《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 4 十六歳の(5)

4 十六歳の(5)

「この中に、あなたが知っている雑誌ってあるかな? もしあったら手に取って、僕にそれを見せてほしいんだ」

そんなことを言われて、智子は不審げに剛志の顔をチラッと見上げた。それからゆっくり雑誌コーナーに向き直り、ズラッと並んだそれらに目を向ける。

ちょっと見ただけでも六冊くらいはあるように思える。ただしそれらは大人向けで、彼が知っていたかどうかは微妙なところだ。

ところが思いの外すぐに、智子は記憶にある雑誌を見つけ出した。

手前に並んでいた誌を棚から抜き取り、続いて奧の方にも手をばす。その先にあったものを見て、剛志は心から「意外だな」と思った。

新たに手にしたのは二冊で、ほぼ同時期に創刊された大人向けの週刊誌だ。

もしこの時代の子高生に同じことを尋ねたら、きっとこの手の雑誌は挙げないと思う。この二冊については特にだが、剛志もこれまで読みたいなどと思ったことがない。

結果剛志は、智子が選んだ三冊から誌だけを手に取った。パラパラっと捲ってからひっくり返し、広告のった裏表紙を上にする。それから「見てごらん」と言わんばかりに、智子の顔の前まで持っていった。

智子は不思議そうにしながらも、差し出された雑誌に目を向ける。しかしすぐに首を傾げて、手にある週刊誌を剛志に渡して、代わりにその誌を手に取った。

それから目を皿のようにして、裏表紙全に目を向ける。すると突然、視線のきがある部分でピタッと止まった。そのままじっとかずに、

「昭和五十八年って……」と呟いて、智子はふうっと息を吐く。

「それじゃあ、あれからもう、二十年も……経ってるんですか?」

途切れ途切れにそう続け、すがるような目を剛志に向けた。

雑誌などの裏表紙には、編集人やら発行人と一緒に発行年月日も記載される。

知っている雑誌のそんなのを見れば、きっと智子も信じるだろう。そう思った通りに、彼は今ある現実をすぐれた。

それでも二十年という年月だ。十六年しか生きていない智子にとって、それはあまりに長くて突飛な時間だったろう。

「二十年……」

再び、そう呟いたと思ったら、手にあった雑誌をいきなり顔にあてがった。

その手がみるみる震え出し、すぐに小さな嗚咽をらし始める。これには剛志も大慌てだ。店を出てからにすべきだったと思ったところで、今となっては遅すぎる。

慌てて彼の肩に手を置いて、

「智子ちゃん……」

この日初めて、もちろん二十年ぶりに彼を名前で呼んだのだ。

すると途端に、智子の嗚咽がピタッと止んだ。懸命に堪える様子を見せて、ジッとかず數秒間が経過する。やがて智子の顔から雑誌が離れ……、

「もう、大丈夫です……ごめんなさい」

そう言いながら、必死に作った笑顔を剛志に向けた。

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