《悪魔の証明 R2》第71話 046 シロウ・ハイバラ(2)
ククッと、レイは笑う。
とはいえ、表にあまり変化はない。
テレビの畫面に映る彼の姿を見た俺は、すぐにジョン・スミスの仕業だと直した。
そう思った矢先に、畫面が急にミスクへと寄った。
彼の全を舐め回すように映し出す。
このような演出を番組スタッフがやるはずもない。
やはり、テレビ局のアイ・モスキートはジョン・スミスによってハックされている。
俺の直はこの時確信に変わった。
その次の瞬間、ぱさりとミスクが著を大袈裟にぎ捨てる。
シャツに張り付いたいた大きなを現したかと思うと、顔から紙のようなものをはぎ取った。
現れたのはもちろんミリア・リットナーその人だ。
「エヴラさん。ごめんなさい。いわゆる特殊メイクというやつなの」
舌を軽く出しながら、悪びれずに謝罪した。
一方のエヴラはミリアの顔を視界にれたせいか、信じられないといった表をする。
「アイ・モスキート、この資料を映して」
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レイがそう命令すると、指示通り畫面は彼の手元へと移した。
「この資料は、ミスク・フランソワーズに関する資料よ。私のスタッフが適當に書いたプロフィールが記載されているわ。現住所、舊市街地七七ー三二四五、年齢八十四。ダスティン・フランソワーズという息子がロサンゼルスの靴工場で働いているが、連絡不能。夫ジェロニモとは、死別。以上ね。エヴラ、先に教えておくけれど、無論あなた方に提出したこの資料は偽よ」
と、続けて説明する。
「そんなことはありえない。いや、まさか――う、裏切りか……」
エヴラはぼそりと呟いた。
すぐに背後へと顔を向ける。
この言葉とタイミングを合わせるかのように、カメラはその方角にいたと思われる番組スタッフと思しき人を映し出す。
カメラに寄られたのに気がついたのか、そのスタッフは、いえ、と焦った表で首を大きく橫に振った。
「私たちはミスクさんの家まで行って、彼がそこに住んでいることを確認しました。ええ、それは確かです。番組中に質問をするため、彼の知人にまで取材をしたくらいですから。彼はエヴラさんに渡した資料の通りの証言をされて……」
そこまで言って、あっと口を手で押さえる。
「資料だと? な、何を言っているんだ、おまえは」
エヴラが口から焦りの聲をらした。
そこで、スタッフの証言はもう不要とばかりに畫面はレイへと移る。
「ふふ、どうやらエヴラさんより先に、スタッフさんが認めてくれたようね」
頬に微笑を浮かべてから、レイは言う。
観覧席からは大きなどよめき。
この反応はある意味當然だといえた。観客は確かにほとんどがトゥルーマン教団のシンパだろう。だが、全國放送で事前に取材したことを認めたとあっては、エヴラの能力がトリックであると白日の元にさらしたようなものだ。
「さすがに、トゥルーマン教団の息がかかった自稱優秀なテレビスタッフさんたちも、ミスクの家や知人まで事前に用意されていては、ミスクが本だと信じて疑わなかったようね。でも、役所に確認に行かれていたら、し危なかったかもしれない――というのは冗談よ」レイが目を細めながら言う。「絶対にあなたたちはそんなことはしないという確信の元、この計畫を立てたのだから」
このレイの獨白に、エヴラは後ろへよたよたとよろめいた。
「これは……これは何かの間違いだ」
と、聲を震わせながら否定する。
だが、それを擁護するような観客の聲はスピーカーから一切聞こえてこなかった。
テレビの中には映らないが、おそらく彼らも俺やジゼルと同じくエヴラに白い目を向けているのだろう。
「間違いではないわ。これが紛れようのない真実というものよ」
レイはそう斷言してから、くびれた腰に手を當てる。
次に人差し指で、エヴラの顔を指した。
「そんな馬鹿な……」
うめき聲をあげながら、エヴラは床へと膝から崩れ落ちる。視點はそのままだったので、自分を追い詰めた白のを見上げる形となった。
「あなたはミスクの息子がロサンゼルスにいて、ミスクと連絡をとっていないことを知り、ミスクの年齢から彼が生きている間に會えない可能が高いと考えた。例え、會って自分の噓がバレたとしてもテレビに出演することはもう二度とないだろうから、それが人々に伝わる可能はない。そんな下衆な計算をして適當な予言をミスクに與えた。決して彼の人生に影響を與えない、そして、意味のない、ミジンコの方がマシなくらいの予言をね。言い訳できるものならしてみなさい、このクズが」
レイが冷徹に言い放つ。
彼から視線を切ったエヴラは、床に手をついて跪いた。そんな彼をめるかのように、彼の元へとカメラが寄っていく。
だが、この映像を撮影しているのは、ジョン・スミスがる死角がないアイ・モスキート。このプログラムでのみかされる無機質な機械には、あいにくそんなはない。
そして、それを証明するかのように、俺とジゼルが見つめる晶の畫面は殘酷なまでにエヴラという敗者の姿を捉え続けた。
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