《【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】》68
「……お、お母様。ありがとうございます」
「あら?もう、いいの?」
「は、はい……」
お母様に長く抱きしめられていたおかげか、だんだんと頭が冷靜になり。ナタリーは落ち著きを取り戻していった。大人にもなって、お母様に甘えすぎているのでは。と冷靜な頭で考えてしまい……ゆっくりと一人で座る勢に戻る。
そんなナタリーの恥じらいを分かっているのか。お母様は、「気にしなくていいのよ……ふふ」と笑うばかり。ナタリーはカーッと、頬に熱が集まっていくのをじつつも。お母様と対面するように、居直した。
「そ、その」
お母様と向き合って話そうと試みるも、いったいどこから話せばいいものか迷ってしまう。なにより、お父様に言い募ったことは言いづらくて――。そんなナタリーの思いが、顔に出ていたのか。「あら、あら」と優しく微笑んでから。
「お父様に面と向かって、言い切ったことは聞いているわ」
「うっ、ご、ごめんなさ……」
「いいじゃない」
Advertisement
「え……?」
てっきりお母様から、叱責がくると予想していたのだが。それには反して、相変わらずお母様はどこか楽し気で。
「あら?どうしたの?驚いた顔をして」
「その、お父様に反抗してしまったから、その……」
「まあ。ナタリー、私は全然怒ってないわよ?」
「へ?」
「ふふ、反抗だなんて、いいじゃない!むしろ嬉しいくらいだわ」
お母様は、ナタリーの髪を優しくで。「ナタリーは私たちのお人形さんではないのだから……當たり前でしょう?」と語り掛けてきた。
「ただ……お父様は、ちょーっと。そうねぇ、過保護すぎるところがあるから……ね?」
お母様にそう言われると、確かに否定できない場面が思い出され。思わずうなずきそうになってしまう……が。今回の件は、本當にナタリーのを案じている気持ちは分かっていて。
「あら!もう!ナタリーは本當に優しいわ……親に反抗する子は普通なのよ?」
「で、でも……」
大好きなお父様が嫌がっていることをしたくない気持ちも、確かにあるので。部屋の中に閉じ込められてから、チクチクとの中で痛みをじたのも事実だった。
「そうねぇ。それなら、お父様の昔話をしましょうか」
「……え?」
「お父様はね、本當は私と結婚するのではなく――ペティグリューの分家の方と結婚するお話が來ていたのよ?」
「へ……へっ!?」
突然、お父様の昔話――それも、聞いたことがなかった結婚前の話を聞き。ナタリーは大きく揺してしまう。
「ふふ。驚いたかしら?」
「は、はい」
お母様はナタリーの反応を見ながら、「良い反応ね」と笑い。
「でもね、その頃はちょうどお父様と――大をしていたから」
「そ、そうなのですね……?」
「ええ!舞踏會に、ペティグリューの観や……いっぱいあるわ」
普段あまり惚気たりしないお母様の話に、思わずナタリーは聞きってしまう。しかし、お母様は「デートの話はまた今度ね」と言い。
「思い合ってはいたのだけど……ペティグリュー家の意志とは相反することになってしまってね」
「……」
「だから、潔く私……を引こうとしたのよ」
「そ、それは……」
大と言っていたのだから……自らを引く覚悟は相當なものなはずだ。でも、今現在二人は結婚し――家にいるわけで。どのようにそうなったのか、窺うようにお母様を見つめれば。
