《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 4 十六歳の(2)
4 十六歳の(2)
すると店主は、智子の姿を上から下までササッと眺める。
「ふーん、親戚の娘さん……そうですか、了解です。それじゃあとにかく、上から下までぜんぶってことで、いいんですね?」
藤本早苗はそう言ってから、
「下著はどうします? うちの下著って、どれもセクシー系になっちゃうんですよ……」
スッと耳元に顔を寄せ、そんなことまで聞いてきた。
正直、下著のことまで考えてはいなかった。だがなんにせよ、彼のセンスは信用できる。だからすべて任せるからと、
「とにかく、彼と二人で決めてください。たださ、これで足りなかったら、明日にでも払いにくるから、不足分は一日だけ、ツケにしといてもらえるかな?」
剛志はそう言って、札れごと店主に預けようとした。
そんな彼に、彼は明るく言って返す。
「いいですって、児玉さんから儲けようなんて思っていませんよ。後日、仕れ原価を計算してお知らせしますから。さあ、お財布なんてしまってください……」
請求書を送ってくれると言って、一切金をけ取ろうとはしなかった。
それから近所の本屋で時間を潰し、三十分ほどしてからブティックに戻る。すると智子が新しい服に著替えて、ちょうど鏡の前に立っているところだ。
さすがに、十六歳にはちょっと大人っぽいじはする。それでもラベンダーピンクのセーターに真っ白なコートは、十分智子に似合って見えた。それからニットの手袋と同系のベージュのスカート、その下には、いかにも學生らしいペニーローファーを履いている。
やがて後ろから見られていると気づき、智子が慌てて振り返る。そして剛志を見るなり何事かを言いかけるが、それを制するように剛志が先に口を開いた。
「いいじゃない、よく似合ってるよ」
「でもこれって、いくらなんでも高すぎます。このコートなんて……」
きっと途中で、傍に立っている藤本早苗を気にしたのだろう。そこで息を吸い込んでから、智子はそのまま下を向いた。
もともと智子の家は裕福で、普段から剛志とは段違いにいい服裝をにつけていた。
それでも二十年という歳月は、智子の想像を超えて貨幣価値を変えている。だからコートの値札に目をやって、彼もたいそう驚いたに違いない。
そしてちょうどそんな時、さらなるものが目についた。
「それ、どうしたの?」
思わず聲が出て、剛志の視線が智子の右手に向けられる。
そこに、風呂敷包みがあったのだ。著にあるような和柄のもので、最近では滅多に目にすることはなくなった。
しかしそんなこと智子が知るはずもなく、だからなんとも素直な返事が返る。
「あ、これに、さっき著ていた服を包みました」
智子はすぐにそう言って、提げていた包みをほんのしだけ持ち上げた。
「そうなんだ、風呂敷なんて、よく持ってたね」
「伊藤さんに屆ける、ちらし壽司を包んでいたんです。だけど途中で落としちゃって。それで風呂敷だけ、スカートのポケットにれてあったのを思い出したから……」
そうして彼は、いだ洋服をささっと畳んで、風呂敷に〝四つ結び〟で包み込んだ。
思えばあの頃、風呂敷ってのはまさしく日々の生活に溶け込んでたと思う。どこであろうと何か買って、手提げや袋がもらえるようになったのはいつ頃からか?
あの時代、何かをちょこっと持っていく時、誰もが普通にこんな風呂敷を使っていた。
――正真正銘、あの頃のまんまの智子なんだ。
この瞬間、剛志は改めてそんな事実にじった。
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