《【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】》19.陛下の提案

翌日、私は陛下からお呼び出しをけていた。

やはり、陛下と直接會うのは張する。

私は王宮の応接間へと向かうべく歩いていた。

その時、見覚えのある赤髪の男が正面から歩いて來た。

「もう、良くなったんですね」

「サクラ先生。お世話になりました。自己紹介がまだでしたよね。第二騎士団のクルトと申します」

その表を見る限り、すっかり回復しているようであった。

あの時はほとんど致命傷になるほどの怪我であったのに凄い回復力である。

「私が今生きているのもサクラ先生のおかげです」

そういうと、クルトは片膝を床につけた。

「この命は既に陛下に捧げております。しかし、この剣が屆く範囲で必ず私が貴方をお守りすると誓いましょう」

「ありがとうございます。とりあえず、恥ずかしいので立って下さい」

先程から好奇の目でこちらを眺めている従者たちがいた。

「失禮しました。それでは、私はこの辺で」

「はい。これからは、あまり無茶はしないようにしてくださいね」

私は醫師としての忠告をれた。

「承知しました。もう、先生のお世話になるような大怪我をしないように気をつけます」

そう言うとクルトはその場から離れて行った。

「さて、私も行きましょう」

そう言うと私は応接間へとった。

従者に聞いたらここでしばらく待っていてくれとの事だった。

ソファーに腰を下ろした。

しばらく座っていると、応接間の扉が開いた。

「お待たせしてしまったね」

私は陛下の姿を見ると立ちあがろうとした。

「そのままで構わん。正式の場ではないからな」

立ち上がろうとした所で陛下に手で制止された。

そして、陛下は私の正面にあるソファーに腰を下ろした。

今年で陛下は50手前だったと記憶している。

これがいわゆる『イケオジ』というやつだろう。

「まずは、討伐任務ご苦労だった。報酬だ」

陛下は革の袋を機の上に置いた。

音から察するに貨がっているのだろう。

「ありがとうございます」

私はその袋をけ取った。

「えっ」

思わず聲が出てしまう。

「何だ? 足りなかったか?」

「い、いえ。これは流石にもらい過ぎでは?」

この世界では普通の職業の年収に値するほどの金貨がっていた。

「サクラくんの働きは騎士団長や副騎士団長に聞いている。この報酬に十分値する働きだと思うがね」

恐らく、ここで陛下とめたら明日の朝になってしまうだろう。

陛下は絶対に引かない。

そういう人だ。

「分かりました。これは頂いていきます」

「ああ。これからの生活の足しにでもしてくれ」

これだけあったら向こう3年は暮らして行けるとは思う。

「それで、用件というのはこれだけですか?」

陛下からは話があるとしか聞かされていなかった。

「いや、話はもう一つある」

「もう一つですか?」

「ああ、そうだ」

陛下はソファーに座り直した。

「サクラくん、王都の病院で醫師として働いてはくれないだろうか?」

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