《【書籍化&コミカライズ】私が大聖ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります(原題『追放された聖は、捨てられた森で訳アリ青年を拾う~』》10 おうちはどこですか?

「さてと、夜も遅い。順番に火の番でもするか。君は先に眠るといい」

ルードヴィヒがリアにそう聲をかける。

「いいえ、火の番など必要ありません」

「え?」

リアは霊に祈りを捧げ始めた。

霊アルセイデスよ。どうかご加護を』

すると二人の周りを囲むようにらかく小さながいくつもが現れた。それを見たルードヴィヒがぎょっとする。

「これは……いったい?」

「安心してください。朝までこのが魔たちに気付かれないように私たちを隠してくれます。それから、焚火も見守ってくれることでしょう」

いつものように霊の加護をけられたことにリアはほっとした。見放されたわけではなかったようだ。

誰かに強制されることもなく、食べたいときに食事をし、眠くなったら床に就く。ただそれだけの事で幸せをじた。この森はリアに安らぎを與えてくれる。とても住み心地がよさそうだ。

追放初日だというのに、リアは數年ぶりに心安らかに眠りについた。

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ルードヴィヒがしばらく不思議そうに彼を見つめていた事にも気づかずに……

翌朝、し離れた場所から聞こえる魔の咆哮で目が覚めた。ヒポクリフだろうか。リアは慣れたもので、じることなくゆるりとびをする。

(ここは森の中だ。そして、私は自由)

いつものように霊に祈りを捧げ、加護を願う。

『水の霊、ウンデーネよ。どうかご加護を』

するとリアの前にコポコポと小さな泉が湧いた。それで手を洗い、をうるおす。

昨夜は魔だったので、今朝はレオンから貰った、干した野菜やフルーツを食べることにした。ルードヴィヒにも分けてあげよう。

ふと嫌な予がして、焚火の反対側でマントにくるまり眠っている彼を覗き込む。呼吸が早く淺い、息苦しそうだ。昨夜は隨分よさそうだったのに……。

「ルードヴィヒ様、お加減が悪いのですか?」

リアが聲をかけると薄っすらと目を開く。

「ああ、リアか……大丈夫だ」

しも大丈夫な様子はなく、熱があるようだ。リアはすぐにヒールをかけた。するとし気分がよくなったようなので、水をゆっくりと飲ませる。

「ありがとう。もう充分だ。私に構う事はない。……先に森を出ろ」

彼はそう言うが、一人で放っておけるような狀態ではない。

「……どうして、治らないの」

リアは不安になり、聖が絶対に言ってはいけないと教え込まれた言葉がついこぼれ落ちる。

「いつものことだ。ただの持病だよ。ヒールをかけてもらって楽になったのは初めてだ。だから、私のことは気にするな、先に森を……」

「ルードヴィヒ様、あなたのお家はどこですか?」

「え?」

が弱っているときは心細くなるものです。私があなたの家までお送りします」

「何を言っている。君にそこまでしてもらう必要は」

固辭する彼の言葉をリアが遮る。

「あなたの國はどこですか? どちらに向かえばいいのか教えてください。」

リアの記憶では、この森は三つの國に接している。

「え? 君はいったいどこから……」

「ルードヴィヒ様の國はどちらですか?」

もの問いたげなルードヴィヒを置き去りにリアは質問を繰り返す。

「……クラクフ王國だ」

リアは、神殿関係のことしか習っていないので、一般教養に大きながある。地理などはほとんど學んでいない。隣國という事は分かるが、名前を知っているだけで、正確な位置も分からないし、そこがどういう國で、この森をどちらに進めば出られるのかは分からない。

「どちらに進めばよいのでしょう? 指し示してもらえますか」

ルードヴィヒは西を指さす。

「馬もなく私の足ではこの森を抜けるのに三日はかかる。だから君は私のことなど気にせずに、自分の家へ帰ってくれ。どこから來たのかは知らないが、君は外國の人なんだね?」

いつの間にか國境をこえていたらしい。ここはクラクフ王國のようだ。リアはルードヴィヒの言葉に曖昧に頷く。

「西へ向かえばクラクフ王國に出るのですね」

「ああ、そうだが……」

「ルードヴィヒ様、私があなたをお連れします」

「いや、この近くに村はないし、馬も調達できないぞ。私と一緒では時間がかかる」

ルードヴィヒは、通りすがりのにそこまでさせらないと思い再度斷った。

「大丈夫です。私には何の予定もありませんから。そんなことよりもお急ぎですか?」

「まあ、なるべく早く帰りたい。リア、予定がないというならば、伝言を頼みたいのだがかまわないか? 家のものに心配をかけたくない」

「それなら一緒に帰りましょう」

ルードヴィヒはリアの勢いにし押され気味となる。親切だが、意外に人の話を聞かない娘だと思った。

「ありがとう。気持ちだけけ取っておく。私はしばらくここで休んでいくよ」

「お任せください。私があなたを擔いで帰ります」

「え? いや……無理だろ」

斷言するルードヴィヒをよそに、リアは霊に祈りを捧げ始めた。

霊フェノゼリー、私に加護を。どうか強くして」

祈りが終わるとリアは荷ともに、ルードヴィヒを軽々と擔ぎ上げる。

「ええ?」

ルードヴィヒの驚愕をよそに再び霊に加護を願う。

霊シルフよ。私に追い風の加護を」

ふうわりと浮き上がるような覚があった。次の瞬間、駿馬に劣らぬスピードで、ルードヴィヒを擔いだリアは走り始めた。

「噓……だろ?」

ルードヴィヒのつぶやきは唸る風の音にかき消された。

実のところリアは森から出る気はなかったのだ。それどころかここに庵を結ぼうかと考えていた。しかし、ヒールをかけても癒えない病をもつ彼が気になって仕方がない。取り立ててやることもないし、ルードヴィヒが癒えるまで一緒にいるつもりだ。

彼の指し示した通り西に向かってひた走った。最初はリアに擔ぎ上げられて、驚き戸っていたルードヴィヒも今は大人しい。ぐったりとしているから、寢てしまったのだろう。

いの森が聞いてあきれるほどに、あっさりと森を抜け出た。アリエデ王國の者はいったいこの森の何を恐れて踏み込まなかったのだろうか。

しばらくルードヴィヒを擔いで走ると町が見えてきた。

「ルードヴィヒ様、あなた様のお家はどこですか?」

擔ぎ上げた彼に聲をかけるがうんともすんとも言わない。寢ているのだろうか? いまだ熱が下がらず合が悪そうだ。ノンストップで彼の家まで送りたかったが、し休ませ、ヒールをかけた方がよいだろう。

それに霊の加護もずっと続くわけではないので、どこかでリアも休まなければならない。

幸いレオンから貰った路銀もある。ルードヴィヒの為に宿をとることにした。

それにぐったりとした人男を抱えて歩くリアは目立つようで、町中で人々の注目が集まり始めている。さすがに人々の視線が痛い。リアは慌てて、手近な宿に飛び込んだ。

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