《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第3章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 4 十六歳の(7)

4 十六歳の(7)

世を拗ねた不良程度の若者ではなかった。そんな時代などとっくに過ぎて、まさにチンピラと呼ぶべき存在だ。普段から、こんなイチャモンしょっちゅうつけて、あわよくば金を巻き上げようって輩だろう。

剛志の反応がよほど嬉しかったに違いない。叩かれていない方の二人を見れば、嫌らしいくらいに口角を上げ切っている 一方、剛志に叩かれた方は、逆に微塵も笑ってなかった。

きっと普段、叩かれることなどないのだろう。予想外の出來事に、睨みつける眼球はすごみを増して、怒りのせいか顔下半分が妙にピクピク震えている。

こうなったらもうどうしようもない。毆り合いなどしたくはないが、かと言ってやられっ放しはもっと嫌だ。剛志はすぐに覚悟を決めて、提げていたコンビニ袋を足元に置いた。

その時一瞬、男から視線が外れた。剛志の顔が下を向いて、男はその一瞬の隙を見逃さない。

ガツン! まさにそんな衝撃だ。

剛志は地面に吹っ飛んで、すぐに何かがおっかぶさった。

目の前は真っ暗。だからそれがなんなのかもわからない。

それだって、味方じゃないことだけは確実だ。それより何より……、

――素人、じゃない……。

ここまで強烈なパンチを、剛志は食らったことがない。

ボクサー崩れか、もしかしたら空手の有段者なのか……?

そこまで思って、やっと剛志の視界にが戻った。慌てて目を見開くと、まさに男が剛志の腹に乗っている。このままではやりたい放題ボコボコだ。だからなんとしても起き上がろうと、とっさに握り拳を振り上げたのだ。

ところが相手に屆くより前に、男の拳が側頭部を直撃。

首がゴキッと音を立て、視界が再び真っ暗になった。

その瞬間、ああ、こりゃダメだ……。確かそんなことを思ったと思う。続いてトイレにいる智子のを案じ、頼む、出てくるな! そう念じた途端だった。

さっきとは反対側に、もう一発が襲いかかった。口いっぱいに錆びた鉄の味が広がって、ハウリングのような音が頭の中で木霊する。

このまま次が振り下ろされれば、呆気なく彼の意識は消え失せたろう。そして意識が戻った時には、きっと智子もどこかへ消え失せている。

ところがだ。次の衝撃がなかなか來ない。それどころか腹辺りの重みが気づけば消えて、剛志は止めていた息をフッと吐いた。耳鳴りはひどく、頭の中でガンガン音が鳴っている。

そんな中それでも、彼は恐る恐る目を開けたのだ。

何が、起きた? そう思うまま、懸命に上半を起こし首をひねった。

するとこの時、男たちは剛志をまるで見ていない。三人とも離れたところに立って、直立不のままコンビニ店に目を向けている。

もちろん、何が起きたかわからなかった。

ただ、彼らの向ける視線の先に、手を振る智子は見えたのだ。

そのし前、智子は最初、剛志が店にいると思っていたらしい。だからトイレから表には向かわず、しばらく剛志を探して店の中を歩き回った。

そうしてガラス越しに剛志の姿を目にした瞬間、彼は一発目のパンチで吹っ飛ばされる。

続いて大柄な男が馬乗りになって、智子もこれがどんな狀況なのかを一瞬にして理解した。だから、躊躇することなく大聲をあげる。

「誰か、警察を呼んで! あの人を助けてください!」とびながら、通りに面したガラス窓を力いっぱい叩き続けた。

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