《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》16

お父様の心配は屋敷に帰るまで続き――。

ナタリーがいないと呼吸ができない、父さんはナタリーがいないと寂しくて死んじゃうんだよ、とか。怒濤の宣言を耳にタコができるほどあびた。なので、その後舞踏會を楽しむなんてことはできず。

無事に屋敷まで家族と一緒に帰った。お母様が、ナタリーの足元を見て「まあ!まあ!」なんて目を輝かせていたが――。お父様にバレないように、そっと隠してくれていた。

◇◆◇

舞踏會からの翌日、國中で注目を集めた新聞は「宰相派閥、王家転覆の疑いで投獄!?」という容だった。記事には、第二王子エドワードの功績を稱える容が目立ち――彼こそが次期國王にふさわしいと期待されているようだった。

(…私の知っている世界から、どんどん変わっていってるわ)

紙面を持ちながら、ナタリーは國の変化を実する。これで後は、敵國との戦爭を乗り越えるだけ――。

改めて、拳を握って決意を持つ。そして、部屋のノックが鳴ったのと同時に「お嬢様。ミーナが屋敷へ戻ったようです」と使用人から聲をかけられた。

Advertisement

「あら…!本當に!すぐ迎えにいくわ」

ミーナが貰ったであろう薬をお母様に。逸る気持ちをに、玄関へと向かうのだった。

◇◆◇

「ミーナ、おかえりなさい…それで…あら?」

「あっ!お嬢様、ただいま帰りました!それとこちら…」

「ほっほ…久しぶりじゃのう、元気にしておったか?」

ミーナの隣には、醫者のフランツが立っていた。會ったのが舞踏會前なので、約ひと月、ふた月ぶりだろうか。

「お醫者様が、薬を処方するために奧様を診てくださると言ってくださって…!」

「うむうむ!もちろん薬を渡すだけでも良かったのじゃが…診ないことには、正確な量は難しかろうとな」

「フランツ様…本當にありがとうございます」

フランツの申し出にじーんと、が熱くなる。彼にも用事があったかもしれないが、ナタリーの母のために屋敷まで同行してくれた。彼の腕がいいことはナタリー自が…良く知っているから。

「そうじゃな、し服裝だけを整えて…早速、患者様の狀態を診てもいいかのう?」

「ええ…!よろしくお願いしますわ」

彼の笑顔に、優しさに救われながら…ナタリーはミーナにフランツの案を頼む。そして、フランツが到著して數刻の後…お母様の部屋へ一緒に行った。

◇◆◇

ゆっくりと軽く、お母様の部屋にノックをする。そうすれば、「あら、どうしました?」とかすれた母の聲が聞こえた。

「お母様、ナタリーです。その…お醫者様を連れてきました」

「まあ…!いったいどうして…部屋にってくださいな」

舞踏會が明け、お母様は力を使ってしまったのか――今日は朝食にも出られず、ずっと部屋で過ごしていた。ナタリーはフランツに顔を向け、促すように一緒に部屋の中へっていく。

