《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》257.真の人類の敵
257.真の人類の敵
(前回の続きです)
「楽しそうな話をしているのでな。我も混ぜよ、アリアケ」
冥府の王はそう言って、心底楽しそうに笑ったのであった。
たちは警戒するように、俺の後ろに陣取るが、俺は手を出さないように制した。
「話の腰を馬車ごとおられた気分だが、まぁいいか」
俺はやれやれと嘆息しつつ続きを語った。
「まぁ、別に特段すごい話じゃない。単にこの魔王たちは仕組まれた存在というだけだ。そして、その目的は人類を滅亡させるためではない」
「えええええええええ!?」
「そ、そうなのじゃ?」
「そ、それって大前提がひっくり返ってませんか、先生!?」
「アリアケ様。お願いですから、アリアケ様が當たり前と思うことを、當たり前だと思わないようにしてください」
なぜか集中砲火を浴びた。
なぜだ?
「ふふ、では何か目的と考える、大賢者よ。いや、未來の星の代理人・アリアケよ」
一方のナイアは不気味に、しかしどこか嬉しそうに笑った。
Advertisement
俺は頷きながら、
「そうだな。スカウトじゃないのか?」
「は?」
「ほえ?」
「ええ!?」
「スカウトって? 誰をですか?」
たちの口から次々と疑問符がれる。
まぁ、そうだろうな。
ここまで看破できる人間がいるわけない。
だが、大賢者と呼ばれる俺が分からない道理もまたない。
ローレライの質問に答えるとしようか。
「誰を、か。その意味においては誰でもない。全員だよ」
「「「「はい??????」」」」
ますます混するたちに、俺は告げた。
「人類をスカウトしに來たんじゃないのかな。この目の前の真の邪神ナイアは」
その言葉に、
「「「「「邪神!?!?!?」」」」」
たちのみならず、ビビアの絶も鳴り響いたのだった。
「くぅううううううううううううううううううううううううう」
ナイアが俺の答えを聞いて、興したように震え出した。
どうしたんだ?
「さっっっっっっすが我が見込んだだけの男である! 部下にしい! ああ、しい。人類も良いが、そなたがしい!!」
Advertisement
「殘念ながら既婚者なのでな」
「永遠の命とかいらぬのか!? 世界の半分とかはどうか!!」
「いらない」
「くあああああああああ! こーんなに求しているというのに! この邪神ナイアを袖にするとは!!!」
「で、正解でいいのか、ナイア?」
俺の言葉に、彼は満足げに、そして破格の邪気を放ちながら頷いた。
「うむ!! よくぞその答えにたどり著いた、アリアケ・ミハマよ! ちなみにどこらへんで気づいておった?」
「最初から怪しいとは思っていた。違和がたくさんあったからな。例えば……」
俺は思い出しながら言う。
「星見が俺たちの出現を預言していた。だがその星見たちはどこにいる? 一度もその姿を見ることはなかった。それにお前はアリシアの顔をなぜか知っていたな? 俺の時は旅人が來るという預言だったと言っていた。なら星見たちが顔まで伝えていたわけではないはずだ」
何よりも、
「お前自も言っていた通り、魔王の目的は『人類の孤立』だった。人類を『孤獨死』させるための『環境破壊』。それこそが魔王の行原理だったが、余りにその目的はさすがに特異過ぎる。俺の知っている魔王とは全然別だ。ならば必ず黒幕が存在するはずだった」
「ふーむ。だが、それだけで我が黒幕と言えぬであろう?」
「お前は第1の魔王を宇宙癌ニクスとは決して言わなかった。それがずっと引っかかっていた」
「ほう」
彼が嬉しそうな、満足そうな顔をした。
「宇宙癌ニクス・タルタロスは大地の3割を削るという途方もない『環境破壊』をし遂げている。これを魔王に據えない理由は皆無だ。とすれば、ニクスを魔王と呼ばない理由があったと思わざるを得ない」
「くぅぅぅぅぅ!! さすが大賢者であるな!!」
