《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》40
突然現れたエドワードを、屋敷の応接室へと案する。聞きたいことは山々とあったが、それ以上に王族への禮儀が必要だと…お母様が判斷したのだ。
一方、お父様は――応接室へ向かうものの。「デート…」と呟くだけの人間になっている。
「その…、エドワード様は魔法でこちらに…?」
「ああ、瞬間移の魔法でね…」
端正な顔つきのエドワードは、優雅に座りながら…「戦爭後に、形になっていったんだ…遠くまで移できるように、ね」と。不敵な笑顔を浮かべていた。
「そ、そうなのですね」
エドワードの魔法の才能に服していれば。彼は、姿勢を正して。
「単刀直だが、僕がここに來たのは…。ナタリーが怪しい人を見た…と報告をけたからなんだ」
緑の瞳と視線が合う。彼の言葉は、想定範囲だが…王子であるエドワードが來るほどのものなのか。と彼の言葉を待っていれば。
「今回、國を騒がせているのは…ただの不審者、ではないんだ。魔法を使って、姿が分からなくなっているのもそうだが…その魔力が」
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エドワードは、暗い表になりながら…口を慎重に開いて出したその言葉は――。
「我が國の…元宰相のものなんだ」
「……え?」
「ま、まあ…」
驚きの聲をナタリーとお母様が出す。またお父様もやっと、現実に戻ってきたのか――話を真剣に聞いていて。
「宰相様は…まだ逃亡してらっしゃいますの…?」
「…そうなるね。戦爭時に彼を捕まえる手はずだったんだが…逃げられてしまっているんだ」
応接室の溫度が、低く。そして冷たくなった。それは、悪い現実を知ったから――。
「僕が、未なばかりに…彼を未だに捕らえることができず。本當に申し訳ない」
「い、いえ!」
「そうですわ。ナタリーをはじめとして、私たちペティグリュー家は…殿下に謝しかありませんわ」
お父様が慌てて否定をし。続けてお母様が、口を開いた。そして「今の平和があるのは、殿下のおかげですわ」と、優しく話す。
それに関しては、ナタリーもエドワードの盡力のおかげだとじているので…頷きながら肯定した。
「そうか…、そう言ってくれると。嬉しいよ」
エドワードは、ペティグリュー家からの言葉に元気づけられたのか。表がし明るくなった。
「宰相様のことは分かりました…でも、ペティグリュー領だけではなく。國に來ていらっしゃるのよね?」
「確かにそうなんだが…」
「ですが…?」
「ナタリーの報告をもとに、改めて宰相の魔力について…ペティグリュー領に絞って簡易に調べたんだ…そうしたら」
ナタリーが促すように質問をすれば。戦時中は、よく活用される…魔法や魔力の検知を使ったことが分かった。王城でなら、魔法の扱いに長けている臣下などがいるため。
指名手配がかかると城からを使用して、探すことがよくある。そんな魔力の分布を王城で調べたであろう…エドワードの“調査”の結果を待つ。すると。
「…ペティグリュー領の山から、宰相の魔力が微弱だが…検出されたんだ」
「……え…」
「どうやら、ペティグリュー家が行っている魔法を隠れ蓑に使っていたみたいで、ね…」
それはつまり…気候で周りが壊れないように施している。“ペティグリューの魔法の中”へ宰相が逃げ込んでいるという容で。
微弱ということになると…おそらく、はじめは。“ペティグリューの魔力が、宰相よりもたくさん検出されたため”気に掛けられていなかったのだろう。
――地の利を活かして、隠れるなんて…。
いつから宰相が隠れていたのか。まさかあの老人は…と、怖い予想が頭によぎり。ナタリーは、ぞっとする。
「この件は、僕が対処する手筈になったから…ナタリーに話を聞きたいのもあって…王城から瞬間移できる裝置を渡したんだ」
そうエドワードは説明し。お父様に、「協力、謝します」と笑顔を向ける。ナタリーは、事態の容がわかり頭を悩ませながらも…納得した。
「そう…でしたのね」
「突然で驚かせてしまった…かもしれないけど、どんな人を見たのか教えてくれるかい?」
「ええ、その…」
エドワードに、自分が見た“老人”の特徴について語れば、ナタリーの話を聞くうちに、彼の顔から笑顔が消えていく。
「そう…か」
「ええ、私からは以上になりますが…なにか…」
「いや…聞けば聞くほど…。おそらく、宰相は変裝の魔法を使っていることが分かってね…」
変裝の魔法と言えば、エドワードと城下町に出かけた際にも見た魔法だ。自分の瞳や髪を変えるくらいだと思っていたのだが…。そんな疑問をナタリーの表から、読み取ったのか。
「実は、あの魔法は…宰相が僕に教えてくれたもので…ね」
「ま、まあ…」
「皮だが…彼の魔法のセンスはかなりよくてね。姿形が変わることなんて…彼にはわけもないのかもしれないね」
そして、その言葉の容を裏付けるように。「宰相は、魔力を検知する部署にいたくらいには、魔法について詳しかったからね」と話した。
聞けば聞くほど、宰相という人は厄介な才能を持っている気がする。
「というのが、彼の特徴だが――そんな宰相が、どうやら最近…ペティグリュー領のここら辺にいたようでね…」
「え、ええ」
エドワードは、応接室の機に広げるように。見えない空間から取り出した紙を出す。おそらく、見えない空間には――前に見た“影”がいるのだろう。
広げられた紙は、ペティグリューにある山を詳細に見てとれる地図で。その中の一點を、彼は指さした。そこを見たお父様とお母様が、首をひねる中。ナタリーは目を見開く。
「っ!そこは…」
「…ん?知っているのかい――?」
知っているも何も――そこは。
涙草(なみだつゆくさ)が採れる場所として、ナタリーが教えた所…だったからだ。
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