週間でこの點數とは……」
「うちで完全新規のプロジェクトを立ち上げるのは久しいですからね。ご期待にそえるように頑張っています」
目の前の果に満足しながら、複數案から一つに絞り込むことにする。
「……うむ、この真ん中の案がいいな。小學生向けの製品なら、このぐらい頭を低くした方がいい。我が社のブランドイメージにもふさわしい。このままデザインを詰めていってくれ」
「承知しました!」
「くれぐれも長時間殘業はするなよ。ただでさえ労基(ろうき)に目をつけられてるんだからな」
「その點はご心配なく。スケジュール管理は萬全です」
労基……『労働基準監督署』からの是正勧告をけたのは昨年のこと。
長時間殘業の巣窟だった『神野組』は立ちり調査によって厳重な注意をけることになり、俺も殘業の撲滅に盡力した。
大事な要素が製品版(マスターROM)に間に合わない……とディレクターの神野はほざいていたが、予算を超過したり長時間殘業が必要な狀況になるヤツが無能なのだ。
無能と言えば、あの抱き枕をかかえる新人を思い出す。
なんだ、あの頭のおかしいは。
殘業癖があるどころか勝手に會社に寢泊まりするなんぞ、いつ労基に口出しされるか分かったものじゃない。
新人をヒマな部署に追放し、これでスッキリできる。
しばらくすれば自分の無能さを痛し、自ら辭めてくれるだろう。
俺の目には、この先の輝かしい栄がくっきりと見えるのだった。
◇ ◇ ◇
アートリーダーの井張が作業部屋を離席していた頃、彩の後任としてやってきたスタッフはほとほと困り果てていた。
ほんの數日前のことだ。
急に部署異することになり「君ならできるから」と任された現場は、いわゆる『ソシャゲアプリ』のガチャ用のキャライラストのチェック作業だった。
デザイン資料と食い違う部分がないかのチェックで十分だから……と言われているけど、外注先から屆いた絵はそれ以前の問題だ。
3Dモデルのマネキンがポーズをとっているだけの畫像。
何案もあるので、「この中から選んでくれ」ということらしい。
しかし表やキャラの特徴が分からない狀態だと、どこで良し悪しを判斷すればいいのか分からない。
「もうし判斷できる狀態でもらえませんか?」とメールでお願いしたところ、「以前の擔當者はこれで判斷してくれていた。すぐに返答してくれないとスケジュール的に困る」という旨の返答があった。
そんなことを言われても、デザイナーでもない自分には難しい。
その時、仕事部屋に井張さんがようやく帰ってきた。
「井張さん、チェック作業で助言がしいんですが……」
「え、今? ちょっとミーティングが立て込んでてさ。あとにするか、メールでお願いできない?」
「いや、メールをしても……」
言いかけた時には、もう井張さんは退室したあとだった。
「……メールをしても、ぜんぜん返信してくれないじゃないですか……」
メールに返信はなく、
線電話をしても「忙しいからダメ」と言われ、
そして、いつも本人はいない。
同じ作業部屋にいるデザイナーさんたちに相談しようにも、「今は新企畫の作業で手一杯なんです」ということで相手にしてもらえない。
デザイナーさんたちは申し訳なさそうに言っていて、実際に忙しそうに絵を描いている。
邪魔ができる空気ではなかった。
前任者だった夜住(やすみ) 彩(あや)さんに助けを求めたいところだけど、メールも電話も全くつながらない。本人の居場所も分からない。
すでに八方ふさがりだった。
仕方がないので、改めて3Dマネキンの畫像を見比べる。
……やっぱりポーズの良し悪しはよくわからない。
でもスケジュールが迫っているので、今までに作られたイラストとキャラクターを元にしながら一案を選ぶしかなかった。
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