《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 4 十六歳の(6)

4 十六歳の(6)

それから剛志は、夕食用に握り飯とカップラーメンをし多めに購する。駅に戻ってタクシーを拾えば、二十分ちょっとで自宅マンションのはずだった。

ところがコンビニを出てすぐに、智子がコソッと言ってくるのだ。

「あの……ご不浄って、この辺にありますか?」

この時、この〝ご不浄〟を理解するのに、ひと呼吸ほどの時間がかる。それでもなんとかトイレのことだと思い出し、再び智子を連れてコンビニの中にっていった。

思えばずっと、智子はトイレに行っていなかった。そしてふと……、

――もし、洋式だったら、智子は用を足せるだろうか?

そんなことが気になって、確認すべきだったと後悔しながら店を出る。

「おい、ロリータ野郎」

そんな聲が聞こえたのは、店を出てから一秒経ったかどうかだろう。

そこで初めて、そう広くない道の反対側に、三人の男たちが座り込んでいるのを彼は知った。三人が三人とも煙草をくわえて、それぞれ別々のアルコール飲料を手にしている。

一目でガラの悪い連中だとわかるのだ。きっと暇に任せて宴會でもしていたか、空になった瓶や缶やらが所狹しと転がっている。

――こいつら、ずっとここで飲んでたのか……。

となればきっと、店にいる智子のことも知っている。

――だからロリータ野郎、になるわけか……。

と、そこまでささっと考えて、剛志は慌てて視線を外した。それから何事もなかったように、三人から背を向けコンビニ店へ目を向ける。

ところがそんな剛志を、彼らはそう簡単には解放しない。

「おいおい、無視すんじゃねえよ、ジジイ!」

さっきよりいくぶんすごみを増して、そんな言葉が投げかけられた。

ジジイ? 俺はそんなに年寄りじゃない! スッとそんな言葉が思い浮かぶが、そう返してしまえば、タダでは済まないのは火を見るより明らかだ。

だからとことん無視を決め込み、出てきた智子とさっさとこの場から引き揚げよう。そう思っていたのに、そんな希はあっという間に消え去ってしまった。

「年相応のババアじゃよ~、もの足りねえってのかよ~?」

続いて響いたそんな臺詞は飴細工のように粘っこい。

「公衆の面前で、あんなガキとイチャイチャしやがって、これからあのお嬢ちゃんと一発か……いいねえ、羨ましいなあ~、ぜひ、俺たちもぜてくんないかなあ? ねえ、いいだろう? お願いだからさあ~」

そこまでは、なんとか冷靜だったと思うのだ。

ところが次のひと言で、剛志のは一気に揺れる。

「あいつ、けっこうおっぱいデカかったよな」

ずっと黙っていた一人がそう言って、もう一方がさらに靡な言葉で智子について聲にした。

この瞬間、冷靜さが木っ端みじんに崩れ去る。彼らの前まで駆け寄って、最後に言葉を発した男の頬を力任せに引っ叩いた。

まずい! 叩いてしまってすぐ思ったが、逃げ出すわけには絶対いかない。

當然三人一気に立ち上がって、剛志の前に立ち塞がるようなじとなった。

そこで初めて、コンビニからの明かりが正面から當たる。

そうなってやっと、男らの姿が剛志の目にもはっきり映った。

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