「えっと、アー君。その理由って一……」
アリシアがゴクリとを鳴らした。
うん、と俺は頷きつつ、
「多分、數を合わせないようにしていたんだと思う」
「か、數ですか?」
「ああ、そうだ」
俺は続きを話す。
「ナイアは7の魔王を出現させたかったんだろう。最初であったときも、現れる旅人は7人だと言っていたが、あれは魔王の數のことだろう。この邪神は時々わきが甘いところがある……。まぁともかく、この7という數字は人類にとって特別な數字だ。7つの大罪という言葉があるだろう? 傲慢、強、嫉妬、憤怒、、暴食、怠惰。無論、歓迎される観念ではない。だが、それらがあるからこそ人類とも言えるんだ。魔王たちはそれらの人類の存在理由を消去する存在でもあった」
「確かに7と言う數字には呪的な意味合いがあります。何か大きな魔的事業や神をし遂げるならば、數合わせはとても大事ですから」
「イヴスティトルは傲慢、地母神ナンムは憤怒、月は嫉妬、枯死ユグドラシルは強を司ると解釈出來る。そして、本當の第1の魔王ニクス・タルタロスは暴食となる」
「あれ? でもそれだとおかしいのじゃ、旦那様。それなら……」
ああ、と俺は頷く。
「第1の魔王宇宙癌ニクス・タルタロス、第2の魔王イヴスティトル、第3の魔王 地母神ナンム、第4の魔王月(イルミナ)、第5の魔王 枯死ユグドラシル。では第6と第7の魔王はどこにいる?」
「欠番ってやつでしょうか?」
ローレライの呑気な言葉に俺は苦笑する。
同時に、ナイアは吹きだした。
「わははははは! 賢者パーティーは面白い者どもがそろっておる! どうであろうか! やっぱり我に個人的に仕えてみる気はないか? 福利厚生もばっちりであるぞ!」
「質問に答えてやらんか」
「わはははははは! うむ! では答えよう。と言っても、すでに答えはそこの大賢者が知っておる。というかな」
ナイアは肩をすくめて言った。
「そなたに隠すためだけに、魔王ナンバリングをずらしたのだ。しでも大賢者を油斷させられればめっけもんなのでな! ま、だが無駄であったがな。ぬははははは!」
「「「「え?」」」」
たちの疑問符を浮かべるのとは対照的に、俺はあっさりと回答を述べる。
「人類滅亡のロードマップ。その最終局面である人類の孤獨死には、最後の希の喪失。すなわち『國(王)の滅亡』と『英雄の死』が存在するはずだろう?」
「そ、それって、もしかして!?!??」
ラッカライがその意味を理解して驚く。
その通り。
「第6の魔王は、目の前にいる滅亡種人類王國、最後の王、冥王ナイア以外ありえない。そして……」
俺の言葉を、目の前の紅のが継いだ。
「第7の魔王……。人類の希を喪失させうるほどの大英雄など獨りしかおらぬ。そうであろう?」
彼ははっきりと言った。
「のう、救世主アリアケ・ミハマよ。いや!」
その瞬間、今まであった荷臺は消失し、全員が未知の空間へと吹き飛ばされたのだった。
「魔王アリアケ・ミハマよ!!」
そう。
この両者が死ぬ、あるいは人類を裏切ることで、人類の孤獨死は確定するのだ。
それこそが俺をこの時代に呼んだ理由。
人類全とつり合いが取れるほどの英雄であることが、この時代に呼ばれた理由だったのだ。
ナイアの聲が響いた。
「全てを失い孤獨死しかけた人類は、きっとすがるものを求めるであろう。その際、我が別の存在、神みたいなじでスカウトしようではないか! 人類はきっと喜んでそのを我に差し出すであろうなぁ! わはははは! レベルアップするという特異なスキルを持つ奇妙な生命! うむうむ、実に興味深いぞ! きっと數萬年も飼えば我の役に立つ存在になろう!! してやろう! 人類を! この冥王ナイアが! いや」
彼はのたまった。
「宇宙を支配するこの()の邪神ナイアによって、幾億年もな!!」
人類の真の敵がその正を現したのだった。
【小説・コミック報】
小説第5巻、コミック第2巻発売中!
小説・コミック共々大人気です。支えてくれた皆さん本當にありがとう!
