《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》61
(閣下の家の――墓地…?)
エドワードから言われた言葉に、一瞬…理解が追い付かず。ナタリーは首を傾げていた。そんな様子に気づいたのか、エドワードは壁の一點を指さす。
そこには、「死してなお、ファングレー家に栄を」という文字が書かれていて。
「僕自も、全てを理解しているわけではないが…」
「はい…」
「宰相はどうやら…公爵の地下墓地に何度も滯在している形跡があったんだ」
「そ、そんな…」
いったい何のために通っていたのか。その點については、エドワードも知らないようで首をひねっている。なにより、場所が分かったから出ようと魔法を試みても。なぜか魔法が発せず。何か打開策がないか…自分の知っていることを今一度、思い返していたらしい。
その中で分かること…エドワードが言うには、ファングレー家の墓地と王城付近に瞬間移の魔法で、何度も行き來したのは確かだと。そう教えてくれた。
「でも、なぜ私たちをここへ…」
「そうだね…確かに出口がないから…閉じ込められているようなんだが…。いったい…」
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そうしてぐるりと、エドワードが辺りを見渡してから。サッとナタリーに顔を戻すと…。
「まってくれ、ナタリー。何か聲が聞こえないかい?」
「え…?」
突然、構えたエドワードに発されて。ナタリーも神経をとがらせながら、耳を澄ませば…自分たちが閉じ込められている石造りの空間――その壁から音がしているように気が付く。
「人の聲が…聞こえますわ…」
「ああ…だが、変だね」
「変…?」
「うん…向こうの聲が聞こえるということは、こちらの話し聲も聞こえているかもしれないのに…気にせず話しているようだ」
エドワードに言われて、ナタリーは確かにと壁を見つめる。相も変わらず、何を話しているかは煩雑で聞こえにくいが…「ファングレー」や「公爵」という言葉を出している様子は理解した。
「ふむ…このままでは、らちがあかないね」
「ええ、どうしましょ…エ、エドワード様っ」
「ん?」
「な、なにを…?」
ナタリーが考え込もうとした矢先、エドワードが會話が聞こえる壁に対して。手をかざしていることがわかった。しかも何やら、魔力を手にためているような…。
「も、もしかして…」
「ああ、瞬間移は試したけど…そういえば破などは試してなかったなって」
「ば、ばく…」
ナタリーが慌てふためいている中、不安を和らげるためか。輝かしいばかりの顔で、ニコッとほほ笑んだと思えば。
「大丈夫!加減は心得ているから、安心して」
「そ、そういう問題じゃ――」
「ただ公爵には、後で謝らないとね」
ナタリーの制止も空しく。エドワードは手に込めた魔力によって…起させるかの如く、壁にドカンッと…衝撃を與えた。その瞬間、多大なエネルギーに耐えきれなかったのか。ばらばらと目の前の壁は大きなをあけていた。
「ま、まあ…」
「ね?しかも、ちゃんと飛び散るのも考慮して…吹き飛んだ壁は灰燼にしたから」
「え?」
良い笑顔のエドワードとは反対に、ぞわっと…なんだか不吉な単語が聞こえたような。しかし、エドワードの行によって道が増えたのも事実で。早速、エドワードが見ているの先を同じくのぞき込めば。
発の衝撃で煙がもくもくとたつ中。だんだんとおさまった先に見えたのは――。
「あ、れは…人…?」
「ふぅん?」
會話していたはずであろう人たちがいるはずの場所には、青白くるシルエットがあった。そして、その人たちの顔を見た瞬間。ナタリーは目を見開く――なぜなら彼らは、あの見覚えのある顔は。
(ファングレー家の歴代當主様…!?)
以前の生の時、ファングレー家の屋敷廊下を歩くたびに見た――絵畫。そこに描かれた歴代當主の似顔絵と…そっくりな顔つきの男ばかりが、目にったのだ。
◆◇◆
「僕がい頃に見た――生前のご當主がいるようだね」
「…え?」
「ああ、ナタリーは知らないかもしれないが…公爵のお父上がいるようでね。だいぶ前に訃報を聞いたが…ウソというわけではなさそうだな」
呆然としているナタリーをよそに。エドワードもまたありえないものを見た驚きなのか、鋭く彼らを見つめている。
そして、「ファングレー家は幽霊でも飼っている…?まさかな…」と聲をらした後、口角をし上げ――首を振っていた。
「でも彼らは、こちらに気づいていないようですね…?」
「そう…だね」
「あんなに、大きな音があったはずですのに」
そうナタリーが言葉をつぶやくのと同時に。の先にある…自分たちと同じ部屋のような裝が一変し始める。
「これは――…」
エドワードの疑問をかき消すように。目の前に広がったのは、ナタリーの知るファングレーの屋敷よりも…ずっと新築の屋敷で。
劇場で見るよりもはっきりと現実に見えるそのつくり――そして、青白さを保つそれは。いったい何をしようとしているのか。わからない恐怖とともに、目の前で始まったその事象に目が離せない。
舞臺セットのような屋敷の外観から――屋敷の部へ変わり。ナタリーが知らないファングレー家の當主がベッドで橫たわりながら。唸っている姿が映し出された。
「く…あっちへいけ…。まやかしどもめ…私は暴走など…クソ…」
唸る男の周りには、先ほど見た青白い男たちが囲むように立ち。言葉を浴びせている様子がわかる。
「お前はダメだ」
「暴走にのまれてしまう」
「化けよ」
(――彼らは、いったい何を言っているの?)
苦しむ男に…さらに苦しみを與えようとする景に。ナタリーは目を奪われ…目を疑った。
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