《真の聖である私は追放されました。だからこの國はもう終わりです【書籍化】》58・王國、破滅へのカウントダウン

時は遡って一ヶ月前。

クロードは部下の騎士から「上級魔族が攻めってきた」という報告を聞き、一瞬頭が真っ白になってしまった。

「上級魔族だと……? 冗談にしては度が過ぎるぞ!」

結果、クロードは現実から目を背け、部下からの報告を「噓だ」と斷じた。

しかし騎士は一歩も怯まず、

「本當です! 上級魔族が王都に侵して、まさに混のるつぼです!」

「そ、そんなバカな……」

クロードはすぐさま窓を開ける。

その時、彼は信じられないものを目の當たりにした。

「お、王都が……! 壊滅狀態に陥っている!?」

至る所の建から煙が出ている。

空には翼を生やした異形のものが飛び回っていた。

まるで地獄。

王城と城下町は結構な距離が離れているが、人々の悲鳴がここからでも聞こえてきた。

「い、いつからだ……?」

「じゅ、十五分前くらいでしょうか」

「なんだと!? そんな短時間でここまで王都が壊滅したのか!?」

クロードの問いに、騎士は神妙な顔で頷いた。

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「最初は上級魔族一だけでしたが、次から次へと魔族がり込んできて、最早騎士団の手には負えません!」

「何くらい王都に魔族が侵している?」

「正確な數は分かりませんが、下級・上級含めておそらく三桁にはのぼるかと」

その報告を聞き、クロードは頭がくらくらしてきた。

(そ、そんな……)

ふらふらと足取りもおぼつかなくなり、近くの壁にもたれかかる。

魔族は魔とは比べものにならない。

下級魔族一だけであっても、ベヒモス並みの戦闘力を誇る。

上級魔族にいたっては、たった一で王都を滅ぼす力を有するのだという。

(それが複數だと!? 一なにが起こっているんだ!)

目まぐるしく変わる狀況に、クロードは追いつけない。

「クロード……クロード……そんなことより私を見て。わたしの顔がこんなにも醜く……」

レティシアはクロードの服にしがみつく。

一瞬顔を上げたせいだろうか、部屋に來た騎士もレティシアの異常な狀態に気が付いた。

「ひっ……! ば、化け! 殿下に近付くな!」

騎士は剣を抜き、レティシアに襲いかかろうとする。

だが。

「待て! 彼はレティシアだ!」

「レ、レティシア様……? バカな。レティシア様はもっとおしい姿をしていたではないですか!」

「不敬なことを言うな! なにが起こっているのか僕にだって分からない。貴様の処遇を考えなければならないな!」

「し、しかし……」

騎士は未だ戸っている様子。

クロードの婚約者レティシア。

はエリアーヌとナイジェルを殺そうとした報いをけ、顔が呪いの焔で焼かれてしまったのだ。

以前のレティシアの姿とは、似ても似つかない。

「クロード……SS級冒険者のアルベルトが戻(・)っ(・)て(・)くれば、きっとこの狀況をなんとかしてくれます。彼はバカですが、こと戦闘に関しましては頼れますから」

「そ、そうだ! アルベルトだ! ヤツはなにをしている!」

クロードが怒聲を上げる。

「わ、分かりません! 數日前から消息を斷っています」

「な、なんだって!?」

「それにいくらアルベルトでも、今の狀況を打破出來るとは思いません! 他國への応援を頼むべきです」

「バ、バカなことを言うな! そんなことしたら、なにをされるか分かったもんじゃない!」

実際、他國がわざわざ王國に戦力を援助してくれるとは思えなかった。

——この時のクロードの分析は、奇しくも當たっていた。

今まで他國をげる対象としか見ていなかった。

軍事力、経済……ありとあらゆるものが、王國は他國の中でも抜きん出ている。

その力をもって、今まで無理矢理他國を従わせていたのだ。

なのに王國のピンチだと聞いて、助けにくるか?

——否、來るはずがない!

それどころかこれに乗じて、王國を滅ぼそうとしてくるのが関の山だろう。

「と、とにかく! 騎士団はもちろん、冒険者にも急クエストを出せ! 何人犠牲になってもいい! 決してこの城だけには近付けさせるな!」

指示にもなっていない指示を、クロードが飛ばす。

しかし彼の判斷はあまりに愚かで——そして遅かった。

「あら。もうそんなことをしなくてもいいわ」

聲が聞こえた。

クロード達が部屋のり口に視線をやると、そこには一人の長の男が壁に重を預けていた。

「き、貴様は誰だ!?」

「ふふ。初めましての挨拶もないのねー。相変わらずこの國の王子はしくないわ」

一見のような口調ではあるが、その者はしい男(・)の外見をしていた。

の髪を長くばし、すらりとびた手足に目を奪われる。

まるでこの世のものとは思えないしさ。

クロードが言葉を失っていると、お姉口調の男(・)はゆっくりとこちらへ歩み寄り、

「初めまして。あたしはバルドゥル」

男——バルドゥルはクロードに握手を求め、こう口にした。

「あなた達人間の基準では『上級魔族』と呼ばれる存在だわ」

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