《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第1章 1963年 プラスマイナス0 - すべての始まり 3 再會(2)

3 再會(2)

結果なんとも有難いことに、大した怪我にはならずに済んだ。

それでも病院で目を覚ました當初、彼は両親のことさえわからない。頭部への衝撃が大きかったせいで、一時的な記憶障害に陥っていたのだ。そんな事実を病院で知って、智子のショックは尋常じゃなかった。そうして彼は生まれて初めて、神様に向けて祈ったのだった。

――神様、お願いです。剛志くんの記憶を戻してください!

もしも葉えてくれたなら、そのご恩は一生忘れませんと、毎晩夜空に向かって聲にする。そしてそんな祈りが通じたのか、ひと月ほどで彼の打撲や記憶障害はほぼ完治した。

ところが額の傷痕だけは消えてくれない。それでも生え際のすぐ下だったし、長とともに目立たなくなるという話もあったから、

「傷の一つや二つあった方が、いざという時、箔が付いていいんじゃないか?」

などと笑って話す父親に、剛志自もそうかもしれないと素直に思えた。

そうして前髪を垂らせば傷痕は隠れ、すぐに以前と変わらぬ日常が舞い戻る。それは智子にとっても同様だったが、以前と変化したところもしはあった。

小學校の行き帰り、母親が必ず付き添うようになり、二年ぶりに出會ったなじみと時々一緒に遊ぶようになる。それからずっと変わらずに、二人の関係は今日まで続いていたのだった。

ところが高校にった頃から、二人の間にちょっとしたズレが生じ始める。

「なあ、どうして付き合っちゃいけないんだよ? 今だって俺たち、付き合ってるって言ってもいいくらいだろ?」

「どうしてって? だって今のままで十分じゃない。それに付き合うっていったい何? どうせイヤらしいこと考えてるんでしょ!? 最近の剛志くん、ホントにちょっとおかしいよ!」

「何言ってるんだよ、おかしいのはそっちだろ? あんな野郎のところには、自分からホイホイ行くくせに、いったいさ、あそこで何をしてるんだか……」

「ちょっと! 伊藤さんを剛志くんと一緒にしないでね! だいたいさ、そんなこと考えてる暇があるなら、しは勉強したらどうなの? どうせまた、補習だあ、助けてくれえって言ってくるんでしょ? 毎回毎回、ホント、しは學んでしいわよ!」

剛志は決まって月に何度か、公衆電話から智子の家に電話をかける。なんだかんだ言っては呼びつけて、教科書や補修ノートを彼の前に差し出した。

実際彼は、高校でも赤點だらけだ。

――勉強なんてまるでしないんだから、いい績なんて取れるはずないわ!

そう思って注意しても、いつも似たような言葉ばかりが返るのだった。

「どうせ店を継ぐことになるんだから、あくせく勉強したって意味ないって……ま、大學でも行こうってんなら話は別だけど、うちにゃそんな金ありゃしないしさ、だから、このままでぜんぜんいいんだよ」

そう言って笑う彼の顔は、なんとなくだが悲しげに映った。

ただとにかく、剛志という存在は、あの事件から変わらずに小さなものでは決してない。

だからと言って、付き合いたいとか、そういうものでもぜんぜんなかった。

この先、どうなるかは別として、智子にとって今の児玉剛志は子供っぽくて、あまりに頼りなさげに映るのだった。

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