《悪魔の証明 R2》第53話 038 シロウ・ハイバラ(1)
「大丈夫なのかしら」
ミリアがぼそりと呟く。
俺のことか? もしかして、さっきに鼻を近づけ過ぎたのか。
と、一瞬肩を震るわせた。
だが、幸いなことに彼の視線の先にいるのはアリスだった。
「私が言っているのは契約のことよ、シロウ」
「契約……?」
「確かに、挑戦者が超能力を持っているのを証明できるのであれば、百萬ドルは手にるのだけれど、先生を相手にしては、それは不可能だわ。ねえ、ジョン・スミス」
ジョン・スミスへと顔をやりながら、ミリアが言う。
「そうだね、あの子は必ず負ける」
キーボードを叩きながら、ジョン・スミスはそう賛同の言葉を返した。
「挑戦者が負けた場合の処遇は、シロウもわかっているでしょう」
「確か、スマイルチャンネルのアーカイブに映像を保存され、さらに俺たちのサイトにある詐欺師一覧ページに名前と顔寫真がリストされる……だったかな」
うる覚えながら、挑戦者が敗北した後の処理方法を伝えた。
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「その通りよ。彼がチャレンジに失敗したら、もちろん、これまでの人たちのように、一生オオカミ年扱いされてしまうわ。あんな小さな子にそんな重い運命を背負わせるのは酷だとは思わない?」
と同意を求めながら、ミリアはし頬を紅させた。
「仕方ないよ、そんなの」
キーボードの作を続けながら、ジョン・スミスが無慈悲な言葉を投げかける。
「そんな――」
ミリアの大きな目がさらに拡大する。
「よく言われる子供だから、なんてのは僕は認めない。結局、被害の度合いは何も変わらないんだからね」それを気に留める素振りもなく、ジョン・スミスは言う。「詐欺や犯罪に、だから、子供だから、なんて何の関係もない」
「ジョン・スミスの言っていることもわかるけれど……」
「わかってないんじゃない? それより、ミリア。君はさっきから、されてってけの言葉を使っているよね。これは原則的に間違っている。やるのは僕たちだよ。ネットに畫を流すのも、サイトにあの子のことをアップするのも、ミリアと同じ第六研メンバーの僕だしね」
そう告げると、ジョン・スミスはポテトチップスの袋に手をばした。
何かその行に意味があるのかと思ったが、ただそれを頬張っただけだった。
「そして、ミリア。君も彼らの人生を破滅させる一員だ」ポリポリとポテトチップスを噛み砕く音をさせながらも、ジョン・スミスは言葉を続ける。「ミリアも彼らの正を暴く先生の仕事をサポートする立場の人間だからね。つまり、何度も言うようだけど、君自も彼らの破滅に手を貸しているんだよ。彼らにとって、君は加害者だ。そんな簡単なことも踏まえてないんだったら、即刻ここを辭めた方がいいんじゃないかな」
きつい容だが、正論ではある。
そう思いはしたが、それと同時にジョン・スミスに深い憤りをじた。
怒りの原因は、臺詞を終えた後ゲフっという下世話な音をさせたこともあったが、しょんぼりと肩を落としたミリアを見ていられなかったことにある。
「ジョン・スミス。確かに間違ってはいないが、言い過ぎだろう。おまえと違ってミリアは繊細なんだよ」
腹立たしさを抑えつつ、そう諫めた。
それを聞いたジョン・スミスは肩をすくめただけで、何も言い返そうとはしてこなかった。
し居心地の悪い空気がその場に流れたが、気を取り直して部屋の中央へと視線を向ける。
ちょうどテーブルの上に置かれた最後のカードを、レイが翻している最中だった。
確かに、ミリアの推察した通り、この勝負に負けたらアリスがその後まともな人生を送ることは不可能だろう。
だが、推測が実際その通りになるとは限らない。
レイの手を見つめながら、そう思った。
「アリス。あなたが目を隠した後、カードはシャッフルさせてもらうわ。このままだとカードの位置で中の図柄がわかってしまうから、それは當然の処置。わかるわね」レイがそう條件を説明する。「けれど、契約通りあなたが回答をする前にカードは開ける。そして、勝負は三回。三回ともあなたがすべてのカードを當てたら、あなたの勝ち。これでいいわね?」
アリスは軽く頷くと、小さな手を自らの後頭部に回した。どうやら、後ろ髪を結んでいた大きな黒のリボンを取り外すつもりであるようだ。
束の間の後、長い髪がパサリと彼の肩に落ちてくる。
「あら、それで目隠しをするのかしら」
アリスからリボンを手渡されたレイはそう言いながら、布を引っ張ったり、天井の照明に照らしたりなどしてリボンを隅々まで調べあげた。
やがて満足した様子で、「ミリア」と呼びかけると、早足で駆け寄ってきたミリアにリボンを手渡した。
このミリアの足取りから鑑みると、先ほどのショック狀態からは立ち直っているようだった。
「問題ないわ。間違いなくこの布から外は見えない。もう調査は十分よ。このまま後ろから縛ってちょうだい」
レイはミリアの耳元で囁くように指示を送った。
「いや、全然こちらまで聞こえてくるんだが……」
その様子を眺めていた俺は、小さな聲でそう呟いた。
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