《真の聖である私は追放されました。だからこの國はもう終わりです【書籍化】》20・朝は嫌でも早く目が覚める
一夜が明けた。
「昨日は々ありましたね……」
思い出しても夢のような時間であった。
しばらくここにいてもいいとナイジェルは言っていたが、なにもしないでいるのも暇だ。
「城を散歩でもしてみましょうか?」
いや……勝手に一人で歩き回るのも、あちらからしたら迷かもしれない。
ベッドに腰掛け、今日の予定をひねり出していると……。
トン、トン。
ノックの音。
「はい?」
「失禮します」
私が聲をかけると、メイドのアビーさんが廊下からってきた。
「おはようございます、アビーさん」
「おはようございます。お早いお目覚めですね」
「本當はもっと寢ておきたいですけど、嫌でも目が覚めるのですわ」
苦笑する。
王國にいた頃は朝早くから起こされ、々と仕事をやらされていましたからね。
まあ私が聖であったことはナイジェルと國王陛下にしか伝えないつもりだから、アビーさんに言えるわけもないけれど。
「それで……アビーさん、どうしたんですか?」
「著替えを持ってきました。このままではろくに部屋の外に出ることも出來ないでしょう?」
確かに。
今の私はネグリジェ姿で、なかなかの出が多い格好になっている。
「わざわざありがとうございます」
「いえいえ、エリアーヌ様は大切な客人ですから——では早速。失禮しますね」
そう言って、アビーさんは私に近付き、あろうことか服をがせようとしてきたのだ。
「ちょ、ちょっと……わ、私……一人で著替えられますから!」
「これも私の仕事ですから。どうか逆らわずに、を任せてくださいませ」
う~……同のアビーさんとはいえ、下著姿を見られるのはなんだか恥ずかしい。
だけどアビーさんの有無を言わせない瞳に気圧されて、私は彼の言う通りにするしかなかった。
「出來ました。どうですか?」
アビーさんに言われ、部屋にあった全がうつるタイプの鏡の前に立った。
すると。
「わあ……キレイですわ」
優なドレスにを包んだ私の姿があった。
「昨日もそうなんですけど、こんなキレイな服を著せてもらって本當にいいんですか?」
「もちろんです。それに……昨日のドレスに比べたら、値段で言えば數段落ちますよ。でもお喜びいただけて、私も嬉しいです」
こんなの、王國時代は著せてもらってなかったからね!
でもとても優なドレスなんだけど、とてもきやすい。
良い素材を使っているからだろう。
「何度も何度もありがとうございます……! このご恩は決して忘れませんから!」
「エリアーヌ様は大袈裟な方ですね。そしてとても謙虛です」
とアビーさんが小さく笑った。
「いえいえ、みなさんとても親切にしてくれてます。ナイジェルも、あんなに立派な方なのに優しくて……」
「ナイジェル様はとても良く出來たお方ですからね。王子という立場でありながら、私達にも気を遣ってくれています。市民からも慕われていますし、未來の國王になるのにふさわしいお方でしょう」
アビーさんの言葉に、昨日ナイジェルが市民に歓迎されていた景をふと思い出していた。
「本當ですね。ナイジェルとご結婚される方が羨ましいですわ。婚約者の方はもちろんいるんですよね?」
「はい? いませんよ」
いない……?
「ナイジェルほどのお方なら、小さいうちから婚約者がいてもおかしくないと思いますが?」
「その通りです。今まで何度か婚約者が出來そうにはなったんですけどね。ですが……」
あんなにカッコよくて優しい人なのに……もしかしてがあまり好きではないとか?
「どうしてもナイジェル様が納得しきれていないみたいで……直前までいったこともありますが、全て破談になりました」
「どうして……?」
「これ以上はいくらエリアーヌ様でもお教えすることが出來ません。どうしてもお知りになりたいなら、ナイジェル様に直接聞いてみればいかがでしょうか?」
「そ、そうですわよね。変なこと聞いてすみませんでした」
だけどナイジェルに「婚約者がいない」と聞いて、心のどこかでほっとしている自分がいた。
え?
どうして私が安心しないといけないの?
ナイジェルに婚約者がいようがいまいが、私には関係のないことなのに!
やっぱり昨日から私はなにかおかしい。
「そ、そういえばアビーさんはこれからどこへ?」
自分のを誤魔化すように、私は強引に話題を変えた。
「國王陛下のペット……ラルフのところです。朝の餌やりを任されていますので」
ラルフ……あの可いフェンリルのことですわよね。
「なかなか大変そうですね」
「よかったらエリアーヌ様も一緒に來ます?」
「い、いいんですか!?」
「どうぞ、どうぞ。ラルフもエリアーヌ様に懐いていると聞いてますので。私ですらなんとか餌をやれるくらいで、ラルフにはあまり近付くことが出來ませんし……」
もふもふ出來る!
この時の私、ラルフちゃんのことを考えてさぞ目がキラキラしていただろう。
「ぜ、是非行ってみたいです!」
「ふふ、エリアーヌ様はなかなか無邪気なお方ですね。あなたのようなキレイなお方なのに、ちょっと子どもっぽいところがあるなんて……私が男なら惚れてしまいます」
アビーさんは私の姿を見て、微笑ましそうだった。
「では行きましょうか」
「はい!」
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