「ふふ。でもね、そんな私をお父様ったら……家まで押しかけて大聲で告白をしてきてね」
「へっ!?」
「ね?驚くでしょう?君を諦められないんだって、どれだけ周りが……立ち退かせようとしても。地面に寢転がってね」
その話を聞き、ナタリーは即座に。頭の中で駄々をこねるお父様の姿が思い出された。まさか、お母様とをしていた頃からそうだったなんて。
「我慢比べ……いえ、頑固比べ、かしら?それだとしても、私との結婚を認めてくれなければ、當主、家なんて考えられないとまで言ってね」
「ま、まあ……」
「もう、ペティグリュー家も私の家もまいってしまってね……なかなか、お目にかかれない景だったわ」
そう語るお母様は、言葉は困っているように喋っているのに。表は、目じりがらかく緩み――お父様を思う溫かさが伝わってきて。
「最後は、お父様の粘り勝ち!本當に困っちゃう人なんだから……」
「は、はは……」
「でも、お父様の姿を見て――私ね。どんな困難なことでも、當たってくだけるのって、とても素敵だなと思ったの」
お母様の言葉にドキッとが跳ねる。そして、お母様はナタリーと視線を合わせて。
「ねえ、ナタリー。あなたは、覚悟をもって公爵様のもとへ行きたいのかしら?」
「……わ、わたし、は」
見つめ返すように、ナタリーは。問いかけてきたお母様の方へ、しっかりと目を見つめ。
「……私は、閣下のもとへ行きたいです」
自分が思うより、はっきりとそして。するすると言葉が口から出た。その言葉を聞いたお母様は、途端に笑みを消し。
「……それがもしかしたら、自分の命の危険を伴うような場所で――周りが悲しむことになっても?」
「……っ」
真剣な表で、ナタリーに相対する。命の危険は確かに怖い――しかしそれ以上に、両親の悲しむ姿が脳裏に浮かび。思わずひるんでしまう――そんならかくない雰囲気で、軽んじて言葉を出せない重さをじながら。
それでも、頭に思い浮かぶのは――。
「そうだとしても。私は、閣下のもとに行きたいのです……っ」
「……そうなのね」
自分の素直な気持ちを口に出せば。思いのほか、ストンと理解できて。それと同時に、自分のこの気持ちが、周りを悲しませる事実に痛みをじる。しかし、自分のこの気持ちを諦められるのか――そう自問自答すれば。
(諦めることは、できないわ)
はっきりとした自分の心に、納得をし。自分へ喝をれるように、一度大きく息を吸う。再び、お母様を見つめれば。い表をしたお母様がそこにいて。
ピリピリとした時間が続く――と思ったその瞬間。
「ふっ。ふふ……」
「お、お母様?」
「あ、笑ってしまって……ごめんなさいね。あなたの顔が、昔のお父様にそっくりで」
「えっ?」
お母様は、今までの表を崩し――どこか嬉しそうに、ナタリーを見つめる。
「母としては、娘に危険な、無茶なことはしてほしくないわ――けれど、それ以上に」
そして、お母様はナタリーの肩にそっと手を置き。
「一人のとして――誰よりも、心からナタリーを思うとして。公爵様のもとへ行きたいあなたを応援するわ」
「お母様……」
またじんわりと、目頭が熱くなるナタリーとは反対に。お母様は、お茶目にウィンクをしてきたのだった――。
お読みくださりありがとうございます!
⭐︎の評価を下さると、勵みになります。
よろしくお願いします!
