《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》50
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「ナタリ~!本當に、公爵様とは何もなかったんだな?」
「……お父様」
「本當に、本當に、何もなかったんだよね…?ううっ」
「あなた…」
跡地下の一件が終わり。ナタリーは、無事にペティグリューの屋敷に帰宅していた。そして、母やミーナなど…無事に帰ってきたことを喜んでくれている中。心がほっと安心する…が。
お父様が、しきりにエドワードやユリウスに関して――何度も聞いてこなければ。もっと心の平穏はあったのかもしれない。
(本當に、あっという間だったわ…)
ナタリーは、跡から外へ出た時のことを思い返す。
◆◇◆
跡騒のあと。元義母はエドワードの騎士団によって拘束され。連れていかれることになった。宰相はまだ“影”によって、追跡中とのことらしい。
元義母は、宰相と絡んでいたこともあり。ユリウスが率いる漆黒の騎士団も。エドワードが、連れていくことを承諾していた。なにより、ユリウスのがボロボロなこともあって。
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「お前は、早く…あのうさん臭いじじ…醫者に、見てもらった方がいいね」
「……俺は、平気だが」
「はいっ。ウソー!俺でも分かるからね!ほら、行くよ!」
マルクによって…半ば強制的に。ユリウスは、団員たちに支えられながら隣國へ帰っていった。
一方のエドワードはというと。
「ナタリー…僕は、ここまで。宰相を追うって判斷をしたことを悔やむなんて…」
「え、えっと…?」
「よければ、今日は王城で一夜を…」
跡地下へ戻ってきてから。どことなく目が據わっていて。いったいどうしたのか、と。戸っていれば。
「殿下、失禮ですが。うちのナタリーは、枕が…いや、空気が変わると調を崩してしまうのですっ!」
「え…?」
そんな事実初耳なのだが。お父様は至極真面目に、エドワード対して言い張っていた。その態度に…エドワードは苦笑を浮かべながらも。両手を上げて、降參のポーズをとったかと思えば。
「ふっ、それなら仕方ないですね…ナタリー、また連絡を送りますね?」
「え、ええ…?」
「それでは」
お父様にお姫様抱っこされながら…エドワードに別れの挨拶をした。最後までお父様は、まるで敵を見るように睨んでいた。
注意する力も殘っていなかったので。お父様に促されるまま…ナタリーは帰路についたのだった。
◆◇◆
そして、そんなやり取りがあったためか。お父様はいつもの、面倒くささを発揮していて。反対に、お母様やミーナは。いったい何があったのか…期待するようなまなざしを向けてくる。
しかし、の応援隊とでもいう二人は。ナタリーに無理には聞かず。勝手に妄想しては、盛り上がっている様子が見えた。
「今日は疲れたので、お先に失禮します」
「ええ、おやすみなさい。ナタリー」
「ナッ、ナタリー、話はまだ…」
「ほら、あなた行きますよ」
両親に挨拶をして。自分の部屋へと歩みだす。途中、お父様のけない聲が聞こえたが…お母様がなんとかしてくれるだろう。
(それより…結局。閣下の魔力暴走について、聞けなかったわ)
あの地下での出來事から。ユリウスが特異質を患っていること。それを知った…が。空間を歪ませるほどの魔力があって。それが発してしまうということ以外、なにも分からなかった。
いつその発がおきるのか。ナタリーの魔法によって、どうにかなったのか。
疑問は盡きないが…以前の記憶では。ユリウスが、その魔力暴走によって死ぬことはなかった気がする。
(フランツ様のおかげなのかしら…?)
疑問は盡きないが――考えても答えが出ない。そして、公にされていない。公爵家のにも近いことを聞くのは、憚られる気持ちもあり。
(そもそも、閣下以外にも謎が多すぎて…何が起こっているの?)
宰相がなぜ、元義母と手を組んでいたのか。元義母の魔法を、無効化したようなナタリーの力はなんなのか。そして。
白いを出した時に、脳で視線があった。あの瞳は――。
様々な疑問を。考えれば、考えるほど。疲れているから、さらに力を使う結果になってしまって。
寢る支度を整えたナタリーは、ベッドにった瞬間。疲れによってそのまま、眠ってしまうのであった――。
◆◇◆
跡の騒からは、平穏な日々が続いた。
確かに、領で不審な魔力反応があったことへの収束作業はあったものの。その當事者は、現在王城で柄を確保されているので。
ペティグリュー家から、さらに何かの処理が発生することはなかったのだ。むしろ、それよりも。跡の地下空間について。お父様でも知らないことが…たくさんあったのに、注目が向いて。
王城から、騒の翌日。研究者のいで立ちをした――王城の役人たちがやってきて。お父様が、自ら案するほどであった。
お父様が言うには、「石やいくつかの文獻を持って、研究するそうだ」と。もしかしたら、その研究の結果によっては。自分の謎が分かるのかもしれない…そう、ナタリーは結論付けた。
あれから、のことや魔法の無効化について話したが…。お父様もお母様も、知らないとのことだったので。研究結果を待つしかない…ということの方が正解なのかもしれないが。
そうして日々を過ごす中で。酷使した力も、だんだんと回復していき。太が、木々の隙間から差している正午。
「ふふっ、ナタリーとこうしてお茶をするのは…久しぶりにじるわね」
「…たしかに、そうですね」
今日もお父様は、王都から來た研究員たちを案している。そのため、お母様と一緒にテラスでティータイムを楽しんでいた。
ミーナが腕によりをかけて淹れてくれた紅茶は、今日も香ばしく、味しい。お母様と、他もない話で花を咲かせていれば。
「あっ!おかわりを淹れてきますね…!」
ティーポットに、紅茶がないことを察して。おかわりを淹れてくるとのことで…廊下へと、し速足で駆けていく。
「まあまあ、ミーナはせっかちさんね」
「ほんとうに…ふふっ」
微笑ましいと思う程。平穏で、ゆっくりな一日。今日は、穏やかに一日が過ぎていきそうだと。そう思っていた時。
「お、お嬢さま~~!」
(あら、この流れ…私知っているわ)
穏やかな一日で、終わらない気配をじる。なにより、ミーナが廊下を全力で音を立てながら走っていて。
扉が勢い良く開き、想像通り。息を切らし…空のティーポットを持ったミーナが立っていた。
「あら、あら。今日のミーナは一段と元気ね…ふふっ」
「お母様…」
毎回ミーナのあわてんぼうさを、“元気”で片付けていいものなのか…。し疑問に思いながらも、ナタリーはミーナに聲をかける。
「ミーナ、慌てて…どうかしたの?」
「そ、それが…!王城から、使者が來ましたっ」
「まぁ!ですって、ナタリー!」
お母様の嬉しそうな…わくわくした聲を聞くと。現実が増してくる。
そんなナタリーは、面倒そうな雰囲気をじ…空を仰いだ。そうすると、ナタリーの心とは全く違って。清々しいほどの青い空が、そこにあって。
(本當に行かなきゃ…いけないかしら…)
どうか、お父様が騒ぐようなことでは…ありませんように、と。ナタリーは心の中で祈った。
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