《悪魔の証明 R2》第69話 046 シロウ・ハイバラ(1)
「ああ、これはこれは。申し訳ございません。よく聲は若いと言われるんです」
エヴラの臺詞を今認識したのだろうか、ミスクはようやく口を開き言う。
今度は年利相応にしゃがれ聲。だが、場がほっとした雰囲気に包まれたのは束の間だった。
老婆がまた異様な発言をする。
「そうです。ダスティン、私の息子です」
また話が逆戻りしてしまった。
舞臺袖から現れて以降の行を鑑みると、この老婆はやはり多ぼけているのかもしれない。
老婆の振る舞いを見た俺は、そう分析した。
一方のエヴラは呆れた吐息をつく。
「そうですよ。ダスティンさん。彼は今ロサンゼルスの靴工場で働いてらっしゃるそうです。近々ご結婚なさるそうですよ」
と、若干投げやりに言う。
「ああ、それは、良かった。本當に心配だったんです。あの……もうひとつお聞きしてもよろしいですか?」
ミスクは前へと上半を曲げながら尋ねる。
「え、もうひとつですか」
エヴラは面倒臭そうに言う。
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だが、思い直したのか、「どうぞ」と了承しながら、手を前に差し出した。
「私、息子に會えますか?」
床に顔を向けたまま、ミスクが訊いた。
「息子さん……ダスティンさんですね。ええ、もちろん會えますとも」
エヴラがにこやかな顔をして答える。
「それは良かった。で、エヴラさん。それはいつになりますでしょうか?」
しミスクが嬉しそうな聲を出す。
「後、三ヶ月もすれば、息子さんから會いに來ますよ」
和な顔を崩さすにエヴラは言う。
だが、その造り笑顔はすぐに不機嫌な表へと変貌を遂げた。
「はい?」
と、ミスクがまた訊き返したからだ。
「――だから、息子さんにまた再會できると言っているのです」
語気を若干荒げて、エヴラは斷言した。
しざわつく観覧席。だが、その後さらに場が凍りつくような事態が発生した。
「エヴラさん……それはおかしいわね」
ミスクがなぜか急に低い聲を出す。
「何がおかしいんですか?」
エヴラはそう訊き返すと、し肩をすくめた。
「だって、會えないもの」
すぐにミスクがそう言葉を返す。
「會えないとはどういうことでしょうか? 霊が……」
「そうよ、エヴラさん」
と食い気味に、ミスクは聲を吐く。
若干また聲が若返ったような気がした。
「いえ、そうよと言われましても」
エヴラが困のを表に浮かべる。
「殘念なことに會えないの――なぜなら、私に息子なんかいないのだから」
ミスクは吐するような口調で言った。
「息子がいない?」俺は畫面に映るふたりを見つめながら聲をらした。「……何をまたボケたことを言っているんだ、このお婆さんは?」
と、次の瞬間には訝る。
「ミスクさん、何を仰っているのですか。あなたには、ダスティンという立派な息子さんがいらっしゃるではないですか。霊には見えているのですよ、ダスティンさんのお姿が」
當然、エヴラも強い口調で反論する。
相手にしていられないとばかりに、大きく溜め息をついた。
それが気に障ったのか恐怖を覚えたからかはわからないが、この後ミスクは黙り込んだまま何も反応を見せなくなった。
束の間の靜寂が訪れる。
そして數秒を経た頃に、観覧席から微かなざわめきがれ出した。これでは番組の進行に支障をきたしてしまう。それも當然だった。
だが、あるの聲が、その暗雲立ち込めたスタジオの空気を切り裂いた。
「ミリア、もういいわ」と、聞き慣れたその聲。「エヴラ・タルカス。導師、でよかったかしら? 殘念ね。あなたが知っているダスティンも、そしてミスクというもこの世には存在しない」
その臺詞が終わった瞬間、テレビ畫面の中に雪のような白いを持つが映り込んだ。
言わずと知れたレイ・トウジョウだ。
「エヴラ。何もあなただけが、トリックを使っているわけではないわ」
と、レイは続け様に言う。
この臺詞にエヴラが明らかに狼狽えた表を見せる。
「な、何のことですか、ミセス・レイ・トウジョウ」
その後懸命に取り繕いながら、とぼけた聲をあげた。
彼のこの口ぶりから推測すると、彼は以前からレイのことを知っていたようだ。
トゥルーマン教団の中でレイは組織を脅かす存在のひとりとして數えられているから、彼が彼を認識しているのも當然かもしれない。
「エヴラ。あなたがいつもおっしゃっているその霊のようなものは、目の前にいるミスクの正を教えてくれなかったのかしら。おかしいわね。ええ、とてもおかしい」
「ミスクの正……とは?」
「あら? 霊はあらゆる事象について、あなたに答えを教えてくれる存在であるはずではなかったのかしら? その霊さんは未來は教えてくれるのに、とても近くのものは教えてくれないのね。クス、おかしな……」
レイの言葉はそこで止まった。
「――お、おい、コマーシャル。早くしろ」
エヴラがレイの臺詞を遮るかのようにんだからだ。
はい、とスタッフの地聲がすぐにテレビのスピーカーから聞こえてくる。
それで番組は一度中斷するのかと思ったが、なぜか畫面はスタジオを映し出したまま切り替わる気配を見せなかった。
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