《【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】》29.風土病の治療へ

領主邸の前で馬車は停車すると、私はライムントさんに手を貸してもらい、馬車を降りた。

そして、屋敷の玄関へとライムントと2人で向かった。

すると、玄関の扉が使用人の手によって開けられた。

「王國騎士団の方とお醫者様ですね。旦那様がお待ちです。こちらへどうぞ」

使用人は屋敷の中を案してくれる。

私たちは応接間のようなところに通された。

「旦那様、王國騎士団の方とお醫者様をお連れしました」

「うむ、ご苦労だった」

応接間にると、そこには白髪頭で髭を蓄えたおじいさんがソファーに座っていた。

「座ったままで失禮する。お二方もお掛けになってくれ」

領主様に促されて、私たちは対面のソファーに腰を下ろす。

「遠いところまでご足労いただきまずは謝する。私がこの街の統治を任されているジール・ウェルンと申します」

そう言って、領主様は軽く頭を下げる。

「とんでもございません。王國第二騎士団で副団長を務めております、ライムントと申します」

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「王宮醫師のサクラ・オーラルです」

「お二人のお噂は我が領地にも屆いておりますよ」

領主様は優しい聲で言った。

「ライムント氏は優秀な騎士で剣の腕も一流で、サクラ氏は癒しの魔師でありながら醫師資格も持つ大変優秀なお醫者さんだと聞いています」

私の名前はこの國ではかなり有名なところまできてしまったようだ。

無論、ライムントさんは騎士として優秀すぎるほどである。

おまけにこのルックスの為、からも人気が高いらしい。

とかはいないようだが。

「恐です」

「ありがとうございます」

「今日はもう暗くなりますから、お二方はうちに泊まっていくといい。他の騎士団の方もご一緒にどうぞ。部屋は余ってますから」

領主様は奧様に先立たれ、娘さんは貴族の元に嫁いでしまった為、今は1人で暮らしているらしい。

「では、お言葉に甘えさせてください」

「うむ。久しぶりに賑やかになりそうでワシも嬉しいよ」

私たちは領主様のご好意に甘えることにした。

そして、今日はもう遅いので、本格的な治療や原因を探って行けたらと思う。

ライムントさんたち騎士団の討伐任務も明日からだったはずである。

翌日、私は早朝に起き出した。

「おはようございます」

「ああ、サクラ先生おはよう」

ジール領主はすでに起きていた。

「お早いんですね」

「何、年寄りは早起きが得意なんだよ」

自嘲するように笑いながら領主様は言った。

「早速で申し訳ないんですが、風土病に染した患者さんはどちらに?」

「それなら、街の教會と中央病院にいる」

より重い癥狀の人は病院で治療をけているとのことだ。

「分かりました。早速診察に行って來ようと思います」

私は白を羽織った。

「よろしくお願い致します。病院と教會にはうちの使用人に案させよう」

「助かります」

この街に來たのはほとんど初めてなので、案があるのは正直助かる。

「案してやってくれ」

領主さまは使用人の1人に指示を出した。

「かしこまりました。サクラ様、ご案いたします」

私は、屋敷の使用人の案でお屋敷を出た。

ライムントさんたち、騎士団はすでに討伐任務に出向いているらしい。

「こちらが病院になります」

領主邸から10分とし歩いたところに、中規模くらいの病院があった。

「ありがとうございます」

私は病院の中に足を踏みれた。

すると、白を著た私の前に初老の男がやって來る。

「サクラ先生ですね」

「はい。サクラです」

「ご足労いただき、ありがとうございます。ここの院長のガルンと申します。この度の事態に私ではどうにも対処しきれなくて」

どこの街も慢的な醫師不足には悩まされている。

この街もその例外ではないのだろう。

「醫師は院長先生、お一人ですか?」

「いえ、私の他にもう一人おりますが、今は教會の方に行っております」

「なるほど。分かりました。患者さんを診せてもらってもよろしいでしょうか?」

「はい、こちらです」

私は2階のベッドが並んでいるスペースに案された。

そして、私は一人ひとり患者さんを診察していく。

「こんにちは。醫師のサクラと言います。どこが苦しいですか?」

「む、が」

30代前半と思われるが掠れるような聲で口にする。

「ちょっとりますね」

異常な発汗に脈も早くなっている。

明らかにおかしいし、このまま放ってはおけない癥狀である。

「他に辛いところはありますか?」

私が尋ねるとそのは首を橫に振った。

し熱もあるらしい。

「回復魔法をかけますね」

私はに癒しの魔法をかけた。

すると、癥狀がし落ち著いた。

「治ったんですか?」

院長が私を覗き込むようにして聞いてくる。

「いいえ。癥狀を一時的に抑えたに過ぎません。本の解決にはなっていないかと」

やはり、回復魔法で完治するほど甘くはないようである。

これを完治させるには薬を調合しなければならないだろう。

私は、応急処置として全員に回復魔法をかけて癥狀を落ち著かせた。

し落ち著いたようですから、私は教會の方にも行きます。何かあればすぐに呼んでください」

「分かりました!」

院長の言葉を聞いて、私は教會の方へと案してもらうことにした。

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