《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~
KADOKAWAの『電撃の新文蕓』より書籍化されました。2巻が2022年5月17日に刊行予定です!コミカライズも決定しました。 この世界では、18歳になると誰もが創造神から【スキル】を與えられる。 僕は王宮テイマー、オースティン伯爵家の次期當主として期待されていた。だが、與えられたのは【神様ガチャ】という100萬ゴールドを課金しないとモンスターを召喚できない外れスキルだった。 「アルト、お前のような外れスキル持ちのクズは、我が家には必要ない。追放だ!」 「ヒャッハー! オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽど跡取りにふさわしいぜ」 僕は父さんと弟に口汚く罵られて、辺境の土地に追放された。 僕は全財産をかけてガチャを回したが、召喚されたのは、女神だと名乗る殘念な美少女ルディアだった。 最初はがっかりした僕だったが、ルディアは農作物を豊かに実らせる豊穣の力を持っていた。 さらに、ルディアから毎日與えられるログインボーナスで、僕は神々や神獣を召喚することができた。彼らの力を継承して、僕は次々に神がかったスキルを獲得する。 そして、辺境を王都よりも豊かな世界一の領地へと発展させていく。 ◇ 一方でアルトを追放したオースティン伯爵家には破滅が待ち受けていた。 アルトを追放したことで、王宮のモンスターたちが管理できなくなって、王家からの信頼はガタ落ち。 アルトの弟はドラゴンのテイムに失敗。冒険者ギルドとも揉め事を起こして社會的信用を失っていく…… やがては王宮のモンスターが暴れ出して、大慘事を起こすのだった。 舊タイトル「神を【神様ガチャ】で生み出し放題~「魔物の召喚もできない無能は辺境でも開拓してろ!」と実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします。え、僕にひれ伏しているキミらは神様だったのか?」 第3章完結! 最高順位:日間ハイファンタジー2位 週間ハイファンタジー3位 月間ハイファンタジー5位
8 105【書籍化作品】離婚屆を出す朝に…
書籍化作品です。 加筆修正した書籍のほうは、書店での購入は難しいですがネットではまだ購入できると思いますので、興味を持たれた方はそちらも手に取って頂ければ嬉しいです。 こちらのWEB版は、誤字脫字や伏線未回収の部分もあり(完成版があるので、こちらでの修正は行いません。すみません)しばらく非公開にしていましたが、少しの間だけ公開することにしました。 一か月ほどで非公開に戻すか、続編を投稿することになれば、続編連載の間は公開します。 まだ未定です。すみません。 あらすじ 離婚屆を出す朝、事故に遭った。高卒後すぐに結婚した紫奈は、8才年上のセレブな青年実業家、那人さんと勝ち組結婚を果たしたはずだった。しかし幼な妻の特権に甘え、わがまま放題だったせいで7年で破局を迎えた。しかも彼は離婚後、紫奈の親友の優華と再婚し息子の由人と共に暮らすようだ。 思えば幼い頃から、優華に何一つ勝った事がなかった。 生まれ変わったら優華のような完璧な女性になって、また那人さんと出會いたいと望む紫奈だったが……。 脳死して行き著いた霊界裁判で地獄行きを命じられる。 リベンジシステムの治験者となって地獄行きを逃れるべく、現世に戻ってリベンジしようとする紫奈だが、改めて自分の數々の自分勝手な振る舞いを思い出し……。 果たして紫奈は無事リベンジシステムを終え、地獄行きを逃れる事が出來るのか……。
8 186ニゲナイデクダサイ
主人公の聖二が目にしたもの。 それは、待ち合わせしていたはずの友人…… ではなく、友人の形をした"何か"だった。 その日をきっかけに、聖二の平和な日常は崩壊する。
8 58死神と呼ばれた殺し屋は異世界に
「暴力団」、「犯罪組織」、「反政府テロ組織」、 それらを中心に殺す政府公認の殺し屋、通稱「死神」 その正體は高校生の夜神 佑。 そんな死神が異世界にクラスで転移される。 元の世界で培った殺し屋としてのスキルと転移したことで手に入れたスキルで彼は生きていく。
8 68転生したら龍...ではなく世界最強神獣になってた(何故?!)
普通に日本で暮らしている同じ高校の三人組 青城疾風 黒鉄耀 白崎脩翔はゲームショップに入ったはずが全く知らない所に來てた(´・ω・`) 小説でお馴染みの異世界に行くことになったので神様にチート(かもしれない...)を貰ってみんなで暴れるお話です!それでは3人の異世界ライフご鑑賞ください!(作品は橫書きで読んでください(〃・д・) -д-))ペコリン)
8 120気紛れ女神にもらったスキルで異世界最強になる(予定)
今まで、色々な作品を書いてきたが、途中でネタ切れなどになり、中途半端に辭めてしまった。 この作品はやれるだけやってやる
8 157