《【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~》第269話 ブラン・ディッドル

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まさしく天を衝くとはこのことだろう。

その巨人族は見上げるほど大きかった。

「…………!」

アンリは息を呑む。

これまで自分より大きな魔獣を幾度も倒してきた。

自分よりも頭二つ長差がある巨漢とも戦ってきた。

だが、今アンリの目の前に聳えるそれは、魔獣とも巨漢とも違う。

いや、高さが問題などではない。

その見上げるような巨軀以上に、圧倒的な存在そのものにおののいたのだ。

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「ブラン……殿…………」

初めて出會ったわけではない。

この作戦が始まる前に、1度だけ挨拶をわしている。

その時も大きいとは思ったが、戦場で見るとまた違う。

ブラン・ディッドル。

五英傑の1人にして、世界的にも珍しい巨人族の生き殘り。

21歳と若いが、なんと6歳の頃から戦場に出て戦ってきたという。

歳こそ今年19歳になるアンリと変わらないが、戦歴ならば遙か上を行く。

そして、その異名は【鉄槌(パイル)】。

が大きな金鎚であることからも、その異名が付いた意味がわかる。

しかし、未だにアンリはそのブランが戦ったところを見たことがない。

そもそもブランの噂を、これまであまり聞いたことがない。

五英傑は【勇者】ルーハス・セヴァットとともに、どれも曲者揃いだ。

驚異的な膂力を有する【破壊王】イーニャ・ヴォルフォルン。

死者すら治すと言われる【聖】エラルダ・マインカーラ。

五英傑をまとめ上げ、軍略家でもある【軍師】ルネット・リーエルフォン。

いずれも活躍は音に聞く一級品の冒険者たちである。

だが、こんなに大きなブランの名前だけは聞かない。

聞くのは、その【鉄槌(パイル)】という騒な異名だけだ。

「ん? どうしたの、アンリ姫?」

自分のぐらいあるブランの目玉が、アンリを捉えていた。

本人は十分気を遣っているのだろうが、アンリは小さく悲鳴を上げてしまう。

そのリアクションの意図がわからず、ブランは首を傾げた。

気を悪くはしていないようだが、前髪が長すぎて、どうも表が読みにくい。

だから余計、2つの眼が異様に思えてしまう。

「姫……」

察したのかリーマットが聲をかけると、ようやくアンリは気を取り直す。

「すまない。ブラン殿、助太刀謝する」

「おおお、オレもお姫様を助けられて嬉しい。英雄みたいだ」

「英雄みたいとは……。ブラン殿はすでに五英傑という英雄ではありません」

「そそそ、そんなことはない。オレ、英雄じゃない」

ブランは慌てて否定する。

ルネットから紹介された時からこんなじだ。

消極的というか、ブランには自分を過小評価しているところがある。

かなりの戦績を殘しているはずなのに、自信がないというのは、どういうことだろうか?

ブランは首を捻る。

すると、ドッと轟音が響いた。

黒炎を纏った人の鳥が、アンリとブランの間に割ってるように突撃してくる。

蘇雀(すざく)だ。

アンリは戦場であることを忘れたわけではない。

寸前のところで躱す。ブランも同様だ。

2人がいた場所は、黒炎が立ち上り、土を溶かす。

強力な炎はれれば、骨ごと溶かされるだろう。

「そ、そそそ、それよりもどうする、お姫様?」

「どうする、というと?」

「あいつ、空を飛んでる。オレ、飛べない」

「は、はあ……」

「オレ、飛べないけど……。でも――――」

地上では最強……!

ブランの目が再びる。

アンリの背筋がぞくりと震え、また息を呑んでしまった。

口を開く度にどもりがっているのに、そこだけは明確に聞こえたからだ。

「なるほど。つまりブラン殿はこう言いたいのですね。まずあの黒い怪鳥を地上に落とす必要があると」

「そう。後はオレに任せろ」

ブランはを叩く。

ブレストプレートが質な音を立てた。

「あ。でも、1つ訂正」

「他に何かあるのですか?」

「オレ、地上で最強違う」

「え?」

「最強はヴォルフ・ミッドレス。あの人は強い」

「ヴォルフ殿を知っているのですか?」

質問してから、それはそうかと思った。

ヴォルフはルネットの招きで反軍に招かれていると聞いている。

王都からやって來たアンリとは、すれ違いになってしまったが、出會っていてもおかしくないはずだ。

「ヴォルフ殿、すごい。オレ、ファン」

「え? ヴォルフ殿のファン?」

「あの人の噂は々聞いた。それ聞いて、オレ――ファンになった」

五英傑で、【鉄槌(パイル)】と言われているブランが?

一瞬呆けるアンリだったが、すぐ口元を緩めて笑った。

「私と同じですね」

「お姫様もヴォルフ殿のファン?」

「ええ! 大ファンです。だから、私は行かなければなりません。あの人が戦う王都へ……。今度は逃げない」

今度こそ、最後まで見屆けてみせる!

アンリは深く心に誓う。

構えを見て、ブランは笑った。

「なら、ブランも一緒に行こう」

「いいのですか?」

「オレもあの人が戦うところを見てみたい」

今度ははっきりとわかった。

ブランは笑っているのだ。

それに応じるように、アンリもまた笑う。

「なら一緒に行きましょう。ヴォルフ様の元へ。やるぞ、リーマット、ダラス」

アンリは勇ましく部下に聲をかける。

「やれやれ、どういう共闘なのだか」

「いや、これこそがアンリ姫ですよ」

リーマットは頭を掻く一方、ダラスもまた口を開けて笑う。

こうして【鉄槌(パイル)】ブラン・ディッドルと、『葵の蜻蛉(ブルー・ブライ)』の即席パーティーは結されたのだった。

昨日、COMICメテオのサイトでコミカライズ12話(後編)が更新されております。

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