《【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】》4.癒しの力

馬車は特に問題なく進んでいく。

王都までの一日、この調子ならのんびりと過ごせそうである。

魔獣や盜賊などは比較的ないルートを選んで進んでいる。

その為、あとは暇との戦いである。

地面を踏む蹄鉄の音だけが規則正しく聞こえてくる。

私は馬車の窓から見える景をぼんやりと見つめていた。

「このペースなら明日の夕方には著きそうですね」

王都には何度か行ったことがあるので、なんとなくの覚で分かったりする。

そして今日は何事もなく1日が終了した。

翌日、朝からまた出発する。

「このまま順調にいけばいいんですけどね」

まあ、しかしながら順調に進むことがほとんど無いのがこの世界のお約束とも言える。

それでも今のところは特に問題なく進んでいた。

「お嬢様、前方で何やら異変があるようです」

者臺の方からラルフの聲が飛んできた。

「分かりました。ゆっくり進んでください」

「かしこまりました」

私の指示によって、馬車はスピードを緩めていく。

「何やら戦闘があったようですね」

者臺からラルフが言った。

外の様子を見ると負傷している兵士が數十人ほど倒れ込んでいた。

「そのようですね。馬車を停車してください」

「承知しました」

私の言葉により馬車は完全に停車した。

「ちょっと皆さんを回復してきます」

「お嬢様、外は危険です」

ラルフの制止も聞かず、サクラは馬車から飛び降りた。

私は現場に近づいて狀況を確認していく。

兵士の多くは重傷者が4人軽傷者が11人と言ったところである。

「今から皆さんの傷を癒します」

『エリアヒール』

私は軽傷者の兵士を対象としたエリアヒールを展開する。

に包まれて徐々に傷が塞がっていく。

そして、重傷者の兵士には一人ひとり癒しの魔法をかけていく。

傷の狀況を確認しながら1番効率のいい回復をしていく。

すると、みるみるうちに傷が塞がっていった。

「傷が治っている」

「本當だ! けるぞ」

「あなたが回復してくれたんですか?」

目にかかる程度の金髪にき通るような青い瞳に整った顔立ち。

おそらく、こういう人がイケメンというのだろう。

「はい。そうです。無事、回復されたようで何よりです」

「ご挨拶が遅れました。私、メイル王國第二騎士団の副団長を務めておりますライムントと申します」

そう言うとライムントは綺麗に一禮した。

「サクラ・オーラルです。オーラル子爵が娘であります」

「本當に助かりました。後日、正式にお禮をさせて頂きたく思います」

「いえ、り行きで手を貸したに過ぎませんのでお気になさらずに構いませんよ」

そう言って私は馬車に戻った。

「出発してください」

「か、かしこまりました」

私の言葉でラルフが馬に鞭をれる。

すると、再び馬車がゆっくりと進み始めた。

「噂には聞いておりましたが、さすがはお嬢様ですね。あれほどの傷を癒してしまうとは」

「そうですか? あの程度でしたら普通ですよ」

私の癒しの魔法は何やら普通の回復魔法よりも効果が高いらしい。

何も特別なことはしていないのだが、なぜか通常の回復量よりも多くなるらしい。

そこからは特に大きな問題は起こらなかった。

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