「失禮しますな…ナタリー嬢から依頼をけてきました。フランツと申します」

「あら…ご丁寧に、ベッドからで挨拶が遅れてしまって…」

「いえいえ…気になさらないでくださいな。挨拶もを使ってしまうようじゃから…患者様は、自分を第一に考えてほしいのじゃ」

「まあ…お気遣い、謝しますわ」

ぐったりとしているお母様の様子に、ナタリーの不安は増す。舞踏會の時はいきいきと楽しんでいるように見えたが、本當は無理して――。

「ふふ、ナタリー?大丈夫よ。お醫者様を呼んでいただなんて…びっくりしたけど」

「ほっほっほ、ナタリー嬢はお母上様が大事なんじゃのう…わしがちゃんと診るから、座って大丈夫じゃよ」

二人の優しい視線に、言葉に促されて。そしてミーナが、側で座るための椅子を用意してくれる。

「ふむ…やはり、奧様は黒點病…じゃな…」

「…え?黒點病?」

「おや、ご存じではなかったのですな…」

フランツがお母様に、黒點病についての説明をする。フランツが診察している間見えた――お母様の手首には前よりも濃くなった黒い痣が見えて。

「まあ…そんな…!そうした病気があるなんて、気づいていませんでしたわ」

「そうじゃな…確かにまだ治療法が確立していない病なんじゃが、ちょうど薬ができましてな」

「あら…!本當に…!心から謝いたしますわ」

目からウロコといった顔つきで、お母様はフランツと會話をする。そしてフランツは、にっこりと微笑み。

「いえいえ…奧様。わしよりも…、この薬や奧様に対して協力してくださったのはナタリー嬢なのですよ」

「……っ!ナタリーが?」

「ええ、僻地にいるわしを頼ってまで――奧様を助けたいと思う気持ちゆえでしょうな」

お母様はこちらに顔を向け、涙を浮かべていて。「ナタリー」と聲をかけ、手で招いている。フランツが、薬を準備し始めたのとれ替わりに、お母様の前へ行き。

「…お母様、勝手なことをしてしまって」

「ナタリー、ありがとう。勝手なことだなんて、思ってないわ」

「……っ」

「やっぱり、自分で思い込むのはだめね。すっかり、風邪くらいに思ってしまって――」

お母様がぎゅっとナタリーを抱きしめる。その溫もりは、ずっと大好きなもので。

「…っ、お母様がいないと…私、嫌です。元気なお母様が…」

「ナタリー、本當に、本當にありがとうね。ナタリー、もう心配をかけませんからね」

「…っうん」

「ふふ、そうよね。私がいなくなったら、お父様の暴走を止める人が―――」

お母様に頭をでられながら、會話をしていると。ドタバタと廊下を走る音が響き。ガチャっと大きな音を立てて扉が開いた。

「だ、大丈夫なのか…!」

「あら、あなた。急いでどうしたの?」

「っ!君が、重病だと…醫者を呼んだと…」

扉から現れたのは、息を切らしたお父様で。汗とともに、目に段々と涙があふれていき――。

「醫者を呼べば、大丈夫だって言ってたのに…うっ、君も、大丈夫だって…ううっ」

「まあまあ…」

「やだ~~~、君がいない世界なんて、耐えられないよう~~」

「もう…、ナタリーが醫者を呼んでくれたおかげで大丈夫に…って、聞いていないようね」

お父様の目には大量の涙が。ナタリーはそっと、「お母様、お父様に場所をゆずりますね」と言う。お母様はその言葉に目をまんまるくして――そして面白そうに笑う。

「ナタリーはお父様のこと、本當にわかっていますね」

「うう~~~、やだ~~~。もうなにもできない~~」

「あなた!ほら、こちらへ」

「誰よりも、しているんだ…ううっ」

ナタリーが譲った場所に、お父様は瞬時に著席し。お母様の腕の中を獨占する。夫婦仲が良いことなので、微笑ましいはずなのだが…一瞬、父が大きな子どもに見え。…いや、気にしてはいけない。

「ほっほっほ。仲が良いのですな」

「え、ええ…」

すこし苦笑いになってしまったのはご敬だ。家族のやり取りをしているうちに、フランツは薬の準備を終えたようで。ミーナや執事に、処方の頻度などを教えていた。

「うむ。これで治るじゃろう。また診察に來るからのぅ」

「フランツ様、本當にありがとうございます」

「いいんじゃ、いいんじゃ。…あ~、そうじゃのう。ナタリー嬢、話があるんじゃが…」

フランツの視線の先には、未だに母にべったりの父がいて。「部屋から出ても構わないじゃろうか?」とフランツが提案してくれる。

「ええ、出ましょうか」

「すまないのう」

提案通りに、部屋から出て廊下に立つ。廊下には、ナタリーとフランツだけで。フランツは、聲を潛めて話し始めた。

「その、怪しい話を聞いてのう…」

お読みくださりありがとうございます!

⭐︎の評価を下さると、勵みになります。

よろしくお願いします!

    人が読んでいる<【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください