《【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】》16.白の責任②

私は軽傷者を含めて全員を治療し終えた。

幸いなことに死者はまだ見ていない。

赤龍が討伐されたという現場まで行くと、騎士たちが後片付けをしていた。

その指揮を取っているのがライムント副騎士団長であった。

「お疲れ様です」

私はライムントさんの近くまで行くと聲をかけた。

「サクラさん。お疲れ様です。無事でよかったです」

「私は、前線には立ってないですから大丈夫ですよ」

ライムントさんはちょっと心配しすぎでは無いだろうか。

「ライムントさんも無事で何よりです」

、服や鎧に汚れやり傷などはあるものの大きな損傷は無いらしい。

「私は、大丈夫です。しかし……」

ライムントはし目を伏せた。

その時、擔架が私のし橫を通りすぎた。

顔には白い布がかけられている。

そして、白い擔架はが滲んでいた。

それを見て、私は心を痛めた。

“また“、間に合わなかった……

「見るな」

私はライムントに抱き寄せられた。

後頭部にはライムントの手がポンと置かれた。

「あなたは、生きている者だけを見てください。彼は、即死でした。サクラさんが気に病むことは無い」

「はい……」

彼もし前までは生きていたのだ。

しかし、死者を蘇生することはできない。

死者を蘇生する魔も無いことは無いのだが、それは忌の魔とされている。

「まだ救護テントに運べていないだけで怪我をしている者もいます。お疲れでしょうが、診ていただけませんか?」

「分かりました!」

私は、まだ診ていない患者さんを診る。

「醫師のサクラと言います。ちょっとみせてもらってもいいですか?」

「は、はい」

「立たなくて大丈夫ですよ。そこに座ってください」

私は患者さんを座らせた。

「どこが痛いですか?」

「あ、足が……」

その男は右足を指差しながら言った。

「ちょっとりますね」

そう言うと私は男の右足を膝から下に向けて診していく」

「うぅ!!」

騎士服にを包んだ男は苦痛に顔を歪ませた。

「骨折していますね」

足の骨が完全に骨折していた。

しかし、骨折だけなら回復魔法で何とかすることができる。

「すぐ治しますからね」

私は骨折箇所を修復するイメージで回復魔法をかけて行く。

「痛みが、引きました」

回復を終えると男した様子で言った。

「よかったです。お大事にしてくださいね」

私は微笑みを浮かべて口にした。

「本當にありがとうございます!!」

そこから、私は軽傷者を含めて20人ほどを治療した。

「サクラさん。お疲れ様でした」

「お疲れ様です」

ライムントさんの方も赤龍の後片付けが終わったようであった。

「みんな、サクラさんに謝していますよ。私からも謝を」

そう言うと、ライムントさんは私の頭にポンと優しく手を置いた。

「では、戻りましょうか」

「はい!」

私たちは赤龍によって破壊された村を見に行くことにした。

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