ご予約頂けると嬉しいですが、<無料>試し読みだけでも、ぜひぜひご一読くださいませ(o*。_。)oペコッ
https://magazine.jp.square-enix.com/sqexnovel/series/detail/yuusyaparty/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【1st anniversary記念PV】
SQEXノベル1周年記念に、PVを作頂きました。
https://youtu.be/iNAobmIPNhk
CV:井上 喜久子さん・保志 総一朗さん
公開中!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アリアケやビビアたちはこの後一どうなるのっ……!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直にじた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本當にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
【電子書籍化】神託のせいで修道女やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺愛してくるお方です〜
父親に疎まれ、修道女にされて人里離れた修道院に押し込まれていたエレーニ。 しかしある日、神託によりステュクス王國王子アサナシオスの妻に選ばれた。 とはいえやる気はなく、強制されて嫌々嫁ぐ——が、エレーニの慘狀を見てアサナシオスは溺愛しはじめた。 そのころ、神託を降した張本人が動き出す。 ※エンジェライト文庫での電子書籍化が決定しました。詳細は活動報告で告知します。 ※この作品は他サイトにも掲載しています。 ※1話だけR15相當の話があります。その旨サブタイトルで告知します。苦手な方は飛ばしても読めるようになっているので安心してください。
8 55フェンリル
2037年、世界はこれまで保っていた平和を突然失った。 世界中で紛爭が起こり、ヨーロッパはテロにより壊滅的打撃を受けた。 この影響は日本にも広がり、日本拡大を目指す『戦爭派』と國を守る『國防派』に別れていった。 19歳の青年、雪風志禮は元々死刑囚だったが、政府の政策で、國防軍の軍人となることを條件に釈放された。 既に人間らしさを欠いてしまっていた志禮は仲間や出會った少女の時雨と迫る敵を押しのけながら感情を取り戻してゆく。
8 110名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
突如圭介のもとに送りつけられた怪盜からの挑戦狀。そこには亜美の友人である赤澤美琴の父、赤澤勉が海上に建設した神志山ホテルに展示されたブラッドジュエルを盜ると記されていた。寶石を守るため、鳥羽警部と共にホテルに出向く圭介だったが、その前にテロリストが現れる。2つの脅威から圭介は寶石を、そして大切な人を守りきれるのか? 〜登場人物〜(隨時更新していきます。) 松本 圭介 名張 亜美 鳥羽 勇 城ノ口警部補 赤澤 勉 赤澤 美琴 建田 俊樹 藤島 修斗 三井 照之 周防 大吾 怪盜クロウ カグツチ イワ ネク ツツ ヒヤ タケ
8 98転生王子は何をする?
女性に全く縁がなく、とある趣味をこじらせた主人公。そんな彼は転生し、いったい何を成すのだろうか? ただ今連載中の、『外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜』も併せて、よろしくお願いします。
8 128貴族に転生したけど追放されたのでスローライフを目指して自前のチートで無雙します
舊題「転生〜最強貴族の冒険譚」 弧月 湊、彼は神の手違いにより存在が消えてしまった。 そして神は彼を別の世界に力を與えて甦らせることで彼に謝ろうとした。 彼は神の力を手に入れて転生したのだった。 彼が転生したのは辺境伯の貴族の次男アルト・フォン・クリード。 神の力を持った主人公は聖霊の王であるキウン、悪魔の長であるネメス、天使の長であるスーリヤを従えるのだが…… ハーレム弱めです。 不定期更新です。 絵はにぃずなさんに描いてもらいました!! にぃずなさんもノベルバで活動してるので是非とも読んでください!! 更新日 毎週金、土、日のいずれか(確実では無い) Twitter @gujujujuju なろう、アルファポリスにて転載中
8 126悪役令嬢のままでいなさい!
日本有數の財閥に生まれた月之宮八重は、先祖代々伝わる月之宮家の陰陽師後継者。 人には言えない秘密を抱えた彼女は、高校の入學をきっかけにとある前世の記憶が蘇る。 それは、この世界が乙女ゲームであり、自分はヒロインである主人公を妨害する役目を擔った悪役令嬢であるという不幸な真実だった。 この學校にいる攻略対象者は五名。そのどれもが美しい容姿を持つ人外のアヤカシであったのだ。 ヒロインとアヤカシの戀模様を邪魔すれば自分の命がないことを悟った八重は、その死亡フラグを折ることに専念しつつ、陰陽師の役目を放棄して高みの見物を決め込み、平和に學園生活を送ることを決意するのだが……。 そう易々とは問屋が卸さない! 和風學園戦闘系悪役令嬢風ファンタジー、開幕! ※最終章突入しました! ※この素敵な表紙は作者が個人的に依頼して描いていただきました!
8 99