《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》5

朝食を終えて、自室に戻れば…早速、自分が何をするべきかを考える。ずっと願っていた故郷にいるためか、より前向きになれている気がした。

(褒賞として嫁いだあとも、一応この領地は私の所有だったわね)

王族もナタリーに対して可哀相と思い、そうしてくれたのか…。

いや…それはないな、きっと自國の領地だから、ナタリーが死んだ時にでも適當に言って再び回収する算段だったのだろう。

そんなふうに思うのは、戦爭後の王家が腐敗してしまったから…。というより、戦爭が始まるあたりから王家は、おかしくなっていったようにじているからだ。

お母様の不調を解消したら、過去に…今となっては未來に參加する王家主催の舞踏會に行かねばーーー。

◆◇◆

ノックをすれば、お母様が「あら?誰かしら」と返事をする。早速、お母様の調を確認しにきたのだ。

「ナタリーです。お母様、ってもよろしいでしょうか…?」

「まぁまぁ!ナタリーね。ええ、ってちょうだい」

木製のしっかりしたドアを開ければ、シックな調度品に囲まれたお母様の部屋が見える。そしてその中央にあるベッドに、母は橫になっていた。

聲は元気そうだったのに、顔し悪い。ベッド近くの椅子へとナタリーは腰掛けた。

「お母様…お大丈夫ですか?」

「…あら、心配してきてくれたの?ふふ…大丈夫よ。きっと季節の変わり目で、風邪をひいてしまったんだわ」

「それでもっ…私はお母様のおが心配です」

ナタリーが母に悩ましげな視線を送ったことがわかったのだろうか、起き上がって頭をでてくれる。でる時にチラリと見えた腕には、不気味な黒い斑點が浮かんでいた。

(やっぱり…黒點病にかかっているんだわ)

黒點病は、魔力の流れが悪くなるのが原因でに斑點が現れる。重くなるとの流れすらも止まってしまう病だーーしかし戦爭が始まる前の今では、まだ認知が広がっていない。

「ほら、可いナタリー…明るい笑顔を見せてほしいわ…あなたには笑顔が似合うもの」

「そう…ですか?」

「ええ、あら、もう…無理をさせてしまいましたね…私ったらだめね」

「そ、そんな…」

笑うために頬をかしたはずなのに、私の顔を見たお母様はーーひどく悲しそうで。そのままぎゅっと、抱きしめてくれて。

「…いいこ、いいこ。ナタリーはよく頑張っておりますよ。何か悩みがあるのなら…いつでも言ってね」

「……っ」

「よく考えたら、こうしてしっかりと話すのは…久しぶりにじますね」

「……ぅ、ひっく」

「ふふ、好きなだけ、ね。人はゆっくり、立ち止まることも大切だから」

お母様の溫もりにふれて、今まで堰き止めていた何かが決壊した。それでも、しずつ変わったようなーー失っていたものを取り戻したようにじた。

「お母様…みっともない姿を…」

「いいえ、ナタリー。そんなことないわ。お父様でも私でも…抱えきれなくなったらいつでも來ていいのよ」

「…ありがとうございます」

お母様は、私の目下あたりを布で優しく拭ってくれる。

(この病を絶対にどうにか、しなければ)

大好きなお母様を二度と失わぬようにーーナタリーは、部屋から出てミーナに外出をする手配を頼む。「あら、急ですね」とし驚いた表をしていたが、すぐに馬車を用意してくれた。

(黒點病は確かに…認知がないけど)

馬車に乗って、目的の場所を伝える。故郷からし離れたところへ、馬車は向かって行った。

◆◇◆

故郷とは違った懐かしい匂いをじながら、馬車から降り一軒の平家の前に立つ。ドアノッカーを數度叩けば…「どうぞ」という聲。それに伴い開いたその先は、薬草や消毒の匂いがして。

「ほっほっ、珍しい…元気な患者さんじゃのう?」

「ご機嫌麗しゅう…お醫者様」

彼こそが、お母様を治すためのであり…公爵家で妊娠の時から、私を支えてくれたーー友人がそこにいた。

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