《【電子書籍化】殿下、婚約破棄は分かりましたが、それより來賓の「皇太子」の橫で地味眼鏡のふりをしている本に気づいてくださいっ!》第22話 お互いに、初めてなことばかり
「……俺は結婚式の前日、後悔していないか、と聞いたが」
「違います、それは」
「それくらい分かってる。お前が本気でそう思っていたら、あんな言い合いになる前に婚姻は解消されているだろうな」
しだけ笑ったヴィクター様に、し無理やり微笑んでみせた。
それを察しているだろうヴィクター様は、気にしていないかのように言葉を続ける。
「実は、本當は、半分くらい、本気で聞いていた」
「……」
「俺が、結婚に不向きなことくらいは自覚している」
「え」
「俺は基本的に、人に行を制限されることが嫌いだ。もちろん必要とあれば他人の意見は聞くが、俺は俺の思うがままにきたいし、今までそれでうまくやってきた。皇帝になる人間が周りの人間の機嫌を伺ってばかりでは國がり立たないと分かっているからこそ、あえてそう振る舞ってきたところもある」
「ヴィクター様がそういう方であるのは、とっくに、出會った時から理解しています。……私は、それが嫌だと言ったつもりは、ありませんが」
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「……っだが、お前に出會って、堪らなくなって、隨分と迷走している自覚はあった」
あー、と低い聲でヴィクター様がく。
彼は、こうして自分の気持ちを言葉にすることが苦手だ。それが弱音というか、暗いであれば、尚更。私も、人のことは言えないけれど。
「どうしたら、喜んでくれるか。笑ってくれるか。何が好きで、何を俺に求めているのか。そんな風に人のことを気にしたのは、初めてだった」
「……」
「何もかもが初めてで、正直、何も分かっていなかった。お前を喜ばせたくて、お前のためにいていて、それが正解だと思っていた。だが俺は結局お前の気持ちを決めつけていただけで、だからこそ、自分の思う事を伝えることも、こういった対立が必要なことも、理解した。だから、言ってもらえて助かった」
ぼそり、と途切れ途切れに繋がれる言葉。
「……っああ違う。今回の件を正當化したいわけでも、言い訳したいのでもない。お前を泣かせたのは確かな事実だし、それについてはなんの言い訳もない。だが、決して、信頼していないとか、そういうことではなくて」
焦ったような早口に、耐えきれなくなって口を開いた。
「……分かってるんです」
「ああ」
「大切にされていることも、私のためを思ってくださっていることも、全て、分かってるんです」
「……俺も、お前が分かってるってことは、分かってたよ」
「そう、ですか」
「ああ」
躊躇いがちに、けれど決して逃げられない強引さで、ヴィクター様の指先が私の頬にれる。
わずかに殘っていた涙を、その指先が繊細に拭い取った。
「だから、お前に対してはこれ以上謝らない。きっと、罪悪というか、まあそういうを煽るだけだろう? 代わりに、約束する。俺が、必要だと判斷した時には、必ずお前に伝える。変な遠慮はせずに助力を求める。俺がお前を選んだのは、もちろんとして惹かれたというのもあるが、將來、俺の隣に皇妃として立つ人間として、これ以上相応しい人はいないと思ったからだ。だから、その、頼りにしている」
「……ありがとう、ございます。本當に、どれだけ私の気持ちを理解しているんですか」
こうして、しかった言葉をそのままくれるこの人が、結婚に向いていないだなんて、そんなはずはない。
「それを言うなら、お前もだろう」
ばされた腕が、ゆっくりと私のを抱いた。
「お前があれから謝ろうとしないのは、これ以上俺の傷口を抉らないように、だろ? 自分が悪いと思っている時に、相手から謝られるほど、辛いことはなかなかない。謝る方は、気が楽になるだろうが」
「……」
「お前には敵わないと、毎日のように思ってるよ」
私を抱きしめる腕に、しだけ力がこもった。髪にれる指先に、靜かに目を閉じる。
甘やかなふれあいが、溫かくて。
私もヴィクター様も、相手と協調してやっていくには、自我が強すぎる。けれど、それをお互いに自覚しているから、これからも大丈夫だろうと、楽観的にも思った。
幹にあるのは、絶対的な信頼だ。この人は決して私を見捨てるようなことはしないという、信頼。
気恥ずかしくなって腕の中でもぞ、とけば、しだけその力が緩んだ。するりと抜け出した私に苦笑しながら、ヴィクター様がそっと私の手を取る。
「戻るか」
「はい」
ゆっくりと、2人でライアン様とレオの元に戻り。
心配半分、困半分といった様子のライアン様と、野次馬九割九分九厘、心配ごくわずか、といった様子のレオに迎えられて、丁寧に謝った。
気にしていない、と笑うライアン様の優しさが、ありがたかった。また見せて、と言うレオには、冷たい視線の奧にほんのわずかの謝を込めて返した。
そうして、1日をまたヴィクター様の腕の中で過ごして、私たちの視察という名の新婚旅行は終わった。
帝都にある城へ帰る道のりは、行きよりずっと短くじられた。
それから、數日が経った頃。
きちんと話す、とただ一言だけ伝わってきたヴィクター様の連絡に、半分呆れながら彼の執務室へ向かう。相変わらずの報連相の適當ぶりに笑ってしまうが、きっとそれでも伝わるだろうという信頼があるのだと思えば、悪い気もしないから困ったところだ。
「おう、アイリーン」
機の上に広げられた大きな地図に片手をついて、ヴィクター様は私を待っていた。
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