《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第2章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 4 昭和五十八年 坂の上(3)

4 昭和五十八年 坂の上(3)

『おまえは伊藤か?』

紛れもなく、電話の相手はそう言ったのだ。

『それでは、智子はどこにいる?』

死んだというのが前提ならば、どこにいる――などと聞いてはこない。

それでは、智子は生きている?

ならば彼は今もなお、自由の利かない生活を強いられているということか?

二人の名前を耳にして、次から次へとそんな疑念が浮かんでは消えた。

まさに、意味不明の電話だった。

聲の主は伊藤の名を挙げ、さらに智子の所在を尋ねてきたのだ。

だからこそ、ここに來ようと思ったし、あの〝約束〟だけはなんとしてでもやり抜かねばならない。剛志は心に強くそう思って、まずは屋敷の主を知ろうと塀伝いに歩いていった。しばらく歩くと大きな門が現れて、大理石の表札に〝巖倉〟という名が彫られている。

では、巖倉という家主に説明したとして、納得などしてくれるだろうか?

素直にそう思う剛志だが、ほかに方法がないのだからやるしかなかった。

あとひと月と三日で、また、あの火事の日がやって來る。

それは同時に、智子が消え去って二十年ということなのだ。

――智子……おまえはいったい、どこに行ってしまったんだ……?

気づけば日が暮れ始めていて、さっきまでの心地よさは噓のように消えている。

そしてあの日もそうだったように、いつの間にか雨は止んで、突き刺すような寒さが彼のを包み込んだ。

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